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金融政策が投資家行動に及ぼす影響:社債の発行条件形成における検証

2010年5月
大山慎介 *1
本郷保範 *2

要旨

本稿では、日本の社債発行市場における発行スプレッド(発行利回りのベースレートからの乖離)の形成プロセスを注目し、金融政策が投資家行動を通じて発行スプレッドに及ぼす影響を識別する。2007年4月から2009年8月に条件決定したAAA格からA格の非金融法人の普通社債について発行スプレッドの形成プロセスを分析した結果、政策金利が低いほど、発行スプレッドがより縮小する傾向があり、その傾向がAAA格やAA格と比べてA格で顕著であることが分かった。この結果は、金融政策の波及経路のひとつであるクレジット・チャネルが日本の社債発行市場において作用している可能性を示唆するものである。

キーワード
社債、企業金融、クレジット・チャネル、金融政策
JEL分類番号
E50, E52, G10, G32

本稿の作成に当たり、大橋英敏氏(モルガン・スタンレー証券)、香月康伸氏(みずほ証券)、徳島勝幸氏(ニッセイ基礎研究所)ならびに日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者個人に属する。本稿の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および同企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : shinsuke.ooyama@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : yasunori.hongou@boj.or.jp

日本銀行から

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