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金融機関のドル資金調達と金融規制改革の影響

2016年8月5日
飯田智之*1
木村武*2
須藤直*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿では、為替スワップ市場における非米系金融機関のドル資金調達プレミアムの変動メカニズムについて、理論モデルを用いて説明するとともに、対ドル主要4通貨のデータを用いたパネル推計による実証分析を提示する。
非米系金融機関のドル資金調達プレミアムは、過去においては、金融危機時に典型的に観察されたように、銀行の信用度の悪化が原因となって上昇することが多かった。しかし、近年は、銀行の信用度が安定している中で、ドル資金調達プレミアムが上昇しており、これには、金融政策のスタンスに関する米国と他の先進国間での違いが影響している。具体的には、米国が利上げ方向に動く中で、日欧などが低金利政策を継続していることを背景に、非米系金融機関がドル建て資産に対する需要を増加させ、これが為替スワップ市場におけるドル資金調達の増加につながっている。
また、レバレッジ比率規制導入などの金融規制改革の動きは、米系・非米系問わず金融機関のドル資金調達の限界費用を増加させるため、為替スワップ市場におけるドル需要曲線とドル供給曲線の傾きがスティープ化する。この結果、為替スワップ市場におけるドルの需給変動圧力は、ドル資金調達プレミアムの大きな変動につながりやすくなっている。

JEL分類番号:
F39、G15、G18

キーワード:
為替スワップ市場、ドル資金調達プレミアム、金融規制改革

  1. *1日本銀行国際局 E-mail : tomoyuki.iida@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 E-mail : takeshi.kimura@boj.or.jp
  3. *3日本銀行企画局 E-mail : nao.sudou@boj.or.jp

日本銀行から

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