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家計の限界消費性向と住宅購入

2020年6月19日
古賀 麻衣子*1
松村 浩平*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

家計が一時的な所得上昇に直面した際、それをどの程度消費に回すのかについては、マクロ経済政策効果の考察において重要な論点の一つとなっている。本稿では、一時的な所得上昇が家計消費に与える影響(限界消費性向)が家計ごとに異なる点について、特に住宅購入との関係に焦点をあてて、理論・実証の両面から分析した。
まず、家計のライフサイクルや住宅購入を加味した一般均衡モデルを構築した。これにもとづき、家計消費の所得上昇への反応は、住宅購入を予定していると小さくなる一方、住宅ローン残高が多いほど大きくなることが示された。
次に、わが国の家計のミクロデータを用いて実証分析を行ったところ、上記の理論モデルから得られた予見を支持する結果が得られた。
本分析は、家計の住宅購入行動がかわると、家計の一時的な所得上昇に対する消費の反応も変化しうることを示している。また、本分析のような経済主体の異質性を考慮したマクロ経済分析の重要性を示唆している。

JEL分類番号
D15,E21,E50,R21

キーワード
限界消費性向、異質性、消費、住宅選択、流動性制約

  1. *1専修大学経済学部 E-mail : koga@isc.senshu-u.ac.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : kouhei.matsumura@boj.or.jp

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