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サービス価格のフィリップス曲線の変化:地域別データによるアプローチ

2022年12月21日
喜舎場唯*1
奥田達志*2

要旨

本稿では、わが国の県庁所在地別CPIパネルデータを用いてサービス価格のフィリップス曲線を推計し、その傾きの変化を分析した。本分析は、パネルデータを活用することで、予想インフレ率のデータを用いずに、ニューケインジアン型フィリップス曲線の傾きを推計している点が特徴である。推計結果によれば、2000年代以降、いくつかのサービス分類において、フィリップス曲線がそれ以前と比べて有意にフラット化している。他方、2010年代および新型コロナウイルス感染症の拡大後にフィリップス曲線の傾きに変化が生じたかを確認したところ、幅をもってみる必要はあるが、現時点では有意な変化はほとんど検出されなかった。

JEL 分類番号
C32、C33、E31、E52

キーワード
フィリップス曲線、サービス価格、予想インフレ率、インフレ動学

本稿の作成に当たり、青木浩介氏、亀田制作氏、陣内了氏、中島上智氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : yui.kishaba@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局(現・国際通貨基金) E-mail : TOkuda@imf.org

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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