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関税率の変動が消費者物価に及ぼす影響について:
米国における実証分析

2026年6月18日
木根原健太*1
山本弘樹*2
沖本竜義*3

要旨

2025年の米国トランプ政権による関税引き上げを受け、関税ショックに対する米国消費者物価の反応について注目が集まっている。当初は、関税賦課後すぐに消費者物価に転嫁され、相応のインフレ率の上昇が生じるとの見方が多かったが、実際は、価格転嫁が緩やかなペースで進んでいる。こうした関税ショックが消費者物価に及ぼす影響に関して、時系列モデルを用いた先行研究では、これまでのところコンセンサスはない。本稿は、こうした先行研究間の結果のばらつきや、昨年以降の米国関税の消費者物価への価格転嫁が緩やかなペースで進んでいる点を、関税ショックの消費者物価へのパススルーが状態依存的に変化するという観点から検証する。分析の結果、持続的な関税レジーム下では、インフレ圧力が生じる一方、一時的な関税レジーム下ではディスインフレ圧力が生じる可能性が示唆された。また、持続的関税レジーム下であっても、コスト吸収力がある場合は、インフレ圧力を抑制し、価格転嫁にラグをもたらす可能性が示唆された。加えて、先行研究間の推計結果の違いには、関税の持続性の局面差が寄与している可能性が確認された。このように、関税ショックの消費者物価への影響は状態依存性を有し、先行きの予測には大きな不確実性が伴うと考えられる。

JEL 分類番号
C32、E31、F14
キーワード
平滑推移Local Projection、関税率、消費者物価

本稿の執筆に当たっては、岡絢太氏、黒住卓司氏、座本花氏、近田健氏、中島上智氏、東将人氏、松田太一氏の各氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。記して感謝したい。ただし、本稿に示される内容や意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。また、ありうべき誤りは全て筆者らに帰する。

  1. *1日本銀行国際局(現・調査統計局) E-mail : kenta.kinehara@boj.or.jp
  2. *2日本銀行国際局(現・金融研究所) E-mail : hiroki.yamamoto@boj.or.jp
  3. *3慶應義塾大学および日本銀行国際局 E-mail : tatsuyoshi.okimoto@keio.jp

日本銀行から

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