東京外国為替市場およびデリバティブ市場の取引高調査(1998年4月中)について
1998年 9月30日
日本銀行国際局
金融市場局
日本銀行から
以下には、本調査の概要および調査結果の主要点を掲載しています。本調査のデータを含む全文は、こちら(deri9804.lzh 53KB[MS-Word, MS-Excel])から入手できます。
(本調査の概要)
日本銀行では、このほど、わが国における外国為替市場および店頭(OTC)デリバティブ市場の取引高(98年4月中)に関する調査を実施した。本調査は、各国中央銀行等が、BIS(国際決済銀行)の取りまとめの下で、3年毎に自国・地域の外為市場およびデリバティブ市場の取引高等について同時に実施しているものである(注1)。
今回の調査は、日本銀行を含む43か国・地域の中央銀行等により、約3,200の金融機関等を対象に実施された(注2)。
今回調査において、日本では、本邦銀行等255行庫、外資系銀行101行、本邦証券会社3社、外資系証券会社6社、外為ブローカー10社を調査対象とした(注3)。
本調査を取りまとめているBISでは、参加各国の調査結果を集計し、追ってグローバル・ベースでの外為・デリバティブ取引高統計を公表する予定。
本調査では、取引をその内容により外国為替取引は3種類、デリバティブ取引は5種類に分類し(注4)、それぞれについて、通貨別、取引相手先別、国内外別に集計している。
—— なお、本邦に所在する調査対象先相互間の取引高については、二重計上を調整している(海外との取引については、BISがグローバル・ベースでの合算統計を作成する際に調整するため、BIS公表のグローバル・ベースの合算統計と各国の公表結果の単純合計とは一致しない)。
- (注1)BIS取りまとめによる同時調査は、外為取引高については86年から、デリバティブ取引高については95年から開始されている。
- (注2)参加国・地域については別添2のとおり。
- (注3)外為ブローカーについては外為取引に関してのみ、また、証券会社についてはデリバティブ取引に関してのみ調査を行っている。
- (注4)
<外為取引>
・スポット、フォワード、為替スワップ
<デリバティブ取引>
・FRA(金利先渡し取引)、金利スワップ、金利オプション・・・(金利関連デリバティブ取引)
・通貨スワップ、通貨オプション・・・(外為関連デリバティブ取引)
(今回調査結果の主要点)
今回調査結果のあらましは以下のとおり。
I.外為取引(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)
- (1)東京外為市場における1営業日平均取引高は、1,487億米ドルと前回比-7.9%の減少となった。
- (2)邦銀・外銀別では、外銀のシェア(前回48.6%→今回56.9%)が、対顧客取引(同30.7%→64.7%)を中心に、大幅に上昇した。
- (3)東京市場における取引通貨の構成をみると、ドル・円など円対価取引が引続き大きなシェアを占めており、その割合は前回の81.1%から83.5%へ更に高まっている。
- (4)インターバンク取引において、ブローカー経由取引のシェアが27.9%から36.4%へ上昇した。
II.デリバティブ取引(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)
- (1)金利関連取引と外為関連取引を合計したわが国デリバティブ市場の取引高(1営業日平均、以下同)は、421億ドルと、前回調査比+28.4%の増加となった。
- (2)うち、金利関連取引は316億ドル(前回調査比+19.8%)、外為関連取引は104億ドル(同+64.1%)。
- (3)金利関連取引の内訳をみると、FRA(金利先渡し取引)が10億ドル(同-57.8%)、金利スワップが176億ドル(同+37.4%)、金利オプションが130億ドル(同+15.6%)。外為関連取引の内訳は、通貨スワップが11億ドル(同+99.7%)、通貨オプションが93億ドル(同+60.6%)。
- (4)金利関連取引について金利別にみると、円金利関連が全体の81.1%(同-5.1%ポイント)を占めた。
- (5)外為関連取引について通貨別にみると、円/ドル取引が全体の91.9%(同+14.9%ポイント)を占めた。
- (6)取引主体を本邦金融機関と外資系金融機関に分けてみると、本邦金融機関の取引シェアが低下(前回57.6%→今回40.8%)した一方、外資系金融機関の取引シェアが上昇(同42.4%→同59.2%)。
- (7)本邦金融機関では、金利関連取引が減少(前回調査比-17.8%)した反面、外為関連取引は増加(同+26.5%)。一方、外資系金融機関では、金利関連取引(同+70.1%)、外為関連取引(同2.18倍)とも増加した。
- (8)取引相手先別の動向をみると、インターバンク取引が238億ドル(同-7.1%)となった一方、対顧客取引が183億ドル(同2.55倍)となった。
- (9)国内・外別にみると、国内との取引が115億ドル(同+11.7%)、海外との取引が305億ドル(同+36.1%)となった。
- (10)デリバティブ市場全体における取引の集中度についてみると、上位10先で全取引の64.6%、上位20先で全取引の84.9%を占めており、ともに前回調査時から10%ポイント弱上昇した。
以上
(別添1)
I.外為取引高計表(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)
(図表1)東京外為市場の1営業日平均総取引高
- (注1)国内:調査対象先と居住者との取引。
海外:調査対象先と非居住者との取引。 - (注2)外為関連取引合計:本調査ではデリバティブ取引に分類される通貨スワップ、通貨オプション取引を加えたもの。
< >内はシェア。
(図表2)インターバンク・対顧客取引の取引形態別1営業日平均取引高
< >内はシェア。
(図表3)邦銀、外銀別の取引動向
< >内はシェア。
(図表4)通貨別取引動向
( )内はシェアの前回調査比増減差。
(図表5)インターバンク取引に占めるブローカー経由取引比率
II.デリバティブ取引計表(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)
(図表6)形態別取引動向
< >内はシェア。
(図表7)金利関連取引の金利別シェア
( )内はシェアの前回調査比増減差。
(図表8)外為関連取引の通貨別シェア
( )内はシェアの前回調査比増減差。
(図表9)本邦・外資系別取引動向
< >内はシェア。
(図表10)相手先別取引動向
(図表11)デリバティブ取引集中度
(計表注)
- 95年 4月中取引高には、証券会社の通貨オプションは含まれていない。
- 各計表で、内訳項目と合計の不一致は、単位未満の四捨五入によるもの。
(別添2)
参加国・地域一覧(太字は前回も参加した26か国・地域)
アルゼンチン、オーストリア、オーストラリア、ベルギー、バーレーン、ブラジル、カナダ、スイス、チリ、中国、チェコ、ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、英国、ギリシャ、香港、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、インド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、メキシコ、マレーシア、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、スウェーデン、シンガポール、タイ、台湾、米国、南アフリカの計43か国・地域。