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企業物価指数(2015年基準)の概要

2017年8月
日本銀行調査統計局

作成部署、作成周期、公表時期等

  • 作成部署調査統計局物価統計課
  • 作成周期月次
  • 公表時期速報値‥原則として、翌月の第8営業日。ただし、定期遡及訂正月(3、9月)は第9営業日。
    確報値‥翌月分の速報公表日。
  • 公表方法インターネット・ホームページ、 日本銀行本店情報ルーム(月~金、8:50~17:00)
  • 統計書「物価指数年報」「金融経済統計月報」「日本銀行統計」
  • データ始期統計作成開始時期‥1887年1月
    2015年基準接続指数のデータ始期
     類別以上ないし、それに準ずる上位分類の指数系列‥1960年1月
     品目指数‥1980年1月
    戦前基準指数(基準時1934~36年=1)のデータ始期‥1900年10月

1.調査対象

  • 企業間で取引される財を対象としている。品質を固定した商品(財)の価格を継続的に調査し、現在時点の価格を、基準時点(2015年)の価格を100として、指数化したものである。
  • 調査価格数(2016年10月時点)
    国内企業物価指数:5,743、輸出物価指数:1,288、輸入物価指数:1,576

国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数の3つを総称して基本分類指数と呼ぶ。そして、基本分類指数と参考指数を合わせたものが企業物価指数である。なお、国内企業物価指数は、グローバル・スタンダードである「生産者物価指数」に概ね相当する。

2.統計内容

(1)概要、目的・機能

企業物価指数は、企業間で取引される財の価格変動を測定するものである。主な目的は、企業間で取引される財に関する価格の集約を通じて、財の需給動向を把握し、景気動向ひいては金融政策を判断するための材料(景気動向を測る経済指標)を提供することにある。

また、このほか、名目金額から価格要因を除去して実質値を算出する際のデフレーターや、企業間での商取引における値決めの参考指標としての機能も有している。

(2)指数体系、分類編成、ウエイト

基本分類指数は、『日本標準産業分類』等に依拠しつつ、一部、商品の属性に応じ、採用品目を分類したもので、国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数から構成される。このほか、利用目的に応じて、基本分類指数の品目・ウエイトを組み替えたり、加工したりして作成した参考指数がある。

(イ)基本分類指数

国内企業物価指数

国内で生産した国内需要家向けの財(国内市場を経由して最終的に輸出するものを除く)を対象とし、原則、生産者段階における出荷時点の価格を調査している。2015年基準は、5大類別と23類別で構成されている。指数は、消費税を含むベースで作成している。

また、参考系列として、夏季電力料金調整後の指数を作成している。これは、7~9月の期間に適用される夏季電力割増料金を調整したベースの指数で、通常料金の期間(10~6月)においては、基本分類指数の指数水準と一致するよう作成したものである。

ウエイト算定に際しては、まず、経済産業省『工業統計』(品目編)の2014年製造品出荷額をベースに『生産動態統計』等の動態統計の前年比を利用して、2015年出荷額を推計している。その上で、当該推計額から、財務省『貿易統計』の2015年輸出額を控除して算出した国内向け出荷額を用いている。上記に依れない場合(非工業製品など)は、他の官庁・業界統計などを適宜、使用している。

輸出・輸入物価指数

輸出物価指数は輸出品の通関段階における船積み時点の価格を、輸入物価指数は輸入品の通関段階における荷降ろし時点の価格を調査しており、円ベース、契約通貨ベースの双方の指数を作成している。2015年基準は、輸出物価指数7類別、輸入物価指数10類別で構成されている。なお、消費税は含まない。

ウエイト算定に際しては、財務省『貿易統計』の2015年輸出・輸入額を使用している。

(ロ)参考指数

需要段階別・用途別指数

基本分類指数を商品の需要段階や用途に着目した分類に組み替えて集計したもの。価格波及プロセスの把握など、物価動向の多面的な分析に利用される。消費税を含まないベースで作成している。参考系列として、財別分類、および夏季電力料金調整後の指数を作成している。

連鎖方式による国内企業物価指数

国内企業物価指数を対象に、連鎖基準ラスパイレス指数算式で計算したもの。ウエイトを毎年更新し、1年ごと(毎年12月)に指数水準を100にリセットした指数の変化率を、基準年以降、掛け合わせて作成している。指数は、消費税を含むベースで作成している。参考系列として、夏季電力料金調整後の指数を作成している。

消費税を除く国内企業物価指数

国内企業物価指数について、消費税を含まないベースで作成したもの。

戦前基準指数

超長期の時系列データを用い分析するユーザー・ニーズを考慮し、戦前基準指数の分類編成に組み替えた指数を接続したもの。

乗用車(北米向け、除北米向け)

輸出物価指数の商品群「乗用車」について、北米向けと北米以外向けに分割した地域別指数を作成したもの。円ベース、契約通貨ベース双方の指数を作成している。なお、消費税は含まない。

(3)指数の基準時およびウエイト算定年次

指数の基準時およびウエイト算定年次は2015年。

(4)採用品目

品目の採用基準

品目の採用基準
国内企業物価指数 原則として、基準年(2015年)における「ウエイト対象総取引額」(国内企業物価指数の対象とする国内で生産した国内需要家向けの財の出荷総額)の1万分の1(215億円)以上の取引シェアを有していること。
輸出・輸入物価指数 原則として、基準年(2015年)における「ウエイト対象総取引額」(輸出・輸入物価指数の対象とする財の輸出総額・輸入総額)の1万分の5(輸出:343億円、輸入:369億円)以上の取引シェアを有していること。

採用品目数

国内企業物価指数で746品目、輸出物価指数で209品目、輸入物価指数で258品目を採用している。

(5)調査価格

調査の対象・方法

価格調査は、原則として、調査先企業すなわち採用品目を構成する商品を生産している企業と輸出入取引を取り扱う卸売企業を対象に実施している。もっとも、一部の品目では、指数精度の向上や報告者負担の軽減を図る観点から、他機関統計や外部データベースから得られるデータ(外部データ)を採用している。

なお、調査先企業への価格調査は、調査対象月の価格を、翌月初に所定の調査票により郵送で調査している。原則として、速報に間に合うように調査しているが、速報に間に合わない場合には、その翌月の確報に価格データを反映している。回収率は、速報時点で76%、確報時点で97%となっている(ウエイトベース、2016年11月)。

調査の事項

企業物価指数は、品質が一定の商品の価格を継続的に調査して、価格を指数化したものである。このため、調査先企業(外部データを含む、以下同じ)に対し、商品の価格に加え、調査対象とする商品の内容(素材、性能、規格など)のほか、取引先(用途、販売先)や取引条件(受け渡し条件など)、取引数量など価格に影響を及ぼし得る属性条件(品質)に関するデータも併せて聴取し、品質をできる限り固定して価格調査を行っている。このような調査先企業から聴取する価格と属性条件をまとめて「調査価格」と呼んでいる。

調査価格の選定

商品の多品種化や価格差別の進展に伴い、同一品目内においても、調査先企業、商品、用途、販売先によって価格動向が異なることを考慮し、調査価格を選定している。すなわち、価格動向に違いをもたらす調査先企業や商品、用途、販売先等の構成比率を把握し、品目内の調査価格の構成が上記条件の構成比率を反映したものとなるように努め、指数精度の確保を図っている。さらに、基準改定時のみならず、基準改定以外の期間においても、必要に応じて調査価格構成の見直しを行っている。

調査価格の設定基準(価格調査段階・調査時点・価格条件・通貨建て)

調査価格を構成する諸条件のうち、価格調査を行う取引段階・時点・価格条件については、できる限り統一を図っている。国内企業物価指数では、原則、生産者段階における出荷時点の生産者価格を調査している。国内企業物価指数における生産者段階の比率は、ウエイトベースで95%を超えている(2016年10月時点)。また、輸出物価指数では、原則として通関段階における船積み時点のFOB(本船渡し)価格、輸入物価指数では、同じく通関段階における荷降ろし時点のCIF(保険料・運賃込み)価格を、各々調査している。

なお、価格の通貨建てについては、円建て契約の調査価格については円建て価格を、外貨建て契約の調査価格については外貨建て価格を調査している。契約通貨ベース指数は、契約通貨建て価格をそのまま指数化している。一方、円ベース指数では、外貨建て価格を、銀行の対顧客電信直物相場(月中平均、仲値)を用い、円価格に換算のうえ、指数化している。

調査価格の種類

調査先企業への価格調査にあたっては、純粋な価格変動分のみを反映させるため、原則として、品質(商品内容や、取引先、取引条件、取引数量など)を固定し、実際に取引された価格を調査している((1)銘柄指定調査)。しかし、こうした品質を固定した価格の継続調査が難しい場合は、品質の固定条件を一部緩め、(2)複数取引の平均価格を調査する「平均価格調査」や、(3)代表的な取引内容を想定した場合の価格を調査する「モデル価格調査」、(4)実際の取引において目安とされる標準価格を調査する「建値調査」等を採用している。

調査価格の種類
調査価格の種類 内容
銘柄指定調査
  • 品質を構成する属性条件を必要な範囲で固定(特定)した実際の取引価格を調査。
平均価格調査
  • 品質一定の条件を損なわない範囲で、類似の商品・販売先等が異なる複数の取引をグルーピングした平均価格を調査。
  • 類似の商品から構成される商品グループを特定し、商品グループのうち取引量が多い商品の「定価」と商品グループ全体の「平均値引率」を調査し、「定価×(1-平均値引率)」を調査価格とする「平均値引率調査」も採用。
モデル価格調査 <代表的な取引条件を想定したモデル価格>
  • 代表的な取引条件を想定し、その仮想的な条件のもとで継続して取引される場合の価格を調査。
<平均値引率を利用したモデル価格>
  • 類似の商品から構成される商品グループを特定し、仮想的な商品モデルの「定価」と、商品グループ全体の「値引率」を調査し、同じ商品が継続して取引されると想定した価格を、両データから算出して調査。
<利益率調査・原価率調査を利用したモデル価格>
  • 類似の商品から構成される商品グループを特定し、仮想的な商品モデルの「製造原価」と、商品グループ全体の「利益率」または「原価率」を調査し、同じ商品が継続して取引されると想定した価格を、両データから算出して調査。
建値調査
  • 商品の内容を特定し、実際の取引において目安とされる標準価格(建値・仕切価格、定価×掛目、料金表価格等)を調査。

欠測価格の取扱い

調査対象月において、調査価格で設定した条件の下での取引がない場合や、速報(確報)時点までに調査先企業から回答が得られない場合は、当該月は「欠測価格」となる。このような「欠測価格」については、原則として、前月の価格で補完する。このほか、調査価格の特性に応じて、同一品目内の他の調査価格の変化率(前月比)や当該調査価格の変化率(前月の前年同月比)で補完している場合があるほか、一部の季節商品については、出回り期の平均価格により「欠測価格」を補完している。

価格後決め取引や事後精算される商品等において、暫定価格を利用できる場合は、上記に加え、見込み価格も利用し、正式な価格を入手できた時点で、遡って訂正を行う。

(6)調査価格の変更および品質調整方法

調査価格の変更

企業物価指数では、品質を固定した商品の価格を継続的に調査し、指数を作成することを原則としている。しかしながら、消費行動の変化や技術革新等に伴って、実際に取引される商品は移り変わっており、これまで調査していた商品の生産中止や取引減少等に直面することも多い。また、商品の生産を取り止め、市場から撤退する企業も存在する。こうした場合には、調査開始時に定めた調査先企業、調査対象商品、取引先・取引条件等を変更する「調査価格の変更」を行っている。

調査価格の変更時には、以下の品質調整方法を用いて、「新旧商品の品質変化による価格変動分」を除去し、「純粋な価格変動分」のみを物価指数に反映させるよう努めている。

  • 新旧商品の価格差=品質変化による価格変動分+純粋な価格変動分

ただし、「品質変化による価格変動分」の把握が困難な場合は、やむを得ず、指数が横ばいとなるように接続している。

品質調整方法

品質調整方法としては(1)直接比較法、(2)単価比較法、(3)オーバーラップ法、(4)コスト評価法、(5)ヘドニック法、(6)属性コスト調整法、(7)オプションコスト法、(8)ランニングコスト法、(9)オンライン価格調整法の9種類を適用している。

品質調整方法の種類
対象 名称 内容
全品目が対象 直接比較法 新旧商品の品質差は無視しうるものと判断し、新旧商品の表面価格差をすべて純粋な価格変動分として処理する方法。
単価比較法 新旧商品は数量・容量は異なるが、それ以外は品質に違いはないと判断し、同一数量・容量で比較した新旧商品の価格差はすべて純粋な価格変動分として処理する方法。
オーバーラップ法 新旧商品が同一条件の下で、一定期間並行販売されており、その間、新旧商品の価格比が安定している場合、新旧商品の価格差をすべて品質変化による価格変動分とみなして処理する方法。
コスト評価法 調査先企業からヒアリングした新旧商品の品質変化に要したコスト相当分を品質変化による価格変動分とみなし、新旧商品の価格差の残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。
対象品目を限定 ヘドニック法 商品間の価格差の一部が、これらの商品の有する複数の諸特性によって測られる品質差に起因している場合、新旧商品の諸特性の変化から品質変化による価格変動分を回帰式により定量的に推定し、残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。
属性コスト調整法 品質差を生む主要な部品の価格の和が商品の価格に相当すると判断できる場合に、新旧商品の主要な部品の価格差を品質変化による価格変動分とみなし、価格差の残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。
オプションコスト法 旧商品ではオプションとされていた装備が、新商品では標準装備となった場合に、旧商品のオプション価格の50%相当分を品質変化による価格変動分とみなし、価格差の残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。
ランニングコスト法 新旧商品の主な品質差が省エネ性能の違いである場合、燃費改善効果を金額換算した価格を品質変化による価格変動分とみなし、残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。
オンライン価格調整法 新旧商品のオンライン小売価格差の50%相当分を品質変化による価格変動分とみなし、残りの部分を純粋な価格変動分として処理する方法。

(7)指数算式・計算方法

(イ)固定基準ラスパイレス指数算式

指数の算式

各時点ごとに各種商品の価格を指数化し、その価格指数を基準時(2015年)に固定した金額ウエイトにより加重算術平均する「固定基準ラスパイレス指数算式」を用いている。

  • 固定基準ラスパイレス指数算式
品目指数の算出方法

調査価格ごとに、当月の報告価格(「比較時価格」)をそれぞれの「基準時価格」(基準年<2015年>平均=100.0に相当する価格)で除して個別の調査価格指数を算出する。この調査価格指数に各々の調査価格ウエイトを乗じ(調査価格の加重指数)、当該品目に属する全調査価格の加重指数の合計(品目加重指数)を当該品目のウエイトで除することにより、品目指数を算出している。

上位分類指数の算出方法

総平均、大類別、小類別、商品群といった上位分類についても、品目指数と同様の計算方法により、当該分類に属する全調査価格の加重指数の合計を当該分類のウエイトで除することにより、指数を算出している。

(ロ)連鎖基準ラスパイレス指数算式

品目より上位分類の指数計算に、「連鎖基準ラスパイレス指数(連鎖基準算術平均)算式」を採用しており、以下の計算方法により指数を算出している。

  • 連鎖基準ラスパイレス指数算式

(8)指数の公表

公表スケジュール

原則として、翌月の第8営業日の午前8時50分に公表している(ただし、後述の定期遡及訂正月は第9営業日に公表)。翌月分の速報公表日に確報値を公表している。

指数を非公表とする品目

品目指数の公表にあたっては、(1)品目全体の取引が縮小し、継続的な価格調査が困難である場合や、(2)調査先企業の個社情報の秘匿が十分行えない状況となり、かつ、調査先企業の了解が得られない場合等において、指数を非公表としている。

指数を非公表とする品目については、(1)品目全体の継続的な価格調査が困難である場合は、他の品目により計算した上位分類指数で、当該指数を補完する。(2)個社情報の秘匿が十分行えない状況となり、かつ、調査先企業の了解が得られない場合は、当該品目指数を総平均指数など上位分類指数の計算過程には組み込みつつも、原則として同じ商品群に属している他の1品目の指数と併せて非公表とする(注2)

  1. (注2)1品目ではなく、2品目を非公表とするのは、非公表品目が属している上位分類の商品群の指数と、同商品群に属している他の全ての品目の指数によって、非公表品目の指数が逆算できないようにするため。

指数の訂正

計数の遡及訂正(定期遡及訂正)は、年2回(3、9月:2、8月速報公表時)実施している(対象は、原則として、過去1年半分)。なお、計数の訂正により、総平均指数に影響が及ぶなどの大きな変動が生じた場合には、定期遡及訂正とは別に、要訂正の事実が判明した都度、可能な限り速やかに実施する。

(9)接続指数

2015年基準接続指数

2015年基準接続指数は、過去の基準指数を、2015年基準の基本分類指数または参考指数の分類編成に組み替えて計算している。類別以上(ないしはそれに準ずる上位分類の指数系列)、および品目について、過去に遡及して作成している。

戦前基準指数

戦前基準指数は、1934~1936年を指数の基準時(1934~1936年=1)とし、2015年基準指数を戦前基準指数の分類編成(基本分類および特殊分類、1960年基準の分類編成に依拠)に組み替えた上で、2014年12月までの指数に接続して作成している。