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日本銀行法では、日本銀行の金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としています。
物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民経済の基盤となるからです。市場経済においては、個人や企業はモノやサービスの価格を手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めています。物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や企業が判断を行うことが難しくなり、効率的な資源配分が行われなくなります。
金融政策の基本的な方針は、政策委員会の金融政策決定会合で決定されます。金融政策決定会合では、政策判断の前提となる金融経済情勢についての検討を行うとともに、金融市場調節方針などを決定します。
一般に、金融政策は、公開市場操作などの手段を用いて、市場金利に影響を及ぼすことを通じて、経済や物価に効果をもたらします。例えば、景気が悪化しモノやサービスの売れ行きが落ち、物価を押し下げる圧力が強まる場合には、金利を引き下げるよう政策を行います。そうすると、金融機関が企業や個人などに貸し出す時の金利も低下します。このため、企業の設備投資や個人の住宅購入などが刺激され、景気・物価に上向きの力が働きます。逆に、景気が過熱し、物価を押し上げる圧力が強まる場合には、金利を引き上げるよう政策を行います。そうすると、上記とは逆の流れで、景気・物価を抑制する力が働きます。
日本銀行は、金融政策の運営にあたり、政府から独立した立場を与えられています。こうした枠組みは、「金融政策の運営は、政府から独立した中央銀行による中立的・専門的な判断に任せることが適当である」との、歴史的な教訓を踏まえたものであり、世界的な流れでもあります。しかし同時に、独立性を持って金融政策を決定しているからこそ、政策の中身や決定過程を国民にきちんと説明することも求められています。 日本銀行では、記者会見や、金融政策決定会合の議事要旨、展望レポートの公表、国会での報告などを通じて、金融政策運営の考え方やその前提となる経済・物価情勢の判断などの情報を、速やかに、かつ、分かりやすく国民や市場に伝えています。これらの透明性の確保に関する取り組みは、世界の中央銀行でもトップクラスのもので、日本銀行のホームページ上でも公表されています。また、これらの情報発信は、国民や市場により正確に日本銀行の考え方を理解してもらい、金融政策の有効性を十分に引き出していくことにも資すると考えられます。
家計や企業などの様々な経済主体が、物価の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができる状況。現在、日本銀行は、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率で2%とし、金融政策運営を行っています。
日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会のうち、金融政策運営を審議・決定する会合。金融政策決定会合では、年に8回、2日間かけて集中的に審議を行い、金融政策の方針を決定しています。議決は9名の政策委員(総裁、2名の副総裁、6名の審議委員)による多数決によって行われます。決定された方針は直ちに公表され、それに沿って日々の金融市場調節などが行われます。
2016年9月に導入した金融政策の枠組み。 (1)長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と、(2)消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」から成り立っています。
日本の金融経済情勢に関する日本銀行の判断・見方やその背景を説明するもの。四半期に1回の頻度で公表され、今後2~3年間の経済・物価情勢に関する見通しについて説明するとともに、先行きの金融政策運営の考え方についても整理しています。