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ソブリンCDSプレミアムの要因分解

2012年9月3日
池田慧*1
平木一浩*2
山田健*3

要旨

本稿では、ソブリンCDSが含む各国の信用リスクに関する情報を抽出し、その特性を分析する。ソブリンCDSプレミアムには各国の信用リスクの他にリスク・プレミアムが含まれているが、本稿では誘導型アプローチによりソブリンCDSプレミアムを信用リスクに対応した「信用リスク要因」と「リスク・プレミアム要因」に分解し、それぞれの特徴を考察した。分析の結果、各年限のソブリンCDSプレミアムの変動は、平行移動を表す1つの要因でほとんどが説明されること、ソブリンCDSプレミアムにはリスク・プレミアム要因が相応に含まれており、その変動を考慮せずにデフォルト確率を推計すると過大評価になること、リスク・プレミアム要因の水準は国や時期により異なること、リスク・プレミアム要因を考慮して抽出した信用リスク要因はそれを考慮しない場合と比べ期間構造の形状が異なり得ることなどがわかった。日本、欧州、米国のリスク・プレミアム要因は互いに連動していて、特に欧州から米国、日本への影響が高い。また、各国のリスク・プレミアム要因はそれぞれの国の経済変数とも連動し、特に欧州周縁国では株価や長期金利と連動していることもわかった。

キーワード
ソブリンCDSプレミアム、信用リスク要因、リスク・プレミアム、グレンジャー因果性検定

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail : kei.ikeda@boj.or.jp
  2. *2日本銀行横浜支店 E-mail : kazuhiro.hiraki@boj.or.jp
  3. *3日本銀行国際局 E-mail : takeshi.yamada@boj.or.jp

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