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第137回事業年度(令和3年度)決算等について

2022年5月27日
日本銀行

1.第137回事業年度(令和3年度)決算

(1)資産・負債の状況

令和3年度末における資産・負債の状況をみると、総資産残高は、貸出金を中心に前年度末と比べ21兆6,969億円増加(+3.0%)し、736兆2,535億円となった。また、総負債残高は、預金(当座預金)を中心に前年度末と比べ21兆5,304億円増加(+3.0%)し、731兆5,511億円となった。

こうした日本銀行の資産・負債の変化を詳しくみると以下のとおりである。まず、資産の部をみると、貸出金が、151兆5,328億円と前年度末を25兆6,926億円上回った。このうち、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの残高は、86兆8,372億円と前年度末と比べ22兆108億円増加した。また、長期国債は、資産買入れを進めるなか、511兆2,312億円と前年度末を15兆4,541億円上回った。

次に、負債の部をみると、当座預金が、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ等を通じた資金供給により、563兆1,784億円と前年度末を40兆6,081億円上回った。この間、日本銀行券の発行残高は、119兆8,707億円と前年度末を3兆8,590億円上回った。

(2)損益の状況

令和3年度の損益の状況についてみると、経常利益は、前年度比4,421億円増益の2兆4,185億円となった。これは、為替円安に伴い外国為替関係損益の益超幅が拡大したことや、金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用益が増加となったこと等によるものである。

特別損益は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の実施に伴って生じ得る収益の振幅を平準化する観点から、債券取引損失引当金の積立てを行ったほか、外国為替関係損益が益超となったことを受け、外国為替等取引損失引当金の積立てを行ったこと等から、マイナス7,542億円となった。

以上の結果、税引前当期剰余金は、前年度比2,113億円増加の1兆6,643億円となり、法人税、住民税及び事業税を差し引いた後の当期剰余金は、前年度比1,054億円増加の1兆3,246億円となった。

(3)剰余金処分の状況

剰余金の処分については、日本銀行法第53条第1項に基づき、法定準備金を662億円(当期剰余金の5%)積み立てたほか、同条第4項に基づき、財務大臣の認可を受け、配当金(500万円、払込出資金額の年5%の割合)を支払うこととし、この結果、残余の1兆2,583億円を国庫に納付することとした。

(4)自己資本の状況

令和3年度末の自己資本比率(剰余金処分後)は、9.29%と、前年度末(8.87%)に比べ上昇した。

2.第137回事業年度(令和3年度)経費決算

第137回事業年度(令和3年度)経費決算は、「国庫国債事務費」が国庫事務にかかる手数料の改訂により、「固定資産取得費」が営業所工事関連の支出等により、それぞれ増加したことを主因に、全体では前年度比3.5%増加(+70億円)し、総額2,058億円となった。

照会先

政策委員会室

梁島
Tel : 03-3279-1111

1.令和3年度末の資産、負債及び純資産の状況

令和2年度末の資産、負債及び純資産の状況(単位 : 億円)
2年度末
(A)
3年度末
(B)
比較
(B) - (A)
前年度比%
(資産の部)
金地金4,4124,412――――
現金1,9912,983+992+49.8
国債5,321,6525,261,736マイナス59,915マイナス1.1
(うち長期国債)4,957,7705,112,312+154,541+3.1
コマーシャル・ペーパー等28,76425,143マイナス3,621マイナス12.6
社債74,98485,830+10,845+14.5
金銭の信託
(信託財産株式)
5,8104,575マイナス1,234マイナス21.3
金銭の信託
(信託財産指数連動型上場投資信託)
358,796365,657+6,861 +1.9
金銭の信託
(信託財産不動産投資信託)
6,6686,661マイナス7マイナス0.1
貸出金1,258,4021,515,328+256,926+20.4
外国為替76,78783,064+6,276+8.2
代理店勘定18147マイナス134マイナス74.0
その他資産4,8844,767マイナス116マイナス2.4
有形固定資産2,2272,320+92+4.2
無形固定資産14+33.9倍
資産の部合計7,145,5667,362,535+216,969+3.0
(負債の部)
発行銀行券1,160,1161,198,707+38,590+3.3
預金5,493,7275,897,473+403,746+7.3
(うち当座預金)5,225,7035,631,784+406,081+7.8
政府預金369,179130,325マイナス238,853マイナス64.7
売現先勘定5,9479,199+3,251+54.7
その他負債1,8902,799+908+48.1
退職給付引当金2,0502,070+20+1.0
債券取引損失引当金51,98056,010+4,029+7.8
外国為替等取引損失引当金15,31418,924+3,610+23.6
負債の部合計7,100,2067,315,511+215,304+3.0
(純資産の部)
資本金11――――
法定準備金33,16733,777+609+1.8
特別準備金00――――
当期剰余金12,19113,246+1,054+8.7
純資産の部合計45,36047,024+1,664+3.7
負債および純資産の部合計7,145,5667,362,535+216,969+3.0
  • (注1)計数については、円単位での計算後、億円未満を切り捨てて表示しているため、表上の合計額とは必ずしも一致しない(他の計表も同様)。
  • (注2)< ―― >の表記は、計算上ゼロあるいは該当数字なしを示し、< 0 >の表記は、単位未満を切り捨てた場合のゼロを示す(他の計表も同様)。

2.令和3年度の損益の状況

令和3年度の損益の状況(単位 : 億円)
2年度
(A)
3年度
(B)
比較
(B) - (A)
経常収益 (A)24,19130,507+6,316
貸出金利息00+0
買現先利息――マイナス1マイナス1
国債利息10,86611,233+367
コマーシャル・ペーパー等利息マイナス3マイナス4マイナス1
社債利息821+12
外国為替収益3,0127,299+4,287
その他10,30711,958+1,651
経常費用 (B)4,4276,322+1,894
売現先利息マイナス55マイナス0+54
外国為替費用――1,037+1,037
経費1,9902,018+28
その他2,4933,267+774
経常利益 (C) = (A) - (B)19,76424,185+4,421
経常収入11,64611,598マイナス48
長期国債関係損益――――――
外国為替関係損益2,4787,220+4,742
経費マイナス1,990マイナス2,018マイナス28
その他7,6297,385マイナス244
うち金銭の信託(信託財産株式)運用損益2,5052,973+467
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益7,2758,426+1,150
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益292315+23
補完当座預金制度利息マイナス2,179マイナス1,802+376
貸出促進付利制度利息――マイナス806マイナス806
特別利益 (D)――100+100
特別損失 (E)5,2347,643+2,408
特別損益 (F) = (D) - (E)マイナス5,234マイナス7,542マイナス2,307
うち債券取引損失引当金マイナス3,987マイナス4,029マイナス42
外国為替等取引損失引当金マイナス1,239マイナス3,610マイナス2,371
税引前当期剰余金 (G) = (C) + (F)14,52916,643+2,113
法人税、住民税及び事業税 (H)2,3383,396+1,058
当期剰余金 (I) = (G) - (H)12,19113,246+1,054
  • (注1)経常収入は、貸出金利息、買現先利息、国債利息、コマーシャル・ペーパー等利息、社債利息、外貨債券の利息収入、貸出料及び外貨預け金等利息の合計額。
  • (注2)長期国債関係損益は、国債(長期)売却損益の額。
  • (注3)外国為替関係損益は、為替差損益の額。
  • (注4)補完当座預金制度利息は、プラス金利に係る利息(マイナス2,075億円)とマイナス金利に係る利息(272億円)との差額。プラス金利に係る利息には、貸出促進付利制度の適用前に付利を行った新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの利用残高に相当する当座預金への付利額(マイナス3億円)を含む。
  • (注5)経常費用及び経常利益のその他には、地域金融強化のための特別当座預金制度の支払利息(マイナス647億円)を含む。
  • (注6)各種引当金のマイナス符号は、積立て(減益要因)を示す。

参考計表

1.資産残高の推移

日本銀行の総資産残高とその前年比伸び率のグラフ。平成31年3月以降令和4年3月まで。総資産残高は、おおむね増加基調で推移している。前年比伸び率は、令和3年1月をピークに縮小していたが、同年11月以降は令和2年2月以前の水準で推移している。

「貸出支援基金」による貸付金の残高(単位:億円)
元年度末 2年度末 3年度末 (参考)
3年度
上半期末
前年度末比
増減額
貸付金合計 517,414 624,122 639,341 15,218 618,197
成長基盤強化を支援するための資金供給 89,276 81,579 80,651 マイナス928 78,194
貸出増加を支援するための資金供給 428,138 542,543 558,690 16,147 540,003

2.長期国債関係損益の推移

長期国債関係損益の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
長期国債関係損益 ―― ―― ―― ―― ――
売却益 ―― ―― ―― ―― ――
売却損 ―― ―― ―― ―― ――

3.外国為替関係損益の推移

外国為替関係損益の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
外国為替関係損益
(為替差損益)
マイナス2,144 2,478 7,220 280 6,939
2/3月末 2/9月末 3/3月末 3/9月末 4/3月末
ドル相場の推移 107.54円 105.46円 110.71円 111.28円 121.67円
ユーロ相場の推移 118.63円 123.60円 129.86円 128.90円 134.65円
ポンド相場の推移 133.56円 136.23円 152.59円 149.94円 159.85円

4.金銭の信託(信託財産株式)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産株式)運用損益の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産株式)運用損益 2,050 2,505 2,973 1,469 1,504
配当金等 451 333 384 176 208
減損 マイナス224 マイナス3 マイナス13 ―― マイナス13
売却損益 1,823 2,176 2,602 1,293 1,308

5.金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益 6,047 7,275 8,426 7,718 708
分配金等 6,047 7,275 8,426 7,718 708
減損 ―― ―― ―― ―― ――
売却損益 ―― ―― ―― ―― ――

6.金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益 79 292 315 164 150
分配金等 239 292 301 151 150
減損 マイナス159 ―― ―― ―― ――
売却損益 ―― ―― 13 13 ――

7.経常収入関係

(1)経常収入の推移

経常収入の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
経常収入 13,170 11,646 11,598 5,693 5,905
円貨資産 11,952 10,872 11,249 5,531 5,717
貸出金 0 0 0 0 0
買現先勘定 マイナス0 ―― マイナス1 ―― マイナス1
国債 11,960 10,866 11,233 5,525 5,708
短期国債 マイナス192 マイナス529 マイナス282 マイナス188 マイナス93
長期国債 12,153 11,396 11,515 5,714 5,801
コマーシャル・ペーパー等 0 マイナス3 マイナス4 マイナス2 マイナス2
社債 マイナス7 8 21 8 13
外貨資産 1,218 774 348 161 187

(2)運用資産平残の推移

運用資産平残の推移(単位:億円)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
運用資産合計(平残) 5,430,323 6,399,363 6,853,738 6,827,292 6,880,329
円貨資産 5,359,330 6,255,687 6,778,234 6,752,969 6,803,639
貸出金 478,771 913,866 1,362,135 1,300,356 1,424,254
買現先勘定 251 ―― 1,473 ―― 2,955
国債 4,826,326 5,246,099 5,304,293 5,345,575 5,262,783
短期国債 103,544 348,527 234,735 317,531 151,485
長期国債 4,722,781 4,897,572 5,069,557 5,028,044 5,111,298
コマーシャル・ペーパー等 22,020 42,239 30,025 29,344 30,709
社債 31,961 53,482 80,307 77,693 82,935
外貨資産 70,992 143,675 75,503 74,322 76,690

(3)運用資産利回りの推移

運用資産利回りの推移(単位:%)
元年度 2年度 3年度
上半期 下半期
運用資産合計(利回り) 0.242 0.181 0.169 0.166 0.172
円貨資産 0.223 0.173 0.165 0.163 0.168
貸出金 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000
買現先勘定 マイナス0.093 ―― マイナス0.094 ―― マイナス0.094
国債 0.247 0.207 0.211 0.206 0.217
短期国債 マイナス0.186 マイナス0.152 マイナス0.120 マイナス0.118 マイナス0.123
長期国債 0.257 0.232 0.227 0.226 0.227
コマーシャル・ペーパー等 0.001 マイナス0.007 マイナス0.014 マイナス0.015 マイナス0.013
社債 マイナス0.024 0.016 0.027 0.021 0.032
外貨資産 1.716 0.538 0.462 0.433 0.490

8.自己資本残高及び自己資本比率の推移

▽ 記者レク資料用(MS明朝)(単位:億円)
元年度末 2年度末 3年度末 (参考)
3年度
上半期末
前年度末比
増減
資本勘定(A) 33,168 33,778 34,440 +662 33,778
資本金 1 1 1 ―― 1
法定準備金等 33,167 33,777 34,439 +662 33,777
引当金勘定(B) 62,068 67,294 74,934 +7,639 69,586
貸倒引当金(特定を除く) ―― ―― ―― ―― ――
債券取引損失引当金 47,992 51,980 56,010 +4,029 54,132
外国為替等取引損失引当金 14,075 15,314 18,924 +3,610 15,454
自己資本残高(A) + (B) = (C) 95,237 101,073 109,375 +8,302 103,365
銀行券平均発行残高(D) 1,082,752 1,138,214 1,176,094 +37,879 1,165,023
自己資本比率(C) / (D)×100 8.79% 8.87% 9.29% +0.42% 8.87%
  • (注)法定準備金等には特別準備金(13百万円)を含む。

9.保有有価証券の時価情報

国債(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 5,321,652 5,415,966 94,314
4/3月末 5,261,736 5,305,471 43,734
コマーシャル・ペーパー等(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 28,764 28,764 ――
4/3月末 25,143 25,143 ――
社債(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 74,984 74,787 マイナス197
4/3月末 85,830 85,532 マイナス298
金銭の信託(信託財産株式)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 5,661 17,364 11,702
4/3月末 4,406 14,109 9,702
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 360,649 515,093 154,444
4/3月末 366,255 513,109 146,854
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
3/3月末 6,574 8,504 1,929
4/3月末 6,566 8,376 1,809
  • (注1)金銭の信託は、信託財産(約定ベース)のみを対象としているため、上記の帳簿価額は貸借対照表価額とは必ずしも一致しない。
  • (注2)時価は、期末日における市場価格等に基づいている。

10.第137回事業年度(令和3年度)経費決算

第137回事業年度(令和3年度)経費決算(単位:億円)
予算現額
A
決算額
B
剰余額
A-B
前年度比
増減額
銀行券製造費 543 543 4 0
国庫国債事務費 217 212 16 5
給与等 528 513 0 15
交通通信費 43 30 マイナス1 13
修繕費 25 24 1 1
一般事務費 536 515 16 21
合計(固定資産取得費、予備費除く) 1,893 1,837 35 56
うちシステム化関係 307 303 9 4
固定資産取得費 225 222 35 4
うち認可対象分 53 50 6 3
予備費 10 10
総計 2,128 2,058 70 70
うち認可対象分 1,956 1,887 42 69
  • (注)単位未満四捨五入。

11.業務分野毎の経費(令和3年度)

業務分野毎の経費(令和3年度)(単位:百万円)
分野 経費
前年度比増減 構成比(%)
発券関係業務 85,979 +550 42.6
金融政策関係業務 23,124 +1,778 11.5
金融システム関係業務 19,878 +1,687 9.8
決済システム関係業務 25,544 マイナス3,787 12.7
国庫・国債・その他政府関係業務 47,309 +2,583 23.4
合計 201,834 +2,811 100.0
  • (注1)損益計算書上の経費を対象に作成している。なお、計数は単位未満四捨五入としている。
  • (注2)日本銀行が行っている国際金融、調査・研究・統計などの業務や対外的な説明活動、組織運営面の取り組みに関する経費は、上記の各業務分野に幅広く共通して関係するため、各業務分野の経費に按分のうえ含めている。