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第138回事業年度(令和4年度)決算等について

2023年5月29日
日本銀行

1.第138回事業年度(令和4年度)決算

(1)資産・負債の状況

令和4年度末における資産・負債の状況をみると、総資産残高は、国債が増加した一方、貸出金が減少したことから、前年度末と比べ1兆1,370億円減少(マイナス0.2%)し、735兆1,165億円となった。また、総負債残高は、預金(当座預金)を中心に前年度末と比べ1兆9,661億円減少(マイナス0.3%)し、729兆5,849億円となった。

こうした日本銀行の資産・負債の変化を詳しくみると以下のとおりである。まず、資産の部をみると、長期国債が、資産買入れを進めるなか、576兆2,197億円と前年度末を64兆9,885億円上回った。一方、貸出金は、94兆4,397億円と前年度末を57兆931億円下回った。このうち、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの残高は、5兆9,810億円と前年度末と比べ80兆8,562億円減少した。

次に、負債の部をみると、当座預金が、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペ等を通じた資金供給の減少により、549兆781億円と前年度末を14兆1,003億円下回った。この間、日本銀行券の発行残高は、121兆9,550億円と前年度末を2兆842億円上回った。

(2)損益の状況

令和4年度の損益の状況についてみると、経常利益は、前年度比8,121億円増益の3兆2,307億円となった。これは、金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用益や国債利息収入が増加したこと等によるものである。

特別損益は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の実施に伴って生じ得る収益の振幅を平準化する観点から、債券取引損失引当金の積立てを行ったほか、外国為替関係損益が益超となったことを受け、外国為替等取引損失引当金の積立てを行ったこと等から、マイナス8,190億円となった。

以上の結果、税引前当期剰余金は、前年度比7,473億円増加の2兆4,116億円となり、法人税、住民税及び事業税を差し引いた後の当期剰余金は、前年度比7,629億円増加の2兆875億円となった。

(3)剰余金処分の状況

剰余金の処分については、日本銀行法第53条第1項に基づき、法定準備金を1,043億円(当期剰余金の5%)積み立てたほか、同条第4項に基づき、財務大臣の認可を受け、配当金(500万円、払込出資金額の年5%の割合)を支払うこととし、この結果、残余の1兆9,831億円を国庫に納付することとした。

(4)自己資本の状況

令和4年度末の自己資本比率(剰余金処分後)は、9.81%と、前年度末(9.29%)に比べ上昇した。

2.第138回事業年度(令和4年度)経費決算

第138回事業年度(令和4年度)経費決算は、「一般事務費」において光熱費およびシステム化関係費用の支出が増加したことを主因に、全体では前年度比3.7%増加(+76億円)し、総額2,134億円となった。

照会先

政策委員会室

二重作・丹羽
Tel : 03-3279-1111

1.令和4年度末の資産、負債及び純資産の状況

令和4年度末の資産、負債及び純資産の状況(単位 : 億円)
3年度末
(A)
4年度末
(B)
比較
(B) - (A)
前年度比%
(資産の部)
金地金4,4124,412――――
現金2,9834,166+1,182+39.6
国債5,261,7365,817,206+555,469+10.6
(うち長期国債)5,112,3125,762,197+649,885+12.7
コマーシャル・ペーパー等25,14321,232-3,911-15.6
社債85,83080,089-5,740-6.7
金銭の信託
(信託財産株式)
4,5753,047-1,528-33.4
金銭の信託
(信託財産指数連動型上場投資信託)
365,657370,459+4,801 +1.3
金銭の信託
(信託財産不動産投資信託)
6,6616,665+4+0.1
貸出金1,515,328944,397-570,931-37.7
外国為替83,06491,105+8,041+9.7
代理店勘定4797+502.1倍
その他資産4,7675,868+1,100+23.1
有形固定資産2,3202,410+90+3.9
無形固定資産44-0-5.4
資産の部合計7,362,5357,351,165-11,370-0.2
(負債の部)
発行銀行券1,198,7071,219,550+20,842+1.7
預金5,897,4735,779,806-117,667-2.0
(うち当座預金)5,631,7845,490,781-141,003-2.5
政府預金130,325155,979+25,654+19.7
売現先勘定9,19953,709+44,5095.8倍
その他負債2,7991,420-1,378-49.3
退職給付引当金2,0702,091+20+1.0
債券取引損失引当金56,01060,622+4,612+8.2
外国為替等取引損失引当金18,92422,669+3,745+19.8
負債の部合計7,315,5117,295,849-19,661-0.3
(純資産の部)
資本金11――――
法定準備金33,77734,439+662+2.0
特別準備金00――――
当期剰余金13,24620,875+7,629+57.6
純資産の部合計47,02455,316+8,291+17.6
負債および純資産の部合計7,362,5357,351,165-11,370-0.2
  • (注1)計数については、円単位での計算後、億円未満を切り捨てて表示しているため、表上の合計額とは必ずしも一致しない(他の計表も同様)。
  • (注2)< ―― >の表記は、計算上ゼロあるいは該当数字なしを示し、< 0 >の表記は、単位未満を切り捨てた場合のゼロを示す(他の計表も同様)。

2.令和4年度の損益の状況

令和4年度の損益の状況(単位 : 億円)
3年度
(A)
4年度
(B)
比較
(B) - (A)
経常収益 (A)30,50737,602+7,094
貸出金利息07+7
買現先利息- 1――+1
国債利息11,23313,319+2,086
コマーシャル・ペーパー等利息- 42+6
社債利息2134+12
国債売却益――158+158
外国為替収益7,2998,897+1,598
その他11,95815,181+3,222
経常費用 (B)6,3225,295-1,027
売現先利息- 0-126-126
国債売却損――228+228
社債売却損――0+0
外国為替費用1,037309-728
経費2,0182,106+88
その他3,2672,776-490
経常利益 (C) = (A) - (B)24,18532,307+8,121
経常収入11,59815,207+3,609
長期国債関係損益――-70-70
外国為替関係損益7,2207,490+270
経費- 2,018-2,106-88
その他7,38511,785+4,400
うち金銭の信託(信託財産株式)運用損益2,9733,541+567
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益8,42611,044+2,617
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益315306-9
補完当座預金制度利息- 1,802-1,766+35
貸出促進付利制度利息- 806-372+433
特別利益 (D)100170+69
特別損失 (E)7,6438,360+717
特別損益 (F) = (D) - (E)- 7,542-8,190-647
うち債券取引損失引当金- 4,029-4,612-582
外国為替等取引損失引当金- 3,610-3,745-135
税引前当期剰余金 (G) = (C) + (F)16,64324,116+7,473
法人税、住民税及び事業税 (H)3,3963,241-155
当期剰余金 (I) = (G) - (H)13,24620,875+7,629
  • (注1)経常収入は、貸出金利息、買現先利息、国債利息、コマーシャル・ペーパー等利息、社債利息、外貨債券の利息収入及び外貨預け金等利息の合計額。
  • (注2)長期国債関係損益は、国債(長期)売却損益の額。
  • (注3)外国為替関係損益は、為替差損益の額。
  • (注4)補完当座預金制度利息は、プラス金利に係る利息(-2,077億円)とマイナス金利に係る利息(310億円)との差額。3年度のプラス金利に係る利息には、貸出促進付利制度の適用前に付利を行った新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの利用残高に相当する当座預金への付利額(-3億円)を含む。
  • (注5)経常費用及び経常利益のその他には、地域金融強化のための特別当座預金制度の支払利息(-748億円)を含む。
  • (注6)各種引当金の-符号は、積立て(減益要因)を示す。

参考計表

1.資産残高の推移

日本銀行の総資産残高とその前年比伸び率の推移のグラフ。令和2年3月以降、令和5年3月まで。総資産残高は、おおむね増加基調で推移していたが、令和4年5月以降同年9月にかけて一時減少。その後、再び増加に転じ、令和5年2月に既往ピークを更新した。前年比伸び率は、令和3年1月をピークにプラス幅が縮小。令和4年8月から同年12月にかけて一時マイナスに転じた。

「貸出支援基金」による貸付金の残高(単位:億円)
2年度末 3年度末 4年度末 (参考)
4年度
上半期末
前年度末比
増減額
貸付金合計 624,122 639,341 722,432 83,091 670,195
成長基盤強化を支援するための資金供給 81,579 80,651 71,489 マイナス9,161 80,845
貸出増加を支援するための資金供給 542,543 558,690 650,943 92,253 589,350

2.長期国債関係損益の推移

長期国債関係損益の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
長期国債関係損益 ―― ―― マイナス70 マイナス24 マイナス45
売却益 ―― ―― 158 ―― 158
売却損 ―― ―― マイナス228 マイナス24 マイナス204

3.外国為替関係損益の推移

外国為替関係損益の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
外国為替関係損益
(為替差損益)
2,478 7,220 7,490 15,063 マイナス7,572
3/3月末 3/9月末 4/3月末 4/9月末 5/3月末
ドル相場の推移 110.71円 111.28円 121.67円 144.76円 132.80円
ユーロ相場の推移 129.86円 128.90円 134.65円 141.88円 143.97円
ポンド相場の推移 152.59円 149.94円 159.85円 161.58円 163.81円

4.金銭の信託(信託財産株式)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産株式)運用損益の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産株式)運用損益 2,505 2,973 3,541 1,578 1,963
配当金等 333 384 295 161 134
減損 マイナス3 マイナス13 マイナス12 マイナス15 2
売却損益 2,176 2,602 3,258 1,432 1,826

5.金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益 7,275 8,426 11,044 10,153 891
分配金等 7,275 8,426 11,044 10,153 891
減損 ―― ―― ―― ―― ――
売却損益 ―― ―― ―― ―― ――

6.金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益の推移

金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)運用損益 292 315 306 154 151
分配金等 292 301 306 154 151
減損 ―― ―― ―― ―― ――
売却損益 ―― 13 ―― ―― ――

7.経常収入関係

(1)経常収入の推移

経常収入の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
経常収入 11,646 11,598 15,207 6,605 8,602
円貨資産 10,872 11,249 13,364 6,018 7,345
貸出金 0 0 7 0 7
買現先勘定 ―― マイナス1 ―― ―― ――
国債 10,866 11,233 13,319 6,003 7,315
短期国債 マイナス529 マイナス282 マイナス91 マイナス55 マイナス35
長期国債 11,396 11,515 13,411 6,059 7,351
コマーシャル・ペーパー等 マイナス3 マイナス4 2 マイナス0 2
社債 8 21 34 14 19
外貨資産 774 348 1,843 586 1,256

(2)運用資産平残の推移

運用資産平残の推移(単位:億円)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
運用資産合計(平残) 6,399,363 6,853,738 6,826,381 6,908,425 6,743,887
円貨資産 6,255,687 6,778,234 6,740,002 6,824,878 6,654,659
貸出金 913,866 1,362,135 1,082,583 1,308,168 855,759
買現先勘定 ―― 1,473 0 0 ――
国債 5,246,099 5,304,293 5,546,766 5,403,563 5,690,756
短期国債 348,527 234,735 106,843 136,558 76,964
長期国債 4,897,572 5,069,557 5,439,923 5,267,005 5,613,791
コマーシャル・ペーパー等 42,239 30,025 27,264 28,293 26,229
社債 53,482 80,307 83,386 84,851 81,913
外貨資産 143,675 75,503 86,379 83,546 89,227

(3)運用資産利回りの推移

運用資産利回りの推移(単位:%)
2年度 3年度 4年度
上半期 下半期
運用資産合計(利回り) 0.181 0.169 0.222 0.190 0.255
円貨資産 0.173 0.165 0.198 0.175 0.221
貸出金 0.000 0.000 0.000 0.000 0.001
買現先勘定 ―― マイナス0.094 ―― ―― ――
国債 0.207 0.211 0.240 0.221 0.257
短期国債 マイナス0.152 マイナス0.120 マイナス0.085 マイナス0.081 マイナス0.092
長期国債 0.232 0.227 0.246 0.229 0.262
コマーシャル・ペーパー等 マイナス0.007 マイナス0.014 0.009 マイナス0.000 0.019
社債 0.016 0.027 0.041 0.034 0.047
外貨資産 0.538 0.462 2.134 1.400 2.825

8.自己資本残高及び自己資本比率の推移

自己資本残高及び自己資本比率の推移(単位:億円)
2年度末 3年度末 4年度末 (参考)
4年度
上半期末
前年度末比
増減
資本勘定(A) 33,778 34,440 35,484 +1,043 34,440
資本金 1 1 1 ―― 1
法定準備金等 33,777 34,439 35,483 +1,043 34,439
引当金勘定(B) 67,294 74,934 83,292 +8,357 84,582
貸倒引当金(特定を除く) ―― ―― ―― ―― ――
債券取引損失引当金 51,980 56,010 60,622 +4,612 58,125
外国為替等取引損失引当金 15,314 18,924 22,669 +3,745 26,456
自己資本残高(A) + (B) = (C) 101,073 109,375 118,776 +9,401 119,022
銀行券平均発行残高(D) 1,138,214 1,176,094 1,209,921 +33,827 1,201,179
自己資本比率(C) / (D)×100 8.87% 9.29% 9.81% +0.52% 9.90%
  • (注)法定準備金等には特別準備金(13百万円)を含む。

9.保有有価証券の時価情報

国債(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 5,261,736 5,305,471 43,734
5/3月末 5,817,206 5,815,635 マイナス1,571
コマーシャル・ペーパー等(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 25,143 25,143 ――
5/3月末 21,232 21,232 ――
社債(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 85,830 85,532 マイナス298
5/3月末 80,089 79,811 マイナス278
金銭の信託(信託財産株式)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 4,406 14,109 9,702
5/3月末 2,935 9,616 6,680
金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 366,255 513,109 146,854
5/3月末 371,160 531,517 160,356
金銭の信託(信託財産不動産投資信託)(単位:億円)
価額 時価 評価損益
4/3月末 6,566 8,376 1,809
5/3月末 6,569 7,350 780
  • (注1)金銭の信託は、信託財産(約定ベース)のみを対象としているため、上記の帳簿価額は貸借対照表価額とは必ずしも一致しない。
  • (注2)時価は、期末日における市場価格等に基づいている。

10.第138回事業年度(令和4年度)経費決算

第137回事業年度(令和4年度)経費決算(単位:億円)
予算現額
A
決算額
B
剰余額
A-B
前年度比
増減額
銀行券製造費 549 549 6 0
国庫国債事務費 213 211 マイナス1 2
給与等 524 515 1 9
交通通信費 42 35 5 7
修繕費 23 21 マイナス3 2
一般事務費 579 570 55 9
合計(固定資産取得費、予備費除く) 1,930 1,901 64 28
うちシステム化関係 333 328 25 5
固定資産取得費 239 233 12 5
うち認可対象分 29 28 マイナス22 1
予備費 9 9
総計 2,177 2,134 76 42
うち認可対象分 1,967 1,929 43 38
  • (注)単位未満四捨五入。

11.業務分野毎の経費(令和4年度)

業務分野毎の経費(令和4年度)(単位:百万円)
分野 経費
前年度比増減 構成比(%)
発券関係業務 87,711 +1,732 41.6
金融政策関係業務 23,084 マイナス41 11.0
金融システム関係業務 19,012 マイナス866 9.0
決済システム関係業務 33,744 +8,200 16.0
国庫・国債・その他政府関係業務 47,132 マイナス177 22.4
合計 210,684 +8,849 100.0
  • (注1)損益計算書上の経費を対象に作成している。なお、計数は単位未満四捨五入としている。
  • (注2)日本銀行が行っている国際金融、調査・研究・統計などの業務や対外的な説明活動、組織運営面の取り組みに関する経費は、上記の各業務分野に幅広く共通して関係するため、各業務分野の経費に按分のうえ含めている。