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総裁記者会見 2024年4月26日(金)午後3時30分から約65分

2024年4月30日
日本銀行

(問)
本日の金融政策決定会合の内容について、展望レポートの内容も含めご説明をお願いします。

(答)
本日の決定会合ですが、無担保コールレート・オーバーナイト物を0から0.1%程度で推移するよう促す、という3月に決めた金融市場調節方針を維持するということを、全員一致で決定致しました。なお、長期国債およびCP・社債等の買入れについては、これもやはり24年3月の決定会合において決定した方針に沿って実施致します。

次に、今日は展望レポートを公表しましたので、最初に、経済・物価の現状と先行きについて同レポートに沿って簡単にご説明します。まず、わが国の景気の現状ですが、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断しました。先行きについては、海外経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられます。物価ですが、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきていますが、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで足元は2%台半ばとなっています。先行きは、2024年度に2%台後半となった後、25年度および26年度は概ね2%程度で推移すると予想しています。前回の展望レポートからの比較でみますと、今年度の見通しが上振れていますが、これは、このところの原油価格上昇の影響等によるものです。消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想されます。見通し期間後半には、物価安定目標と概ね整合的な水準で推移すると考えています。

リスク要因ですが、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は引き続き高く、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を十分注視する必要があります。

金融政策運営については、先行きの経済・物価・金融情勢次第であり、この点を巡る内外の経済・金融面の不確実性は引き続き高いとみています。そのうえで、以上のような経済・物価の見通しが実現し、基調的な物価上昇率が上昇していくとすれば、金融緩和度合いを調整していくことになりますが、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えています。日本銀行は2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営致します。

(問)
幹事社から質問を二問させてください。3月にマイナス金利政策の解除を決められ、今後は追加利上げの時期が焦点となっております。利上げ判断に影響を与える物価2%目標達成の確度の高まりについては、今後どのような材料などを重視されて点検されるお考えでしょうか。

二点目が為替です。円安基調が続いています。円安が物価上昇に大きな影響を生じる場合は、金融政策の変更もあり得るとご説明されていますが、現状の円安についての影響をどのようにお考えでしょうか。

(答)
まず先ほど申し上げた点ですけれども、これからの金融政策運営は、その時々の経済・物価・金融情勢次第という考え方が基本となります。短期金利の水準については、毎回の決定会合で経済・物価の見通しやリスクを丁寧に点検したうえで、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に設定してまいります。これも大体申し上げましたが、先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。更に、経済・物価見通し、リスクが上振れする場合も、政策変更の理由となると考えています。この点ですが、基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも考えてきましたし、これからも考えてまいります。

それから、為替との関係ですけれども、金融政策の主な手段は短期金利になったということで、その水準をどういうふうに決定していくかということですが、その考え方については今申し上げた通りです。為替との関係で申し上げますと、まず、金融政策は、為替レートを直接コントロールの対象とするものではありません。しかし、いつも申し上げていますように、為替レートの変動は、経済・物価に場合によっては影響を及ぼす重要な要因の一つになります。仮に、おっしゃられてきましたような基調的な物価上昇率に、無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮あるいは判断材料となるというふうに考えます。引き続き、為替市場の動向やその経済・物価への影響を、十分注視していきたいと思っています。

(問)
為替についてお伺いします。今回の展望レポートを踏まえてですね、現状の基調的な物価上昇率に円安が与えている影響について、どのようにお考えかというところをお願いします。仮に円安に対してですね、金融政策で対応する場合っていうのは、急激な日米の金利差から考えると、急激な利上げが必要になる場合もあると思うんですけども、その場合の利上げのペースみたいなものはどのようなお考えかというところをお伺いできればと思います。

もう一点は国債の買い入れについてお伺いします。どこかのタイミングで減額されるということをおっしゃっていますけども、それはどのような考え方で進めて、いつ頃を考えてらっしゃるのか。その場合に、要は経済・物価への影響というものをどの程度考慮されるのか、その点も併せてお願いします。

(答)
まず、為替と物価見通しの関係ですけれども、先ほど発表しました政策委員の大勢見通しというところをみて頂きますと、除く生鮮で、24年度のインフレ率予想がやや大幅に上方修正となっています。この主な理由は原油高ですけれども、一部円安の影響も、各政策委員がそれぞれ見通しを作りますので、その人次第でどれくらい上昇したかというところは違いますけれども、若干は含まれているというふうに思います。ただ、その他のところには、見通しの変更、大きなものが今のところ出ていないということで、それだけでということではないですが、基調的な物価上昇率にここまでの円安が、今のところ大きな影響を与えているということではないという判断がここに表れてるかなと思います。ただ、全般的に物価情勢が上振れてきているといいますか、われわれの言葉で言えば、見通し達成の確度が上がっているという状況でありますし、更にここのところ原油高とグローバルなインフレもインフレ率でみて下がってきたのが、若干下げ止まりから、場合によっては反転という話、あるいは見通し達成の確度が少しずつ上がっているということとも関連しますが、企業の賃金・価格設定行動も前向きの動きが継続しているというようなことから、基調的な物価上昇率にここまでのコストプッシュ、第二段階のコストプッシュ的な動きと呼べるかもしれませんが、それが跳ねるリスクもゼロではないと考えていますので、注視してみていきたいというふうに思っています。

それから国債の買いオペについて、国会等でもあるいは前回の記者会見でも、将来どこかの時点で減額ということを視野に入れているということを申し上げてきました。その点は今でも同じ考えでありますし、残念ながら今、具体的にいつの時点でということを申し上げられる段階ではありません。表現を変えてみますと、3月に金融政策の枠組みを変更して、それが金融市場等でどういうふうに消化されるかというところを今まだみている段階ということかなと思います。もしも将来減額をする場合に、そういうことになった場合にということですけれども、それは一つの考え方としては、金融政策の能動的な手段としては使いたくないな、ということでございます。ただし、もちろん将来的に買いオペの金額が減っていけば、保有している国債も徐々に減っていく、残高ですね、ということにつながりますので、日銀がたくさん国債を持っているということから発生しています長期金利を下げるという方向でのストック効果がやや弱まるという効果は発生するということになるかと思います。そういうことも考慮に入れたうえで、短期金利の方の調整を適切にやっていくということになるかと思います。

(問)
今日、決定会合の結果が出てからですね、為替は1ドル156円台となっています。3月の時点では総裁、利上げは急がないということをおっしゃっていましたが、為替を含めた環境変化を受けまして、利上げ時期に対する姿勢というのは変わったのかどうかですね。早期の利上げが必要な段階に来ているというふうにみているかどうかというのを教えて頂けますでしょうか。

それからもう一点なんですが、物価にどれぐらい為替が影響を与えるかというところでいいますと、円安ですとか原油高といった「第一の力」、外的要因によるコストプッシュインフレであった場合でも利上げで対応する必要があると考えていらっしゃるのかどうか、この点をお願い致します。

(答)
どちらも究極的にはこれまで、今日、お話ししてきたこととの関連で申し上げれば、基調的な物価上昇率についての見方に影響があるかどうかというところに沿って、特に金利引き上げ、短期金利ですね、これをいつやるかっていうところは決まってくるということになるかなと思います。為替変動はインフレ率に影響しますけれども、為替が何円から何円に、若干円安になるということのインフレ率への影響は、通常一時的にとどまるということだと思います。しかし、これが長期化するという場合も、繰り返しですがゼロではなくて、それはいったんインフレ率に影響が出て、それが例えば、今年であれば24年のインフレ率に影響が出て、来年の25年の春闘の賃金上昇率に跳ねるようなことになれば、それは影響が長期化する、あるいは「第二の力」に影響する基調的物価の動きに影響するということになるということだと思います。ちょっと長くなっちゃいますが、仮にそういうルートを考えるとして、来年の春闘まで待たないと判断できないのかと問われますと、そうではなくて、そういう動きが予想できるような状況になれば、それはもっと手前で判断できるということではあるかなとは思います。

(問)
植田総裁はですね、先日の会見で、円安の進行によって基調的な物価上昇率に無視できない大きさの影響が発生した場合は金融政策の変更もあり得ると、先ほどお話しした通りだと思うんですけども、今回金融政策の変更がなかったということは、これはつまり円安の進行が、これ無視できる影響だという、そういう範疇になるというご認識でしょうか。総裁のご認識、お尋ねしたいです。

(答)
それは今までの回答とちょっと重なりますけれども、取りあえず基調的な物価上昇率への大きな影響はないと、皆さん判断したということになるかと思います。ただ、申し上げましたように、そこに影響は今後発生するリスクはゼロではないので、注意してみていきたいということでございます。

(問)
つまり今回は、これは基調的な物価上昇率への影響は、まあ無視できる範囲だったという認識でよろしいでしょうか。

(答)
はい。

(問)
今回の対外公表文で、長国の買入れの方針は3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施するということですけども、3月の、前の対外公表文では、概ね同額の長国を買入れする、更に脚注にはですね、足元では同額ってのは6兆円ですというふうになってましたが、今後もですね、3月に沿って、決定に沿ってっていうことですので、6兆円程度の国債[買入れ]を当面継続するという、そういう理解でよろしいでしょうか。

もう一つ、長国の買入れですけども、仮に同額の買入れを継続するということでは、バランスシート政策上で減らすという意味ではなくて、金融調節で[金融]市場局がやっているようなオペレーションで減らしていくっていう、そういった可能性についてはどうお考えなのかというのですけども。4から6[月]のオペ紙では、大体5兆[円]弱から7兆[円]という数字が示されてますけども、例えば市場動向によっては5兆円弱ぐらいまで減らしていくということが考えられるのか、もしくはその5兆[円]から7兆[円]っていうレンジってのは、もっと幅を持たせて考えていってもいいのか、その辺を伺えないでしょうか。

(答)
前半についてはご指摘の通りでございます。3月の時点でお示ししたものから変更ありません。

それから後半ですけれども、日々の[金融]市場局の調節で、ある程度の幅を持って決定し得るというふうにしていますが、そこはこれまでと同様に、内外の市場の動向とか、国債の需給、例えばオペの応札の状況等をみて、若干の幅の中で[金融]市場局に決めてもらうという程度のことを考えています。長期的にオペの金額を減らしていくという際には、政策委員会で決定して、きちんとアナウンスをして進めていくということになります。

(問)
確認ですけど、同額というのは6兆円ですけど、[金融]市場局に認めている幅ってのはどのぐらいということなのでしょうか。

(答)
具体的には特に決めておりません。常識的な範囲でという程度でございます。

(問)
二点伺います。一点目がですね、政策金利の先々の水準なんですけれども、今回の展望レポートの物価見通しをみると、26年度までコアですとか、コアコアのCPIが2%を超えてたり、近い数字が並んでます。2%の目標もほぼ達成しているようにもみて取れるんですけれども、この状況で経済が進んだ場合に、具体的に2年後にはある意味2%を基準に上下、どの辺りに政策金利を置こうか、実際に政策金利を置くかっていう、そういう議論をする経済っていうんですかね、が現実味を帯びているという認識なのか。

あともう一点がですね、金融政策と財政の距離感について伺いたいんですけれども、将来的な国債の購入減額ですとか、保有国債の圧縮ということを示唆されている中で、プライマリー・バランスが黒字化を見通せるような予算組みでない中で、金利が過度に上がるような方向にならないように舵を切ること、国債の購入減額ですとかに舵を切ることが可能なのか、もしくはその財政の議論が片付いた後に本格的な減額、圧縮に踏み切るのか、現時点のご認識を伺えればと思います。

(答)
前半ですけれども、おっしゃるように私どもの見通しですと、エネルギー等の影響を除いたコアコアの方でみて頂きますと、25年度、26年度と2%近い物価上昇率の見通しになっています。ですので、これが実現していけば、本当に実現していけば、ほぼ持続的・安定的な2%の物価上昇の実現にかなり限りなく近づくということだと思っています。ですので、特に見通し期間の後半について、この通りの姿になっていくということであれば、そこでは私どもの政策金利もほぼ中立金利の近辺にあるという状態にあるんだろうなという展望は持っています。ただ、これも何回か申し上げてますように、中立金利の水準について、かなりの不確定性があるので、そこは今後分析を深めつつ、最終的といっていいか、到達するところがどの辺かということについて、もう少し知見を深めていきたいとは思っております。

それから財政政策と金融政策との関係という話ですが、抽象的な言い方になりますが、私どもとしては経済・物価情勢、特に物価見通しに従って金融政策を運営していくということですので、財政政策の動き、先行き、あるいはそれについての何か変化があるという場合には、それが物価・経済見通しにどういう影響を与えるかという点を精査し、そのうえで金融政策を決めていくという基本姿勢でございます。

(問)
二点お伺いします。一点目は、為替の円安の基調的物価への影響についてですけれども、総裁、先ほど来年の春闘まで必ずしも待つかというとそうではなくて、予想できる状況になれば、もっと手前で判断することもあるとおっしゃいましたけれども、併せて単一の指標で判断することではないということも併せておっしゃってますが、これもう少し具体的にどういう状況であれば、もっと手前で判断するという可能性があるのか、少し具体的に伺えればと思います。

それから二つ目は長期国債の買入れ減額ですけれども、これをどういうふうに将来的に考えていくかという点について、昨日、今日の今回の決定会合では何か議論があったんでしょうか。

(答)
前半ですが、為替が基調的物価上昇率にどう影響するかという点のご質問だったと思うんですけれども、それを確かめるのにどういう指標をみていくのかというご質問だったと思いますが、基本的には一般的に基調的物価上昇率の今後、あるいはそれがわれわれの見通しの姿と整合的な動きをしていくかどうかという際のチェックポイントという意味で話しますと、やはり春闘で強かった賃金が現実に経済全体の賃金にきちんと跳ねていくかどうかという点。それから、上昇していく賃金がサービス価格にどういうふうに跳ねていくかという点、更にそこに円安や原油高に伴う輸入価格の上昇がサービス価格だけでなくて、広い価格水準にどういう影響をしていくかという観点。更には最初の方で申し上げましたが、企業サイドの賃金・価格設定行動が持続的に前向きになりつつありますけれども、これが今後どういうふうに展開していくか、この辺りをみつつ、今後の基調的な物価上昇率の動きを判断していくということになるかと思います。

それから、国債買入れについて今日の決定会合でどういう議論があったかというご質問だったと思いますが、これは今日の会合では6兆円で続けるということに関して特に反対は出なかったということでございます。それ以外にどういう議論があったかということについては、今後、主な意見等で主要なものについてお示しできるかと思います。

(問)
総裁、縷々出ている先ほど来の為替の件なんですけれども、そもそも論になって恐縮なんですが、足元の急速な円安というのは一体何に起因していると総裁は分析しておられるのでしょうか。当然、日米の金利差でありますとか投機的な動き、デジタル赤字等々、様々な要因が市中では語られておりますけれども、総裁ご自身はどのように考えていらっしゃるのかということを教えてください。

それからもう一点ですが、この円安が更に進行していく場合は、いわゆる「第一の力」が減衰せずに盛り返してしまう可能性もあると思います。その場合、物価上昇が勢いづく一方で、個人消費は更に冷え込む懸念もあると思うんですが、そうした中で、先ほど来おっしゃっている追加利上げや、あるいは量的引き締めといったことが進めていけるのか、あるいはまたそれが適切なのかということについて、ビハインド・ザ・カーブのリスクとの兼ね合いも踏まえて総裁のお考えをお教えください。

(答)
まず、前半の為替レートの動きの評価ですが、これは申し訳ありませんが、いつも申し上げている通り、為替の短期的な動きについてのコメントは差し控えさせて頂ければと思います。

それから、後半ですけれども、確かに円安の動きが続きますと、「第一の力」のところにどれくらい長く続くかはまた別の話ですが、影響があるということはあるかと思います。その程度によっては、これまでも若干そうでしたが、実質所得に対する下押し圧力を通じて、消費に悪影響が及ぶという可能性もゼロではないと思います。私どもは、このこととは独立に、今後、まず名目賃金が強含みの方向であるということと、ここまで「第一の力」が減衰するに伴って、全体のインフレ率が下がってきている、両方から実質賃金ないし実質所得が改善の方向にあるということで、消費がもう少し強い動きを示していくというところについて期待感を持っているわけですが、それが今の話との関係で本当に実現していくかどうかということは、政策運営上も一つの重大なチェックポイントとして考えております。

(問)
私も、それぞれ質問出てる為替についてお伺いさせて頂きます。総裁、先日のG20で、為替の影響は無視できないものになればという話で、ただ一方で先ほど質問で、それほど大きくないというようなご認識だったと思うんですけど、この1か月間でもドル円で言えば4円ぐらいは動いてるかと思うんですけど、どういったところで無視できないものとか影響が大きいという判断になるのか、ちょっとやや抽象的な話なのかもしれないですけど、まずそれを一点目お聞かせください。

(答)
これは、先ほど来お話ししてることと一部重なりますけれども、これまでお話ししてきたことと同じような表現で申し上げれば、為替の変動のところは、まず「第一の力」のところに直接影響するということだと思います。従って、そこがまず、どれくらいの大きさになるかということは評価のポイントですし、そのうえで、それが「第二の力」、基調的な物価上昇率にどう影響していくかというところを見極めるということになるかと思います。その際に、一つのメカニズムとして、これも先ほど申し上げましたが、「第一の力」が上がることが、まず、例えば今年のインフレ率全体の姿にどういう影響を及ぼし、それが「第二の力」の一つの重要な構成要素であります来年にかけての賃金動向に、どういう影響を及ぼしていくかというようなところを見極めていくということになるかと思います。

(問)
もう一点です。追加利上げの条件で、まずインフレ率がどう跳ねて、来年の春闘とか賃上げ、賃金の動向にどう影響するか見極めるところがポイントみたいな話なんですが、するとやはり、もちろん、前回3月の会合みたいに直前、集中回答日とかのときまで待つっていうパターンもあるんですけど、逆にもう夏から秋ぐらいにかけてある程度見通せれば、あとその物価の基調とかを判断すれば、追加利上げの環境は整うというようなご認識でよろしいか、ちょっと確認させてください。

(答)
冒頭でちょっと申し上げましたけれども、追加利上げ、あるいは今後金融緩和の度合いを調整していくというアクションですけれども、これは別のご質問でも出ましたが、既に物価見通しが、見通し期間の後半にかけても2%前後になっていますので、この見通し通りに沿って現実が動いていけば、それだけで金融緩和度合いの調整の理由になるというふうに考えています。それがいつの時点でそういう判断ができるかというのは、非常に難しいところですけれども、見通しからずれる大きな動きがないと利上げの判断をしないということではなくて、見通し通りに動いていくということが重なれば、それで政策金利の変更の理由になるということですし、見通しから更に上方にずれる可能性が無視できない確率で出てくるという場合には、もちろん更に調整の理由になるというふうに考えています。

(問)
賃金と物価の好循環のところで、総裁は前からサービス価格の重要性を言われていたかと思うんですけども、今朝、4月の東京[CPI]が発表されて、その中のサービス価格をみるとその前年比の幅が3月よりも下がってるんですけど、思ったほどは、賃金上昇してそれがサービス価格にシフトしていないような感じもするんですけども、日本で言われる4月・10月に大きい企業の価格改定の面から、今日出た数字なのでまだ分析終わってないかもしれませんけれども、その辺のご感想をお伺いできればですけど、よろしくお願い致します。

(答)
私も今朝の確か8時半にデータをもらったばっかりで精査できていないんですが、確かにサービスのところで上昇率が、4月の東京、下がっているわけですが、これは私ども予想していたんですが、東京都の高校教育無償化の影響が非常に大きく出ているということだと思います。0.5%[ポイント]ぐらいインフレ率を引き下げる影響があるだろうというふうに以前よりみていました。ただこれは、全国では、全国の中の東京のシェア分だけという評価になりますので、全国CPIに与える影響は0.1[%ポイント]もないかどうかということだと思います。そのうえで、その他のサービスのところをみてみますと、必ずしも弱い動きばかりではなくて、上昇率が上昇しているところもあるというふうに、今、みていて思っております。ですので、特殊要因を除くと、すごい弱くなったというふうには判断しておりません。

(問)
二点あります。一点目は、先ほど見通し通りになれば中立金利の水準に近づいていくということなんですが、あくまで毎回の決定会合で金利を決めるということであると思うんですが、ある程度の中立金利までの道筋を考えると、それなりのスピードというかペースでもって金利を上げていかないと、後々急に金利を上げなければいけなくなるリスクがあると思います。毎回の経済・物価をみながらというところと、そうした少し長い目でみたあるべき金利の水準に持っていく、そこのバランスをどうとらえていらっしゃるのかというのが一点目です。

二点目は、予想インフレなんですけれども、短観等をみますと、企業の中長期の予想インフレはかなり2%にアンカーされてるようにもみえます。一方、家計や市場の見通しというのはまたちょっと違うものかもしれませんが、現時点で予想インフレの動向と先行きについてどのようにみてらっしゃるのか、お願いします。

(答)
前半は、見通し通りに経済が推移したときに、どういうスピードで金利を引き上げていくのか、そこに関する判断というご質問だと思いますけれども、先ほども申し上げましたが、一つに中立金利の水準について、まだすごい狭い範囲に絞るということが必ずしもできていないので、これは当然、なるべく早い期間にもう少し絞るという作業を続けたいと思います。それをやるにつけても、少しずつ金利が上がっていく際に、それに対して経済がどういう反応を示すかということに関する情報が非常に重要になります。どこかの記者会見でお話ししたと思うんですけれども、過去2、30年間、持続的に金利が上がったという経験が、少なくとも名目金利でいいますと、日本経済はないわけで、そういうデータの蓄積が不十分でございます。分からないということばかり申し上げて恐縮ではありますが、そこの不確定性にも配慮しつつ慎重にということと、あまりゆっくりやっていると、ご質問にありましたように、どこかで急激に進めないといけない、それに伴うショックが発生するリスクもあるということのバランスを取るのは、非常に重要であるということはよく認識しておりますので、良いバランスの取り方ができるように努力したいと思います。

(問)
二点目の予想インフレの先行き評価をお願いします。

(答)
これは、インフレ率をみている主体によってかなり水準にばらつきがあります。従いまして、一つの方法としてはそれを加重平均してみるというようなことを、私ども時々したりしております。その中でも、少し先、中長期のインフレ予想というものを加重平均した姿でみますと、少しずつ上昇を続けてきていて、1%台半ばくらいにあるのかなというふうに大体判断しています。

(問)
二点お伺い致します。一点目が今回の展望レポートで、1月の展望レポートで記述していた物価の下方リスクについての文言をなくして、上振れの可能性に言及しました。これは上振れリスクの方が、今、下方リスクより高まったという認識でよいのか、現状認識の理由も併せてお伺いできればと思います。

二つ目が先ほど言及されました為替の基調インフレに跳ねるリスクなんですけれども、基調インフレに影響を及ぼすセカンド・ラウンド・エフェクトが、今、現状で5%の賃上げないし2%近傍のインフレ率が続く中で、過去の慣例よりも影響が大きくなるといったご認識がありますでしょうか。

(答)
まず、展望レポートの物価見通しのリスクですけれども、見通しの概要ページにも書いてございますように、24年度については、上方リスクの方を意識する、あるいは意識している委員方が多くなっていますけれども、その後については概ねバランスしているということでございます。

それから、為替の影響を含めて基調的物価上昇率の今後ですが、その中で5%を超える春闘の結果がどう影響しそうと判断しているかというご質問でしたでしょうか。

(問)
過去のノルムとかは、現在の構造が変わっている中で、為替の円安水準が続いてそのコストプッシュが基調インフレに及ぼすセカンド・ラウンド・エフェクトっていうのが、昔よりも強まっているのではないかというそのご認識です。

(答)
仮に過去のデータを用いて為替の10%の変動が消費者物価指数にどれくらい影響を与えるかというのを推計したとしますと、ある値が出てくると思いますが、それが今おっしゃったノルムという点からみますと、0%インフレのノルムが根強い期間のデータに基づいた推計ですので、それが変わりつつある現在では、そうした推計結果よりもやや大きめの影響が出てくる、そこだけを取りますと、まず「第一の力」への影響ということだと思いますが、可能性はあると思っていますし、そのリスクは認識しつつデータ等をみていきたいというふうに思っています。

(問)
先ほどですね、現状の為替の基調的な物価上昇率の影響について無視できるかとの問いに対して、はいとおっしゃっていたんですけども、具体的にどのレベルになったら無視できないとお考えになるのかというのをちょっとお聞かせ頂きたいです。ゴールデンウィーク、明日から始まりますけれども、海外などで特にアメリカなんかですね、ハワイに行った人はもう外食なんか高くて自炊することが流行っているとかですね、海外で駐在する人、出かけて行く人などかなり苦労しているという話も聞きます。この辺は、これでも影響ないと考えられる理由というのは何なんでしょうか。

(答)
これは先ほどもお答えしたことと重なるんですが、まず「第一の力」に影響があるというところは、はっきりしているかと思います。そのうえで、それがどれくらいの大きさ、どれくらい続きそうかという点をみたうえで、「第二の力」にどれくらい波及していくか、というところをみていくということに尽きるかなと思います。

(問)
総裁、先ほどから物価見通しがこのまま実現していけば、というお話されていますけれども、今回もそれがされてきたということだと思うんですが、その確度が高まっているということですよね。とすると、総裁が以前からおっしゃってる閾値っていうのはどの程度高まってきているのか、高まっていると考えていいのか、利上げまでの距離ですね。

あともう一つ短く、日銀っていうのは、これまでちょっと前にもなりますけど、円安というのは経済全体にとってはプラスだっていうことを以前は言ってきたわけですけど、今の時点で総裁ご自身はどういうふうにお考えになっているか、お願いします。

(答)
見通し実現の確度という点から申し上げますと、このところ継続的に上がってきているということだと思います。そのうえで、3月の決定会合では、それまでの枠組みを停止するというために必要な閾値を超えたという判断で政策変更したということでございます。閾値自体はそういうもので、ある種、御用済みになったということかと思います。

それから、為替の経済への影響ですが、今日のご質問は、主にインフレ率への影響ということ、特に直接の影響というところが中心だったわけですが、もちろん総需要サイドにも為替レートの動きが影響するわけで、そこにはプラスのものもあるということだと思います。それを含めて経済全体の動きにどういう影響があるか、そして更に結果として、インフレ率、特に中長期的な「第二の力」への影響も決まってくるということだと思います。

(問)
さっき物価の見通し、何度か先ほどから上振れリスクという話、上振れの要素があるってお話が出てましたけど、3月にマイナス金利解除した際、この場ではどちらかというと緩和的な金融環境続くと、緩和的なスタンスってのがすごい強調されてたように感じたんですけど、その3月に考えていたときよりは確度も高まって、追加の利上げの時期が近づいているというふうに進展してきてるっていうふうなことなんでしょうか。

(答)
3月時点と比べて、現在にかけて入ってきた情報を基準に判断するとどうかということだと思うんですが、ここ1か月強に入ってきたいろいろなデータ、情報等は、かなりの程度、3月時点でこうなるだろうというふうに予想していた姿に近いものだったというふうに判断しています。ただ、その中で原油価格や円安の動きというのは、ややそこから少し上方にずれた動きであって、今のところ、先ほど来申し上げているように、「第一の力」のところに影響を及ぼす動きであるけれども、「第二の力」への影響の度合いを今後注意深くみていくということかなと思っております。

(問)
ちょっと逆説的な質問になってしまうかもしれないんですけども、今回の展望レポートで26年度まで1.9%と予測されましたけども、ある意味でより物価目標の達成確度が高まったようにもみえて、そういう意味ではそれこそすぐ利上げしてもいいんじゃないかというような判断もなきにしもあらずと言えたのかもしれないんですけども。改めてですね、今、中東情勢、円安の物価高、海外経済減速リスクもある中で、今回の利上げの判断を見送ったというのはどういった理由なのかっていうのは、ちょっと改めてお伺いできればと思います。

(答)
この見通しの数字をみますと、概ね2%か、あるいは除く生鮮の24年度は2%をかなり超えているわけですけれども。こうした2%前後、あるいはそれを超える見通しの中には、弱まりつつあるとはいえ、過去の「第一の力」の波及効果が含まれているというふうに考えています。ですから、そこを取っちゃうとここより少し下の数字になる。取っちゃったものが基調的な物価上昇率というイメージです。その基調的物価上昇率はまだ2[%]を下回っているというふうに考えていますので、緩和的な金融環境、現実的には今のところは0から0.1%という短期金利の水準が適当であるというふうに考えているということです。

(問)
これから短期金利を引き上げるうえで、ちょっと細かい話になってしまうんですけど、例えばここのレポートでも出てる中小企業を中心に価格転嫁が容易ではないっていう声が出ているという話であるとか、円安が進む中で仕入れ価格がしっかりと転嫁していけるのかっていうのも更にハードルが上がっていく可能性もあると思うんですけど。

その点とですね、あとは実質賃金がやっぱりまた下がり続けている中で、例えば住宅ローンが上げられれば返済できなくなるリスクも高まってくる。そういうところを考えて、どういうふうにその辺のリスクをみて今後の引き上げの判断にしていくのかというお考えを聞かせて頂きます。

(答)
一つは中小企業等でまだコストを価格に転嫁することが必ずしもできていないとみられる点をどう考えるかということですが、ここは大事なポイントですので、引き続き注意深くみていきたいと思いますけれども、そういう完全にはできていないということをある程度織り込んで見通しを作っています。ですから、そこは完全にみんなコスト転嫁ができるようになるという状態になれば、見通し対比上振れた物価のパスになるということかなと思います。

それから、実質賃金がまだ弱い動きが消費にどういう影響を与えるか、あるいは金利を仮にここから上げていった場合に、住宅ローンの返済金額が上昇して、これもまた消費に、その辺は当然、今後仮に利上げをするという意思決定をする場合には十分確認しつつ、その決定をしていくということになると思います。

(問)
先ほど、物価目標が実現する状況では、短期金利は中立金利程度になると、そういうご趣旨の発言をされたわけですけども、今回の展望レポートの見通しに沿って物価が推移する場合は、25年度にもですね、早ければ物価目標が実現できる可能性があると思いますが、見通しに沿って推移する場合は、目標が25年度に実現するような状況では、その頃には中立金利水準に短期金利は達しているというふうにお考えなのか、その辺を教えてください。

(答)
いつ基調的な物価上昇率が2[%]に、満足のいくかたちで届いたと判断できるかというのは、ちょっと現状はタイミングを特定するのは難しいかなと思っておりますが、この見通し期間の後半にかけてのどこかでは、そういう状態になればというふうには思っております。

(問)
すいません。その見通し期間に達すれば、もう中立金利に短期金利はなっているという理解でよろしいんでしょうか。

(答)
概ね、というふうに申し上げたいと思います。

(問)
先ほどの総裁の、今の円安は無視できる材料だというのは聞き捨てならないお話ですので、改めてこれについて伺いたいんですが。この今の足元の急速な円安っていうのは、財界トップもこぞって問題視しておりますし、先ほども質問の方いらっしゃいましたけれども、相対的にこの超円安によって日本人は相対的に貧しくなるという話ですから、日銀にとっても決して無視できない話だと思うんですけれども、この1年、円は主だった通貨の中で1人負け状態だと思うんですけれども、様々な経済指標からは、必ずしもこの今の1人負け円安ってのを説明しきれないと思うんですけども、この日銀の10年間の金融政策等、積み残された負の遺産がもたらしている円安ということは言えないんでしょうか。

(答)
繰り返しになりますが、まず「第一の力」的なところには無視できない影響を与えつつあるというふうにはまず考えております。ただし、金融政策判断上は「第二の力」、あるいは基調的物価上昇率が、現状でも先ほど来申し上げてますように、2[%]をまだちょっと下回っているという状況の中で、円安の影響も含めて、利上げをしていくということが本当にプラスかどうかという観点から考えたいというふうに思っております。

(問)
あの、財務省の為替介入に任せればいいという話ですか、この急速な円安ってのは。

(答)
財務省がどうなさるか、そういう点に関するコメントはちょっと差し控えさせて頂ければというふうに思います。

(問)
先ほどですね、次の利上げの判断に関連して、近年、連続で利上げしたということがないので、その社会に対する影響のデータの蓄積がないということでしたけれども、総裁が次に利上げしたときに、どこのセクターのどういう影響っていうのを特に注意してみられるのか、基本的な考え方を教えて頂きたいのと、その分析を終えて追加利上げを検討できる時期について、大まかなイメージがあれば教えてください。

(答)
時期についてはちょっと申し上げられませんというか、今、特定の考えを持ってるわけではないですけれども、そのうえで一般論になりますけれども、当然、利上げの影響は広範な経済主体に影響が及びます。当然、資金の借り手、企業であったり住宅ローンの借り手に直接の影響が出ますし、利払い費への影響を通じて消費にも影響があるかもしれません。それから、そういう様々な借り手への影響、プラス現在保有している有価証券の評価等を通じて金融機関、金融システムへの影響も考えなくてはいけないというふうに、多様な影響を考慮しつつ、利上げを注意深く、やるんであれば進めていくということになるかと思いますが。

(問)
基調的な物価の上昇率についてお伺い致します。これ一概に示すのは難しいということだと思うんですけれども、総合的に判断するということになれば、その根拠が曖昧で、政策修正の分かりにくさであったり、あるいは恣意的な判断につながりかねないというふうに考えています。客観性を高めたり恣意性を排除したりするためには、どういう考えでしょうか。

(答)
難しいのは、基調的な物価上昇率というのは、申し上げるまでもないとは思いますけれども、全体の物価上昇率から一時的な動きを取り除いた部分ということになるかと思います。ところが何が一時的かっていうことは、時代、その時点によってどんどん変わっていくということで、あるやり方で、あるいはある項目を外すと、一時的な変動を取った残りの分が出てくるという固定的なやり方がないということが、難しさだと思います。従って、総合的な判断という、ちょっと分かりにくい表現になるわけですが、対応方法としては、いろいろな手法で一時的な変動を除いてみる。そして、作り出したある種の加工された物価指数、これは複数のやり方があると思いますが、それをお示しして、それをわれわれもみるし、皆さんにもみて頂く。あるいは、もうちょっと技術的には難しいモデル分析を使って、基調的な物価がどうかというところを推計してみてその動きをみるような、複数のやり方を重ねて、何とかどの辺にあるかということを見極めていきたいというふうには考えております。

(問)
円安、資源価格の上昇が輸入物価上昇につながった場合、その輸入物価上昇から財価格への波及というのは半年程度かかるっていうのを総務省で言ってるわけなんですけれども、今般の円安の輸入物価上昇への波及、これを見極めるには、ある意味半年程度かかるとみられる中で、そうすると日銀としては次の利上げっていうのは向こう半年間は基本的にないという理解なのか、いやそれよりも前に、総裁おっしゃるような「第一の力」、「第二の力」に波及する可能性が出てくれば、例えば次の展望回、7月ですけども、7月の決定会合で、再度、経済・物価見通しを見直したうえで、7月会合で利上げする可能性もあるのか、この点をお聞かせください。

(答)
輸入物価から国内物価、あるいはサービス価格への波及のラグですけれども、それは半年かどうかちょっと分からないですけれども、ある程度のラグがあって、しかもそれはそのときの情勢次第で動くんだと思います。先ほど来ちょっと出ていますように、ノルムが変わりつつあるところではラグは短くなるかもしれないし、影響の度合いも大きくなるかもしれない。そういうリスクには配慮して経済を見極めて、あるいは物価動向を見極めていきたいとは思っています。ただ、そのうえで申し上げれば、輸入物価の動向そのものをみますと、21年から22年にかけてものすごい上昇したわけですが、それと比べると足元の上昇はそれほどのものではない、そう言うと怒られるかもしれませんが、まだ当時の急上昇というほどのものではないということも、注意しておかないといけないかなとは思います。

(問)
基調的な物価上昇率が高まる中で、今回、金利の調節を維持したということは、金融緩和の度合いはより強まっている、強めたということなのでしょうか。

(答)
3月から4月にかけて、目にみえて基調的な物価上昇率のところがはっきりと高まったというふうには必ずしも考えていないです。ちょっと申し上げましたが、3月の時点で得られていた情報プラス3月の時点でその先4月にかけて出てくる情報もある程度予想して、3月時点で、大体、基調的な物価上昇率はこの辺だということを考慮に入れて、大きな政策変更をしたということでございます。そのときに決めた政策金利、0から0.1[%]というオーバーナイト・コールレートの水準は、現状ではまだ適切な水準であるというふうに考えております。

以上