総裁記者会見 2025年12月19日(金)午後3時30分から約70分
2025年12月22日
日本銀行
(問)
本日の金融政策決定会合の内容について、ご説明をお願いします。
(答)
本日の決定会合では、金融市場調節方針について、政策金利であります無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標を、従来の0.5%程度から0.75%程度へと変更することを全員一致で決定しました。これに伴い、補完当座預金制度の適用利率および基準貸付利率の変更も決定致しました。続いて、今回の金融市場調節方針の変更の背景にある経済・物価情勢についてご説明します。まず景気ですが、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。賃金を巡る環境を整理しますと、労働需給が引き締まった状況が続いているほか、企業収益は関税政策の影響を加味しても全体として高い水準を維持することが見込まれます。こうしたもとで春季労使交渉に向けた労使の対応方針や、日本銀行の本支店を通じたヒアリング情報等を踏まえますと、来年は今年に続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと考えられます。この間、米国経済や各国の通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っていますが、低下しています。物価面をみますと、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、消費者物価の基調的な上昇率は緩やかな上昇が続いています。このように最近のデータやヒアリング情報からは、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高いと考えられ、先行き、展望レポートの見通し期間後半には、基調的な物価上昇率が2%の物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移するという、中心的な見通しが実現する確度は高まっています。こうした経済・物価情勢を踏まえ、今日の会合では、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断しました。政策金利の変更後も実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えています。
今後の金融政策運営については、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえますと、展望レポートで示している経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。日本銀行は、2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。
(問)
本日、追加利上げを決めた理由について詳しくご説明をお願い致します。判断材料とされた賃上げの見通しに加え、不透明感が低下したとされる米国の関税政策、米国経済の足元での評価について教えてください。
二問目は、今後の利上げペース、中立金利についての考え方を教えてください。今回の利上げ後もなお緩和的で、経済・物価情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げる、緩和度合いを調整するということですが、かねて示されている中立金利の推定幅の下限は1%であり、今回の利上げで一歩下限に近づく中、今後の利上げに当たり一段と注意して観察されるデータ、情報があれば教えてください。
(答)
まず最初の利上げの背景ですけれども、前回の10月の決定会合では、アメリカをはじめ、海外経済を巡る不確実性がなお高い状況にあったことに加えまして、わが国企業の積極的な賃金設定行動が途切れることがないかどうかを見極める、そういう観点から、来年の春季労使交渉に向けた初動のモメンタムがしっかりしているかどうかを確認したいというふうに考え、政策金利を据え置きました。その後の動向をみますと、まずアメリカ経済については、関税コストの販売価格への転嫁が引き続き緩やかなものにとどまる中で、個人消費が堅調に推移しています。それから、AI関連需要の拡大を背景に、設備投資も増加を続けています。こうした点を踏まえて労働市場の動向などなお留意すべき点は少なくないわけですが、経済全体の下振れリスクはひと頃より低下していると考えられました。次に、関税政策のわが国経済への影響については、製造業を中心に収益に下押し圧力がかかってはいますが、設備投資や雇用・賃金動向を含め、経済全体に波及している様子は窺われないとみています。こうした中、今週ですね、発表されました短観をみますと、企業収益についても製造業を含め、今年度の収益計画が3か月前の計画から小幅ですが上方修正となるなど、先行きの不透明感は次第に薄れてきています。このように米国経済や関税政策の影響を巡る不確実性は引き続き残ってはいますが、低下しています。そのうえで先ほど申し上げた通り、この間明らかとなってきました労使の来年春闘に向けた対応方針や、私どもの本支店を通じたヒアリング情報等を踏まえますと、来年は今年に続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高いと考えられます。消費者物価の基調的な上昇率について緩やかな上昇が続いていることと合わせて考えると、今後とも賃金と物価がともに緩やかに上昇するメカニズムが維持される可能性が高く、私どもの経済・物価の中心的な見通しが実現する確度は高まっていると判断しました。こうした経済・物価情勢を踏まえ、今日の会合では2%の物価安定目標の持続的・安定的実現という観点から、これまでお示ししていました金融政策運営方針に沿って、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断したところです。
続いて、今後についてのご質問ですけれども、まず先行きの金利パスや金融緩和の度合いを調整するペースは、今後の経済・物価・金融情勢次第であって、毎回の金融政策決定会合において、経済・物価の見通しやリスク、見通し実現の確度をアップデートしながら、適切に判断していく方針です。それから、中立金利ですけれども、中立金利の推計値ですが、以前よりずっとお話ししてきました通り、相当なばらつきがあります。従いまして、その水準を前もって特定することは難しく、かなりの幅を持ってみる必要がある、というふうに考えています。このことを前提にしますと、私どもとしては、今後とも短期金利の変化に対する経済・物価の反応を点検し、中立金利の水準をそういうことから探りながら、金融緩和の度合いを調整していくことが適当と考えています。そのうえで、金融緩和の度合いを評価するに当たっては、短期金利と中立金利の関係だけでなくて、実質金利の水準や貸出の動向などを含め、経済・物価・金融情勢を丁寧に点検しながら総合的に判断していく必要があると考えています。
(問)
私から二問ございます。まず一つがですね、今回の利上げで政策金利が30年ぶりの高さになったと思います。日本がですね、長期にわたるデフレや低金利時代から更に一歩抜け出したというふうにもとらえられますが、総裁として今回のこの利上げで30年ぶりの政策金利水準ということの歴史的な意義について、お考えを伺えればと思います。
二問目ですが、先行きの利上げについてですけれども、先ほども言及がありましたが、今回の声明文で、利上げ後でも実質金利は大幅なマイナスが続き、きわめて低い水準という従来の表現を踏襲されているかと思います。これは、いわゆるターミナルレートが引き上がったため、0.25%上げてもまだかなり距離があるということなのか、あるいは単純に、実質金利のマイナス幅が深いということを指しているのか、もう少し、このきわめて低いというご見解の背景についてご説明を頂ければと思います。
(答)
まず、30年ぶりの0.75%ということですが、特に特別の意味はないというふうに思っております。というのも、これまで0.5%が暫く上限になっていたわけですが、その頃と比べると、インフレ率が格段に高くなっていまして、環境が大きく違うということかなと思っています。ただし、そうは言っても、0.75%が30年ぶりということは事実でございますので、どういう影響があるかは注視してみていきたいと思います。
それから、0.75[%]になっても実質金利はきわめて低いということの意味ですけれども、一つには、きちんと特定は難しいと申し上げた中立金利ですが、その推計値のある種下限には、まだ少し距離があるということが一つ言えるかと思います。それから、先ほど申し上げたように、中立金利がどれくらいか、あるいは中立金利と現実の金利の差、これを推し量っていくに際して、金利を調整したときの経済・物価あるいは金融情勢の反応をみながらやっていきたいというふうに申し上げました。既に、ここまでに、マイナス金利からゼロ金利に移行するところを含めまして、何回か金利を上げてきております。それに伴っての経済・物価あるいは金融環境の変化を改めて振り返ってみますと、利上げによって、そういうところに、ものすごい強い引き締め効果が出たというわけでもないというふうにも考えられます。そうした点を総合的に判断しますと、まだ実質金利はきわめて低いところにあるというふうに考えた次第です。
(問)
私から二問お伺いします。今回の利上げが住宅ローンや企業の借り入れなど、経済に与える影響について改めてお伺いします。一方で、経済をサポートするということですから、そうすると円安の修正も含めて物価を抑制する効果というか、その部分はかなり限定的ということなんでしょうか。その点も併せてお願いします。
もう一問。先ほどの中立金利の話にちょっと戻るんですけども、次に利上げがあると政策金利は1%ということになります。そうすると日銀が推計する下限に当たっている可能性があると思いますが、現時点でもこの水準に上がったとしても緩和的であろうというふうにみていらっしゃるのか、それとも経済・物価の反応をみながらでないとそこは判断できないのか、その点もお伺いします。
(答)
まず、0.5[%]から0.75[%]に上げた場合の影響ということですけれども、単純に緩和的な状況はベタッて続いているということではなくて、緩和の度合いを少し弱めているという操作をしているということでございます。従いまして、経済に対するサポートは続くと思いますし、市場にそれなりの影響はあるかとは思っております。そのうえで、経済への影響でございますが、これは例えばどういうゾーンの金利で借り入れをしているかということによって、そこそこ異なる影響が出てくるということだと思います。借入主体でみれば、短中期のゾーンはまだ実質金利が低いところですが、長期以降はそこそこ上がっていますので、長期の貸出の金利、あるいは固定金利の住宅ローンの長いところ、そこには多少の影響はこれから出てくるっていうことだと思います。ただそれも企業収益が非常に好調であるとか、賃金が伸びているとか、そういうこととの相対で判断すべきというふうに思います。
それから、1%にこの先もしなったとしたら、そこでも緩和的な状況といえるかどうかというご質問だったと思いますが、これはご指摘があったように、もちろん中立金利の推計はもっとシャープにできれば、それはそれに越したことはないわけですが、そう簡単ではないと思っておりますので、そっちはそっちで続けつつも、基本的には金利を0.75[%]に上げたときの今後の経済・金融環境・物価の反応をよくみて判断するということになるかと思います。
(問)
先ほど経済の点検要因について貸出動向を挙げられましたけども、政策金利を引き上げてからですね、短期プライムレートとか住宅ローンとか、実際の金利に反映されるのはかなりちょっとタイムラグがあると思うんですけども、やはりそういった貸出動向がちょっとどこか変調を来すまでですね、ある程度見極める必要性というのが今後の段階ではあると、政策判断についてはお考えなのかというのが一点です。
もう一点がですね、最近の円安なんですけれども、この円安に伴うエネルギー価格とか食料品価格とかその辺の物価上振れリスク、また物価の基調に与える影響について今回の利上げではどの程度勘案したのか、その点二点お願い致します。
(答)
利上げの経済への影響をみる際に金融環境に与えている影響をみたいと申し上げて、当然その中には貸出の動きも入ってくると思います。貸出自体はすぐに動くか動かないかといえば、限界的なところはレスポンスが速いところもあるかと思いますが、ゆっくり動いていく面はあるかと思います。ただそれでも月次単位でデータが入ってきますし、その手前あるいはそれと同時に、いろいろなサーベイ調査で金融機関の貸出態度とか、企業からみた資金のアベイラビリティとか、あるいはややずれますけれども企業の倒産動向とか、様々な高頻度のデータが金融環境周りで手に入ります。それと金融市場の様々な変数もみて、金融環境にどういう影響を与えているかということはチェックしていきたいと思います。
それから、為替レートに関する考慮は今回の決定でどういう影響を与えたかということですけれども、これは詳しくは主な意見をご覧頂きたいと思いますけれども、複数の委員が最近の円安が輸入価格あるいはそれが転嫁されて国内価格に上向きの影響を与えている、あるいはこれから与えていく可能性がある、そして場合によっては基調物価にも影響するかもしれない、そこもみていかないといけない、ということを指摘されたことは申し上げておきます。
(問)
まず、中立金利に向けた段階的な利上げスタンスについて伺います。日銀が公表した複数の中立金利の推計モデルの値ですが、こういうものをまず、なぜ幅のあるものを公表したのか、対話のツールとして公表したのか、その点を伺えればと思います。あとこのような値がいくつかある場合、普通は上下の極端な数字を弾いて、残りの値を均したりとか中央値を取ったりとかしてみるとは思うんですけれども、政策の運営の念頭に置くようなイメージもあるんですが、現状、中立金利の総裁の頭の中にある位置付けっていうところをもう少しクリアに対話として表現できないものか、その点を伺いたいと思います。
あともう一点がですね、政府と日銀の意思疎通について、今日午前の会見で片山大臣にお聞きしますと、大臣が旧大蔵省ですかね、いたときに総裁がいらしたこともあったと。財務大臣と日銀総裁という関係以上に非常に意思疎通がいいとおっしゃっていました。総裁はどう思われてますかっていうところで、政府と日銀のこの役割分担、ポリシーミックスの観点からその観点を伺えればと思います。
(答)
まず、中立金利の推計のところですけれども、これはうまくいくかどうかは別にして、中立金利という概念自体は金融政策の枠組みを考えていく際に非常に重要な概念ですし、分かるものならちゃんと分かって、それをもとに政策をやった方がいいということは確かだと思います。なぜ推計してその結果を公表したかということですけれども、それは外国でも同じような問題意識から中立金利の推計はこれまでたくさんなされていますし、ある程度は様々な中央銀行はそれを参考にしてるということもありますので、私どもも様々な方法で推計し、取りあえず結果を公表してきたということであります。そのうえで先ほども申し上げたように、現状では非常に幅のある推計結果となっているということですし、特にそのうちのここが非常にもっともらしいということが言える段階ではないのでそのまま出した、絞ったものは出さずにそのまま推移しております。ただ、今後はもちろん必要に応じて、あるいは機会があれば、再推計とかを試みたいと思いますし、更に、再推計したとしても、すぐに範囲が縮まるとも必ずしも思えないですけれども、それに加えて、様々な推計には、それぞれの特性がありますので、どういう方法を使っているかというのは違いますので、その中で現状にどちらかといえばフィットした推計方法かどうかというような点も、もっと注意してみていきたいなというふうに思っております。ただそれでも、こうした統計的作業だけで絞りきれるかというとそうではないということは最初に申し上げた通りで、金利調整に対する経済の反応をみながら、中立金利についても類推していくしかないなというふうには思っております。
それから政府との意思疎通についてのご質問ですが、ご指摘のように、もちろん片山財務大臣とは、この間、密接に良い意思疎通ができていると思いますし、それを含めまして、政府の様々な方々と、私だけでなくて、私どもの様々なレベルで意思疎通を図ってきております。今後も一段の努力を重ねたいと思います。
(問)
12月の会合に向けて、11月には審議委員の方々、12月には総裁が名古屋で講演されて、結構というか相当な踏み込んだ発言があったかと思うんですけど、それによって市場もマスコミも、結構助かったと思うんですけども、それは昨年の7月の教訓が影響したのか、その辺が一点目と、それから、日本銀行としては、政策判断は経済・物価動向をみて決められる、ということですけれども、市場から言わせると、基調インフレ率がなかなか分かりづらい中で、それみての政策の運営がなかなか難しいと。そうするとやっぱり、経済指標ではなく審議委員、総裁方々のコメントしか注目してないような傾向が強いかと思うんですけども、その辺を総裁どういうふうにお考えか、できればお伺いしたいんですけど、よろしくお願い致します。
(答)
まさに、最後におっしゃったような懸念が一部にあるということもありまして、私どもとしては、なるべく日頃から金融政策の基本的な考え方を詳しくご説明して、ご理解頂くということに、不十分であるかもしれないですけど、努めてきております。現在の基本的な考え方は、ヘッドラインのインフレ率というよりは、基調的な物価を重視して政策運営を決めていくということですし、基調的物価の動きをみる際には、これもいろいろな指標とかがあって難しいですけれども、基本は賃金と物価がともに緩やかに上昇するというメカニズムが続くかどうか、どの程度のレベルで続くか、というところになりますので、そこを確認しつつ、その一つのピースである賃金、前回の会合から足元、そして向こう数か月をみた場合には、来年の春闘の動きが大事になるということで、その初動のモメンタムを確認したいということを足元では申し上げてきたところであります。それは前回の記者会見でも申し上げましたし、必ずしも十分に理解されたかどうか不安な面もありましたので、名古屋の講演でもう一度詳しくご説明したというところでございます。
(問)
来年の物価動向について伺いたいんですけれども、来年、食料価格の上昇が一服を致しまして、消費者物価指数の上昇率は2%を下回る場面もあるというふうに予測をされております。そこで確認なんですけれども、ヘッドラインの物価が大きく下がっているような状況であっても、例えば基調的物価の状況であるとか、経済情勢でありますとか、そういったもの次第では利上げを継続するということはあり得るというふうに、することは十分可能であるというふうにお考えでしょうか。まずこれが一点です。
もう一点がですね、長期金利が、先ほど19年7か月ぶりに2%を超えております。今後も日銀の利上げが継続するとの見方ですとか、あるいは財政悪化の懸念というのが背景にあると思われます。総裁は、この市場動向をどのようにご覧になっておられますでしょうか。また、急激に金利が上昇した場合、日銀としてどのように対応されるかという、改めてお考えを伺えますでしょうか。
(答)
まず、来年の物価動向ですけれども、おっしゃるように、私どもとしては、特に食料品のインフレ率が、インフレ率としては低下していくとみていますので、それに政府の物価対策も加わりまして、ヘッドラインのインフレ率は、来年前半には大きく低下し、2%を下回るというふうに言っています。そのもとでの、若干政策運営的な話ですけれども、繰り返しになりますが、金融政策としては、ヘッドラインのインフレの動きよりは、基調的な物価上昇率がどうなっていくかというところをみていますので、それはどうなるかと展望してみますと、ヘッドラインのように下がってという動きにはならずに、賃金、そして賃金が物価にどう影響していくかというところで大きく左右されていくというふうにみています。申し上げましたように、来春闘に向けての初動のモメンタムは、まあまあですので、賃金が思っているように上がれば、基調的物価上昇率が、少なくとも下がっていくということはないというふうにみていますし、賃金が見通し通りに上がっていくという中で、それが物価にも波及していくという動きは継続していくということが、連続的に少しずつ確認していくわけですけれども、続けば、適切なタイミングで利上げがみえてくるということは、十分あり得るかなというふうに思っております。
それから、長期金利について一般的にどうみているかというご質問だったと思いますが、長期金利の足元、短期的な動きについては、具体的なコメントは避けたいと思いますし、それは市場で形成されることが基本でございます。市場の経済・物価見通し、あるいはそのベースになります金融政策に対する見方、あるいは財政政策に対する見方、海外の長期金利、これらを反映して変動するものだというふうに思っております。しっかりみていきたいと思います。それから、そうした通常の動きとは異なるような例外的な動きをした場合に、というのが後半のご質問だったと思いますが、これは従来から申し上げている通り、機動的に、場合によってはオペを実施するということでございます。
(問)
先ほど、円安が物価上振れの要因という指摘があったというお話がありましたけれども、今の為替水準を今回の判断材料に加味したのかというところが一点です。
もう一点は、国内経済へのご認識についてなんですけれども、総裁は日本経済についてインフレの状態にあるというご発言を何度かされていると思いますが、今の経済情勢についてはインフレが長期化していると、そういうご認識でいらっしゃるのかどうか教えてください。
(答)
為替レートと物価の関係につきましては、足元、円安で輸入価格が大幅に上昇して、それが国内価格にものすごい跳ねて、ヘッドラインインフレがものすごい上がってるというコメントがあったというわけではなくて、しかしここまでの円安が今後そういう動きを引き起こしていくリスク、それには留意が必要だというコメントがあったということでございます。
それから、日本経済がインフレの状態にあるかどうかというご質問だと思いますが、もちろんヘッドラインのインフレ率も、私どもが重視しています基調的物価上昇率も、ここ数年ゼロを超えていることは確かであると思います。そういう意味では、インフレの状態であるということだと思います。ただその中で、私どもとしては、2%のところに持続的・安定的にインフレ率を収束させるということを目指して金融政策を運営しているということでございます。
(問)
二問、やや関連してるんですがお願いします。一点目は、声明文ではアメリカの関税の影響が当初みていたよりも小さい、また基調的な物価上昇率はいったん伸び悩むというよりは徐々に高まっていくということで、10月の会合時点よりやや物価・経済を前向きに判断しているのかなと思います。こうした判断を経て、今回利上げしたということであると思うんですが、こうした前向きな見方がみられたということは、今後も複数回の利上げが視野に入っているということでいいのか、今回の景気の判断が今後の利上げにどういうインプリケーションを持つのかっていうのが一点目の質問です。
二点目は、中立金利と政策金利の距離なんですが、名古屋の記者会見では、利上げした際にもう少しその距離についてはっきりと明示しますと言って頂いたんですけれども、実際は幅がある中立金利の概念の中で、その距離は難しいと思うんですが、先ほど下限からは少し距離があるとおっしゃったので、そこが今の政策金利と中立金利との距離という、そういう明示されたご判断ということなのか、今後の利上げを考えるうえで、この距離について何かもう少しヒントが得られればと思うんですがそこはいかがでしょうか。
(答)
おっしゃるように、インフレ率についても成長率についても下振れリスクが低下したということが、今回、見通しが実現する確度が上昇して、そして利上げの判断につながったということでございます。そのうえで、更に先の金利のパスについて、今回そういう見方の変化をしたことがインプリケーションを持つのかというご質問だったと思いますが、それはあくまでこれから次の会合、あるいは次の次の会合にかけて入ってくる情報、データ次第であるというふうに言わざるを得ないかなというふうに思います。
それから、中立金利と現実の金利の距離感について、もう少し情報が何かないかというご質問だったと思いますけれども、これは先ほどの方のご質問に対する答えを繰り返すことにならざるを得ないと思いますけれども、不十分ではあるけれども、推計された中立金利の下限よりもまだ少し下にあるというのは弱い一つのエビデンスであろうかと思いますし、それから申し上げたように、これまでやってきた利上げの影響をみたときに、ものすごい金融緩和度合いが急速に引き締まっている、縮まっているというようなエビデンスはないようにみえるという辺りでございます。
(問)
二問お伺いします。一つは今後、見通しの実現に当たっての懸念材料についてお伺いします。いろいろご指摘があったんですけど、アメリカ経済やアメリカの関税政策の影響、それ以外に例えば中国も今、景気の悪化懸念が進んでるんじゃないかといわれてますが、そういった他の要因がないかどうか。あと今回の利上げの判断の材料の一つになった賃上げですね、これについても例えば中小企業ですとか、業種毎によっては例えばちょっと賃上げが難しいんじゃないかというような考え方もあるかと思うんですけども、そういった懸念材料について、もう少し情報を頂ければと思います。それが一点です。
もう一点は長期金利に関連してなんですが、日銀が今進めてる国債買入れの減額ですね。この今のペースが例えばこの長期金利上昇に何か影響を与えているのではないかとか、見直すお考えがないかとか、そういったことについて教えてください。
(答)
今後を見通した、まず、リスクとしてはどういうものをということですが、もちろん引き続き、関税政策の米国経済あるいは世界経済に与える影響についてはリスク要素としてみています。ただ一時に比べますと、リスクの度合いは低下したとみています。それでも警戒はしていかないといけない、つまり、今のところ関税の影響をアメリカの、特に企業部門が吸収してるというところがかなりあるかと思いますが、これがもう少し消費者の方に転嫁されていく可能性がそこそこある。そうなっていった場合にアメリカの消費とか、私どもからみれば輸出に影響があるかどうかという辺りは十分みていかないといけないと思いますし、それから、AI周りの好調さがどれくらい持続するかというのも論点かと思います。中国についても足元やや減速の傾向がはっきりしていますが、ここもリスクとしてみています。ただある程度のところまでいけば、何らかの政策対応が取られるというふうにみていますので、大変なことになってしまうというふうにはみていないです。それから日本の中小企業周りについてはもちろん金利が上がっていく、あるいはインフレで一緒に賃金も上げていかないといけないという中で、ついてこられるかどうかというような観点から、もちろん常に注意してみております。
それから長期金利と、日銀の買いオペないし日銀が持っている国債残高との関係の周りの話に関するご質問だったと思いますが、前から申し上げておりますようにストック効果、つまり私どもが依然としてやや減ったとはいえ、大量の国債を持つことが金利を押し下げているという効果は相応に働いているかと思います。ただ将来オペがどういうふうになっていくか、それに伴って国債残高がどれくらい減っていくかというパスもかなり明らかにしていますので、将来減っていくというところまでマーケットは予想して、ある程度ストック効果が少し小さくなってるという面はあるかもしれません。いずれにせよ今後、買いオペそれから私どもの国債保有残高のパスがどうなっていくかということについては、定例的には来年の初夏にもう一度点検する予定ですし、本当に必要があれば、決定会合で臨時にまた点検するということも可能性としてはあり得ます。
(問)
一点お願いします。日銀は食料品価格の上昇というのは一時的なものというご認識だと思うんですけれども、これがその基調的なものに変わっていくという恐れはないのでしょうか。特に今の円安が進行したり継続したりした場合に、食料品価格というものが基調的に上がった状態が続くというリスクはございませんでしょうか。
(答)
そういう面もあるかもしれませんけれども、理屈上は賃金が継続して上がる、2%インフレと整合的な率で上がっていくということがうまくいけば展望されるわけですけれども、そうしましたら様々な企業、食料品関係の企業を含めまして、それはある種のコスト上昇になりますから、その分は価格に転嫁されるということは継続的に起こる可能性がありますし、食料品価格上昇の理由のアンケートみたいなのをみていますと、そういうことも理由の一つだというふうに答えてる企業もある程度の割合でいると思います。その部分は基調的なインフレ率の一要素だと思いますけれども。
(問)
物価の上昇が続いてる中で、日銀が利上げに慎重な姿勢が物価高を助長している面もあるんじゃないかと思うんですけど、今後利上げをしていく場合に、この判断をこれまでよりも早めていくような考えっていうのは今現在ございますでしょうか。
(答)
申し上げるまでもなく、私どもが適切なタイミングで利上げの判断をするということが物価を持続的・安定的な2%にスムーズに着地させるために必要なことでして、そうなるように適切な判断を続けていきたいと思います。
(問)
賃上げの関係についてですね、先ほども少し出たんですが、中小企業の方では、あの25年並みは難しいという声が多く聞かれたという調査結果出ておられたかと思います。大手企業が堅調に賃上げを進めていく中で、採用競争力が相対的に落ちていくところにあると思うんですが、今回の利上げに当たってですね、現状、中小企業の業況についてどのように判断されているのかというところと、併せて緩和的環境のサポートっていうところが、これから若干弱くなると思うんですが、そのことによる中小企業の業績への下押し圧力が経済全体に与える影響っていうところをどういうふうにご覧になっているか教えてください。
(答)
春闘の初動の動き、モメンタムチェックの中で、中小企業についてもなるべくみるようにしてきましたけれども、労使双方で若干ではありますけれども、前向きの動きは、ちょっと具体的な名前は省略させて頂きますが、あったというふうにみていますし、私どもの支店を通じる調査でも中小企業のコンタクト先にかなりの程度、ヒアリング等は行っています。そのうえで、賃金引き上げの前提となる収益、これについてですけれども、これはですね、例えば、法人企業統計で、規模別に収益動向をチェックしたりしますと、必ずしも中小企業は悪くないという結果が出ています。従いまして、経済全体としては、ある程度好調な収益を中小企業も上げているということかなと思います。従って、問題はばらつきであったり、あるいはすごい零細な企業がどうかというところだと思いますので、そこは、なるべく手を尽くしてみていきたいと思っています。
(問)
今回これまでのご説明の中で、12月会合で利上げができると判断した理由は理解したんですけれども、逆に言うと、この支店を通じた、例えば賃上げのアンケート等を実施して12月に判断しなければならない、あるいはするべきと考えた理由はどういうところにあるのか、例えば円安が長期化していることなどを念頭に置かれたのか、そういった点についてお考えをお聞かせください。
(答)
一般論になりますけれども、利上げのタイミングを間違えますと、あるいは遅れますと、いつも申し上げていることですけれども、後になってきわめて大幅な利上げを迫られるという可能性がしばしばあります。そういうことによっては、経済あるいは金融に大きなマイナスですので、そういうことが基本的な判断の根拠でございます。
(問)
今後、経済・物価や金融情勢をみながら、利上げの反応をみながらですね、中立金利の居所というのを探っていくというお話でしたけれども、中立金利っていうのがどこにあるのかってのは定かでない中で利上げを続けていくときに、利上げのときに中立金利を超えてしまうリスクもあるんじゃないかなと思いまして。そうすると、今後の利上げに当たっては、これまでとは違って、経済・物価・金融情勢の判断をより慎重にやっていかなければならないのではないかなと思うんですけど、この辺いかがでしょうか。
(答)
そういうリスクがあることは否定できないですけれども、これは、諸外国の中央銀行をみても、中立金利が分からない、そういう中で、分からないというか、必ずしも正確には特定できないという中で、利上げや利下げの判断を迫られるということはみんなやってきてることですので、データをこれまで以上にきめ細かく、特に何回も今日申し上げましたが、金利変化に対する経済・金融の反応をきめ細かくみることによって、過ちの可能性をできるだけ低くしたいと思います。
(問)
今回の利上げは、今年1月の利上げ以来11か月、約1年ぶりの利上げになったと思います。前回の利上げのときも、しっかりとした賃上げを実施するといった声が聞かれるというようなお話をされてまして、今回も、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高いというようなことを理由に挙げられていたと思います。ただ、春闘のこういう賃上げを確認することでここ2回の利上げを判断されたってなると、次、利上げするときも、また春闘というものに依存するというか、そこの判断がないとできなくなってしまうんじゃないかなと少し思ったんですが、今後も賃金と物価が緩やかに上昇していくメカニズム、これを確認するのにはどういうところを確認して判断ができると考えていらっしゃるのか、教えてください。
(答)
賃金と物価が相互に影響しあって少しずつ上昇していくという基調的物価の上昇の根本のところをみるには、やっぱり賃金が一つの大きなポイントになるということで、たまたま、たまたまといいますか、この2回の利上げは、賃金のところに焦点が当たったということでありますが、賃金の上昇が物価にどう波及するかというところは当然大きなポイントでありますし、そこは非常に難しくて、物価の動きが、これも申し上げてますように、基調的な物価の動きと一時的な動き、両方からきてますので、基調的な物価の動きはどうなのかというところをまず識別しないといけないわけですが、それができたうえでどう動いてるかということをみて、政策の判断をするということは、当然十分あり得るということだと思います。
(問)
会見が始まりましてからね、わずかですけれども円安が進んでます。その後はみてないんですけども、これは中立金利へのご回答にあるようにですね、若干、次回以降の利上げについて、総裁のご発言が慎重だなというふうに受け取っているのかなと思ったりしてます。円相場について非常に関心が高いのはですね、やっぱり消費者としての国民は円相場に振り回されてるんですね。インフレに苦しんでるわけですけれども、特に食品インフレに苦しんでいて、食品は自給率が38%しかないようにですね、非常に円安に影響をすごく受けて、値上げが続いてるのもそのせいですよね。そういう意味で言うと、今回の利上げは歓迎されているとは思いますが、あえて言えば、国民生活が豊かになるようにね、円高に進められるような、金利水準で言えば1%が既に実現しているようなぐらいのことがあっても良かったんじゃないかと思います。そういう意味では、どうでしょう、不透明感が今後もね、薄れていくようならば、利上げスピードを加速する可能性はあるんでしょうか。
(答)
為替レートの短期の動きにはコメントを差し控えますけれども、ご指摘のような円安が物価に影響を与える、あるいは特に基調的な物価に影響を与えるという可能性については、企業の賃金・価格設定行動が積極的になっているもとで、注意してみていきたいと思います。
(問)
今回、実質金利について、きわめて低いとか大幅なマイナスっていう評価をされたわけですけども、この文言については、常識的に考えれば、あと1回、0.25%の利上げでは対処しにくいと思うんですけども、この大幅なマイナスの実質金利、きわめて低い実質金利に対して、残り1回の利上げで対処することもあり得るというふうに考えてよろしいんでしょうか。
(答)
対処といいますか、利上げの余地がどれくらいかというご質問だと思うんですけれども、それは先ほど来申し上げてますように、今回の利上げの経済・物価・金融環境への影響をチェックしつつ判断していきたいと思っております。
(問)
先ほど質問でですね、今回、政策金利0.75[%]、30年ぶりの水準ということについて、特別な意味はないと、物価状況を含めて違うからという話をされてましたけれども、ただこれだけ異常な金融緩和が続き、一方で下振れリスクもある中で、今日の冒頭のコメントをお聞きしていてもかなり苦労されながら利上げをしてるということが読み取れるんですが、30年目の節目ですので、この異常な金融緩和であったアベノミクスについてどう評価、意味をどうみるか、そしてアベノミクスから決別するときだと私は思いますけれども、総裁はその点はどういうふうにお考えかお聞かせください。
(答)
アベノミクスとの関係ですけれども、基本的には、アベノミクスといいますか、政府と日銀の共同声明(注)に沿って、私ども金融政策を行ってきたんだと思いますけれども、今は最後の仕上げ時期に入っているという認識でございます。もちろん、その副作用もあったと思いますし、いつも申し上げてるようにこれから出てくるものもあるかとは思いますけれども、取りあえず私どもの目指すところとしては、最後の仕上げをなるべくスムーズに着地させるというところでございます。
(問)
中立金利の推計に幅があって難しいということは、よく理解致しました。改めてですね、総裁ご覧になってその中立金利を推計するうえで、大事な要素っていうのは例えばどんなものがありますでしょうか。それは半年前、1年前と比べて何か変化はありますでしょうか。
(答)
一つは、答えになってないんですが、データがたくさんあった方がいいということですし、更に申し上げれば、中立金利の周りで中立金利より高かったり低かったりということが何回も繰り返されていると、中立金利はより精密に推計されやすいということです。残念ながら、そういう何回ものサイクルは過去2、30年みても日本経済にあまり多くはなかったということです。また違う観点から申し上げれば、中立金利は潜在成長率と関係が深い概念ですので、潜在成長率について、もう少し情報があるとか、そこと中立金利の関係については考察を深めるとか、それはもう一つの接近方法だと思います。
(問)
今回の決定の中で、実質金利がきわめて低い水準にあるという表現がありましたけれども、この実質金利というのはどの実質金利を指すのか。これまで1年、10年を使って、差し引くインフレ率は予想物価上昇率を使っているケースが多かったかと思うんですが、総裁、先だっての12月1日の講演では、コアCPIを差し引くのに使ってらして、改めてこの実質金利はどの数字を指すのかなっていうのを、というのも、どちらを用いるかでCPIと予想物価上昇率、今後、日銀の予測だと方向性が違うので、緩和度合いというのも分かれてくるのかなと思いまして、実質金利の定義を教えて頂ければ幸いです。
(答)
実質金利の計算のときに、予想インフレ率のところに何を使うかという点は、その計算をする人の考えで幅がある概念だと思います。ただ、様々な予想インフレ率を使っていろいろ計算したとしても、オーバーナイトの政策金利のところから2、3年のところ、短期ゾーンまでは、はっきりと大きなマイナスだということは言えるかと思います。
(問)
中立金利についてお伺いしたいんですが、日銀の推計として幅はあるものの、大体1から2.5%というものを出されていると思います。総裁のお考えとしては、幅があるけど大体この間にあると考えてらっしゃるのか、ということは1%にいったら、別に上限にぶつかったということでもないし2.5%までいけるということでもないという理解をしていいのか。それとも先ほど来おっしゃってるように、経済・物価・金融情勢をみながらということであれば、例えば0.75[%]で終わって利上げっていうのが、これが中立という可能性も総裁はお考えになっているんでしょうか。
(答)
大事な点としては、統計的な推計作業だけでは絞りきれないようなもの、あるいは、ような状況にあるということだと思います。従って繰り返しですけれども、金利変動に対する経済の反応をみつつ、手探りでみていかないといけないということだと思います。
(問)
足元の為替相場についてお答え頂けないのは承知しておりますが、円安の構造要因についてお伺いしたいと思います。今の物価高が始まった起点となった2022年からカウントしますと円ドルレートでいうと40円ぐらい円安になってるわけですね。これは普通の景気変動の影響の幅を大きく超える、非常にあの尋常ならざる変動幅だと思うんですけれども、この変動というのは日本経済どのような構造変化が起きたのかということを総裁にお伺いしたいと思います。日本の産業がそこまで地盤沈下したんでしょうか、あるいは日本経済の競争力がそこまで劣化したんでしょうか。
(答)
具体的な要因分解のようなことは、ちょっと私手元でしておりませんし、コメントを差し上げるのに適当ではないと思いますが、一つは内外金利差がおっしゃった期間では大きな影響を与えたと思います。その他におっしゃるような構造要因がある程度の影響を与えた可能性はあると思いますが、その構造が何であるかとか、その全体に占めるウエイトがどれくらいかということについては、ちょっと今はコメントを差し控えさせて頂ければと思います。
(問)
1年以上前の用語で恐縮なんですけれども、かつて物価上昇の圧力について「第一の力」と「第二の力」という概念を提示されてご説明された時期がございました。足元の為替状況を考えると、いわゆる「第一の力」が再び戻ってきたということになりますが、この「第一の力」が戻ったこのような状況は物価上昇率2%に収束することを目指されるうえでポジティブなのかネガティブなのか、総裁のお考えをご教示願います。
(答)
「第一の力」と「第二の力」の関係は微妙なところでして、「第一の力」の多くは一時的な要因ですので、時間が経てば消えていってしまうものですけれども、これが何らかの要因で、例えば期待物価上昇率に影響を与えるとか、それを通してのケースもありますが、賃金上昇率に影響を与えるというようなメカニズムを通じて「第二の力」に波及するということは十分あり得るかと思います。ということにとどめさせて頂きます。
(問)
ビハインド・ザ・カーブに陥るリスクは総裁は小さいとみてらっしゃるとは思うんですけれども、今後の利上げもですね、これまでのようなペースで急がず、徐々に進めていくというおつもりでいらっしゃるのかどうか、その点をお願い致します。
(答)
文字通りのペースについては、今後のデータ、経済情勢で判断していくということでありますが、やり方としてはおっしゃった言葉を用いて表現させて頂ければビハインドにならないように、つまりインフレ率がスムーズに目標に着地するように適切に政策判断をしていくということでございます。
- (注)会見では共同宣言と発言しましたが、正しくは共同声明です。本文に戻る
以上
