総裁記者会見
2026年1月23日(金)午後3時30分から約60分
2026年1月26日
日本銀行
(問)
本日の金融政策決定会合の内容について、展望レポートの内容も含めてご説明をお願いします。
(答)
今日の決定会合では、無担保コールレート・オーバーナイト物を0.75%程度で推移するよう促す、という金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定しました。高田委員は、物価安定の目標は概ね達成されていて、海外経済が回復局面にあるもと、国内物価の上振れリスクが高いとして政策金利を1.0%程度に引き上げる議案を提出しましたが、反対多数で否決されました。
本日は展望レポートを公表しましたので、これに沿って、経済・物価の現状と先行きについてご説明したいと思います。まず景気ですけれども、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断しました。先行きについては、各国の通商政策等の影響を受けつつも、海外経済が成長経路に復していくもとで、政府の経済対策や緩和的な金融環境などにも支えられて、所得から支出への前向きな循環メカニズムが徐々に強まることから、緩やかな成長を続けると考えられます。前回の展望レポートからの比較でみますと、政府の経済対策の効果などから2025年度と[20]26年度がいくぶん上振れている一方、2027年度はいくぶん下振れています。物価についてですが、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足元では2%台半ばとなっています。先行きですが、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、本年前半には2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられます。もっとも、この間も、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくメカニズムは維持され、消費者物価の基調的な上昇率は緩やかな上昇が続くと見込まれます。その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率は、ともに徐々に高まっていくと予想され、見通し期間後半には物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移すると考えられます。前回の展望レポートからの比較でみますと、物価の見通しは概ね不変です。こうした見通しを巡るリスク要因ですが、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要があります。リスクバランスについては、経済・物価のいずれの見通しについても、概ね上下にバランスしているとみています。なお、展望レポートについて、高田委員からは、消費者物価は既に概ね物価安定の目標に達する水準にあることなどを記述する案、田村委員からは、基調的な物価上昇率は2026年度入り後以降、物価安定の目標と概ね整合的な水準で推移することなどを記述する案が提出され、それぞれ否決されました。
続いて、今後の金融政策運営についてです。金融政策運営は、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえますと、以上のような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えています。日本銀行は2%の物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく方針です。
(問)
一点目は金融政策についてです。日銀は前回の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げました。名目金利としては30年ぶりの高水準になっています。これまでのところ、利上げが日本経済にどのような影響を与えているのか、あるいは特に影響が出ていないのか、総裁のご見解を教えてください。また、市場では追加利上げは最速で4月会合との見方も出ていますが、今後の利上げのペースについて総裁はどのように考えていらっしゃるか、ご見解を改めて教えてください。
二点目は中央銀行の独立性についてです。FRBのパウエル議長がアメリカ司法当局から刑事捜査を受けたことに関し、グリーンスパンやバーナンキなど歴代のFRB議長がFRBの独立性を損なう前例のない試みだと批判しました。更に、ECBのラガルド総裁やBOEのベイリー総裁など多くの中央銀行総裁がパウエル氏を全面的に支持する共同声明に署名しました。植田総裁はなぜこの共同声明に署名されなかったのか、また中央銀行の独立性を脅かす今回のトランプ政権の動きをどのようにみていらっしゃるのか、ご見解を教えてください。
(答)
まず、前回の利上げの影響に関するご質問ですけれども、昨年12月の政策金利引き上げ以降、市場金利が上昇していることに伴いまして、市場金利連動型の貸出金利は既に上昇しています。また、多くの金融機関は2月以降、短期プライムレートや普通預金金利を引き上げることを公表しています。こうした中、昨年12月の利上げからさほど日数は経過していないわけですけれども、これまでのところ、企業等の資金需要は緩やかな増加を続けており、金融機関の貸出態度も引き続き積極的です。CP・社債市場でも良好な発行環境が続いています。このように政策金利引き上げ後も、わが国の金融環境は緩和した状態が維持されていると認識しています。こうした金融環境を介して、政策変更の影響が実体経済や物価に広く波及するまでにはかなりの時間を要すると考えられますが、日本銀行としては過去の利上げを含めて企業や家計の行動や経済・物価に及ぼす様々な影響を丁寧に点検してまいりたいと考えています。そのうえで、今後の政策運営については、先ほど申し上げた通りですが、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはありません。もっとも、先行きの金利のパスや金融緩和度合いを調整するペースについては今後の経済・物価・金融情勢次第であります。毎回の決定会合において、その時点で利用可能な各種のデータや情報から、経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度をアップデートしながら適切に政策を判断していきたいと考えています。
後半のご質問ですけれども、まず最初に、中央銀行の独立性が確保されていることは、物価安定を実現するために重要であるということはよく認識しております。また、FRBのパウエル議長は、私も個人的によく知っていて、大変尊敬しております。そのうえでですが、本件は米国の内政に絡む事項でもあり、そのため、こうした状況におけるこれまでの私どもの対応と同様に、日本銀行総裁としては今回のステートメントに参加しないことが適当と判断致しました。
(問)
一問目は、円安が物価に与える影響についてお伺いします。足元で158円台の円安が続いていて、日銀の利上げ後ですね、もっと言えば日銀が利上げの織り込みのコミュニケーションを始める前と比べても、円安水準にあります。なぜ円安の修正が進んでいないのか、理由をどうお考えかと、その円安を背景として物価、特に基調物価に与える影響についてどのようにお考えかというところも併せてお願いします。
もう一問が、長期金利についてお伺いします。長期金利が急騰していますけれども、その背景と受け止めについて、どのようにお考えかというところをお願いします。これまで、例外的な動きがあれば機動的に対応するということをおっしゃっていましたが、機動的に対応するということが仮にあれば、長期金利は市場で決まるべきだという今までの正常化の流れに逆行したり、あるいは財政への配慮というふうに受け止められるという恐れもあると思います。その点も含めて、現状と取り得る対応についてどのようにお考えかというところをお伺いできればと思います。
(答)
まず、円安と物価ですけれども、まず、そもそも円安の水準について具体的にコメントすることは、いつも通りですが、差し控えたいと思います。一般論ですが、為替レートは金利差だけでなくて、多様な要因で変動するものと考えていますが、しっかりみていきたいと思います。そのうえで、物価への影響ですけれども、当然、円安に伴って輸入価格が上昇し、それが国内価格に転嫁されることによって、当面のインフレ率の押し上げ要因になります。現状、私どもとしては、最近、企業の価格・賃金設定行動が積極化しているようにみられますので、そのもとで、国内の価格への転嫁の度合いとか国内価格の輸入価格に対する反応の度合いが大きくなっている可能性については、注意しながらみていきたいと思いますし、また、そうして動く国内価格が、期待物価上昇率に影響を与えたりすることによって、基調物価にも影響するという可能性にも注意してまいりたいと思っています。
それから、最近の長期金利の上昇に関する複数のご質問があったと思いますが、まず認識としては、やはり、かなり速いスピードで上昇してきているという認識でございます。それに関して、マーケットでは、先行きの経済・物価情勢や財政政策、金融政策に関するマーケットの見方が影響しているという声があります。加えて、年度末要因で、超長期債の需給が不安定化しているという声も聞かれます。そのうえで、従来から申し上げていることですけれども、通常と異なる例外的な状況では、市場における安定的な金利形成を促すために、機動的にオペ等を実施することもあるというふうに考えています。この点、政府と緊密に連絡しつつ、それぞれの役割を踏まえてしっかりとみていきたいと思っています。
(問)
過去のご発言から大きく二点伺います。まず一点目なんですけれども、私もちょっと今後の利上げペースを伺います。展望レポートを公開した半年前の会見で、日銀の展望は見誤って、インフレ率が見通しより高く推移してしまった場合は、利上げペースを速めるということをおっしゃっていましたが、現状はそのような状況に入っていないのか、トランプ関税公表前の見通しに予測数値が戻りつつあったりですとか上振れたりする中で、今の政策スタンスを伺えればと思います。
あともう一点、中央銀行の独立性に関して、政府ですとか政権との距離感について伺います。追加利上げを決めた前回の会見で、財務省ですとか財務大臣との関係性を良好との受け止めをお聞きしました。片山大臣もその点は再三強調されています。一方で、インフレ局面ですと、中銀の独立性が高い国ほどインフレが抑え込まれているという過去の実証研究もあります。一方で、供給ショック的なインフレ局面だと、政府ですとか中銀の役割分担、ポリシーミックスがとても重要という考え方もあります。総裁自身は今の日本経済の実情を踏まえて、この独立性ということをどういうふうに位置付けられているのか、この二点を伺えればと思います。
(答)
まず、例えば、私どものそれまでの見通しを上回って、現実の物価が高い上昇率を示しているような状況かどうかという趣旨のご質問だったと思いますけれども、今回の見通しを10月の展望レポートの見通しと比べますと、物価の見通しのところは、概ね同じかコアコアのところが少し上方修正になっている程度でありまして、われわれの見通しを、大幅に物価が超えて、それを追いかけるかたちで物価見通しがどんどん上がっているという状況ではないというふうに考えています。ただし、12月の時点での考え方ですけれども、その時点までに持っていた物価の見通しが実現される可能性がだんだん高まってきたので利上げをしたという、これまでの考え方に基づいて、ということでございます。
それから、後半の今後の局面で中央銀行の独立性とかはどういう役割を果たすのか、あるいは私どもがどういう考え方で政策運営に臨むのかというご質問だったと思いますが、当然、繰り返しでございますが、今回の見通しのような経済・物価の姿がきちんと実現していくあるいはその確度が高まるということであれば、徐々に金融緩和度合いを更に調整していくということが適切である、というふうに考えています。この点は、政府とも十分な意思疎通を図りつつ、しっかりと説明していきたいというふうに思っております。
(問)
先ほどの質問と関連するんですけれども、まず円安のところについてですね、円安の物価への影響について、総裁、以前から為替が物価の基調に与える影響というのは注意深くみなければいけないということをおっしゃってますけど、今回、展望レポートにも記載をされています。主な意見などをみてもですね、審議委員の方の間で為替についての影響を注視する姿勢がみられます。そういった意味でいうと、日銀の中で今、円安の物価の基調への影響をより注意深くみなければいけないという認識になっているのかどうか、その点について一点お願いします。
もう一点は、先ほどの長期金利についてなんですけれども、かなり速いスピードで上がっているということですが、ただ日銀としてはまだオペをしていません。その点についてどういったことなのか、どういう理由なのかということについてなんですが、以前、植田総裁は超長期金利よりも、長期金利やその長期金利の短いところを重視するような、その経済活動という意味ですね、姿勢をされていますが、そういったところにも大きい波及があると、やはり柔軟な機動的なオペを対応する必要が高まってくるという理解でいいのかどうか、お願い致します。
(答)
円安と物価の関係のところについては、われわれ、例えば、展望レポートでの記述が以前よりも目立つとすればですが、それは先ほど申し上げた点、すなわち、賃金・価格設定行動が積極化するもとで国内価格の為替への反応が大きくなっている可能性がありそうだという点に注目しているから、というのが一つの要因でございます。それと全体的にインフレ率が上がってきまして、基調物価も少しずつ上がってきまして2[%]に近づいているという中では、以前と同じ程度の大きさであっても、小さな動きにも注意を払っていかないといけないという面もあるかと思います。
それから、長期金利の上昇のスピードについてのご質問ですけれども、これはそれが速い、あるいは速過ぎるか、機動的なオペにつながるかどうかという判断については、先ほど申し上げましたように、政府と緊密に連絡しつつ、それぞれの役割を踏まえてしっかりとみていく中で判断していくということでございます。ただその中で、先ほども申し上げましたように、超長期債については、年度末要因で需給が不安定になっているという点にも注意したいと思っております。
(問)
二点ございます。長期金利の上昇に関してなんですけれども、日銀は昨年の6月に長期国債の買入れ減額の計画を出していますが、そのときに必要な場合には金融政策決定会合において減額計画を見直すこともあり得るということを書かれています。今回、その長期金利の急上昇を踏まえてですね、国債の買入れペースの見直しということは、議論の俎上になったのでしょうか。もしなっていない場合はですね、日銀のいわゆるQTですね、それがこの足元の長期金利の上昇にはそんなに影響を与えてなくて、ここを見直す必要性はないと判断されたということでしょうか、そういったところの認識についてまず教えてください。
二つ目が利上げの先行きについてなんですけれども、本日の展望レポートでですね、今年前半に物価がですね2%を割り込むとの見通しを示されているかと思います。日銀が基調的な物価上昇率を重視しており、そこが従来よりもむしろ強くなっているということは承知しておりますが、とはいえそのヘッドラインであったりコアの物価ですね、こちらが急速に減速する場面で、マーケットは4月、6月の利上げを予想してますけど、ちょうどその頃にヘッドラインの物価の方がむしろかなり下がってくるという状況かと思いますが、そういった場合にですね、政治や世論のですね、物価が下がっての利上げするみたいな局面になったときに理解を得られるとお考えでしょうか。
(答)
機動的なオペ、あるいは定例で実施しているオペ、これについての議論は政策委員会でもときどきしています。ただ、その議論の今日までの結論としては、先ほど来申し上げているところでございまして、政府と緊密に連絡しつつ、政府、日本銀行のそれぞれの役割を踏まえしっかりみていくというところに尽きます。
それから後半のインフレ率に関するご質問ですけれども、おっしゃるように、ここから暫くヘッドラインはインフレ率がはっきりと低下を続ける、2[%]を下回っていく可能性が高い。これに対して基調的なインフレ率はゆっくりとですが、上がり続けていくというふうにみています。こうした中での金融政策運営ですけれども、これはこれまで申し上げているように、基調的なインフレ率の動向により重きを置いて決定されていくということになると思いますし、そういう私どもの姿勢はずっと変わっておりませんので、理解はされているとは思いますが、引き続き丁寧な説明に努めていきたいと思っております。
(問)
二問お願い致します。一問目は、今回、展望レポートでは物価の基調に割と近いとされるコアコアCPIの見通しを全ての年度において上方修正しています。一方、リスクのバランスについては物価について上下にバランスしているということなんですけれども、ボードの中では2%の持続的・安定的な物価目標の達成についての確度が高まってると、そういう議論、そういう雰囲気になっているのか。物価の見通しを上方修正しているのでそうなのかなと思う反面、リスクのバランスについてはバランスであるということなので、そこについて確度が高まっているのかということについてのボード内の議論ですとか、総裁ご自身、12月に利上げしたばかりではありますが、それ以降の1月の支店長会議等の報告も踏まえどうみてらっしゃるのか、というのが一点目です。
二点目も多少関連してるんですが、賃上げが物価を押し上げる力、ここも今後の利上げの判断で非常に重要になってくると思うんですけれども、4月の価格改定期にそういった動きが進むかどうかが一つのポイントだと思うんですが、次の利上げの判断にこれがどれぐらい重みを持つものなのか、またそうした値上げが広がる可能性について、総裁、現時点でどのようにみていらっしゃるでしょうか。
(答)
基調的物価上昇率が2[%]になったかどうか、あるいはどれくらい近づいたかということに関する、ボードメンバー間の分布あるいは意見の違いですが、これはいろいろ公表されていますように、ある程度の違いがあるわけでありまして、例えば先ほど申し上げましたように、高田委員は既に2%に大体達しているという見方から今回も利上げ提案をなさったわけです。そのうえで、もう少し今度は時系列的に、平均的にはまだ2%に多少の距離があるという、だんだん上がっていって2[%]になるという見方ですので、その確度がどれくらいかということについて、時系列的に変化があるかというご質問については、はっきりと申し上げられることは、例えば今回の展望レポートを10月の展望レポートと比べると確度は上がっているということだと思います。どちらも見通し期間の後半にほぼ2%目標と整合的な水準にインフレ率がなるという見方ではあるわけですが、その確度は10月に比べると高まっているというふうに言えるかと思います。ただ細かくなりますが、12月と比べてどうかと言われると、現時点ではそれほど大きな違いはないというふうに申し上げられるかと思います。
それから、賃金上昇が物価上昇に転嫁されるという点に関する、後半のご質問ですけれども、それをみていく際に、例えば4月の価格改定がたくさん行われる時期をどれくらい注意してみるかというご質問だったと思いますが、まず、だいぶ前は価格が上昇しても、その原因は原材料コストの価格上昇であって、賃金が転嫁されるというケースは相対的に少ないということだったと思いますが、ここにきて賃金の価格転嫁が価格上昇の理由であるというふうに、例えば、答えが返ってくるヒアリングの結果というのは非常に増えているように思います。そういう中で賃金にどれくらい価格が反応しているかということを継続的にみてきていますし、今後もみていきたいわけですけれども、ですから、どこの時点のデータがものすごい大事であるということでは必ずしもないですけれども、ただ4月は相対的に価格改定の頻度が高い月でありますので、そこにある程度の関心を持っていることは事実でありますが、これが次の利上げを判断するための最も大事な材料であるかと言われると必ずしもそうではなくて、一つの材料であるというふうにお答えするのかなと思います。
(問)
二点質問させてください。今日衆院が解散を致しました。2月8日が投開票の衆院選では与野党が消費税減税を競う構図となっておりまして、選挙結果にかかわらず財政拡張が意識されやすい状況となっております。それによる経済・物価への影響、特にインフレが加速する可能性について、総裁はどのように考えておられますでしょうか。
もう一点、利上げの判断材料について伺います。昨年12月の利上げでは、賃上げの初動のモメンタムが大きな判断材料になりました。次の利上げに際しましてはどういったところが最も大きい判断材料になるとお考えでしょうか。
(答)
まず、消費税減税については、まだ決まったわけでは全くありませんので、例えば今回の見通しには織り込んでおりません。仮に減税されたらどういう影響が経済そして物価に及ぶかというのは大事な論点ですけれども、そもそも消費税率が引き下げられたときにどれくらい物価がそれに対して反応するかということに関して、様々な意見が海外をみてもありまして、必ずしもこうなるはずだというところがなかなか容易には決められないところでありますので、今後私どもも注意してみていきたいと思いますが、現時点でこうなるというふうにはっきり申し上げられる段階ではないです。
それから二番目は、前回の利上げに際してはその大事な決定要因の一つとして今回の春闘の初動のモメンタムをみたいということを申し上げたわけですけれども、今後の利上げを判断していく際にどういうところに注目するか、というご質問だと思います。平たく申し上げれば、前回のように割と絞ってこれとこれを特にみたいという局面ではなくて、物価・賃金がゆっくり上昇を続けているという中で、それがどういうペースで続くかということについて、多様な指標から判断を下していくべき時期かなというふうに思っております。その中に、一つは前回の利上げの影響がどういうふうに金融・経済・物価に出ていくかということも含めて考えたいと思っています。
(問)
物価に関して一点だけお伺いしたいんですけども、先進国で物価が2%で安定している時期というのは、財よりもサービスの価格の貢献度が大きいかと思うんですけども。アメリカでそれがよくみられるっていうことを言われてますけども、最近ユーロ圏の方でも財の価格よりもサービス価格の方の構成比が上がってきて、プライスは上がってるという話を聞くんですけれども。日本ではそれと比べると、財の構成比がまだ大きくて、値動きが大きくて、供給ショックによって財の価格が結構大きく上がったりする機会があると思うんですけど、日本で足元でもう年末から外食の値段も下がってますけれども、その辺を含めてサービス価格の力強さ、その辺のところ現状、先行きをお伺いできればと思います。
(答)
おっしゃったことはみんな私どももその通りだなというふうに思っている点でございます。繰り返させて頂きますと、外国をみますと、物価が2%前後で安定している特に先進国では、サービス価格がある程度の率で上昇を続けて、それが主な要因でそうなっているということでございます。他方、日本では必ずしもここまでそうなっていなくて、ただその内容を足元のところでみてみますと、一般サービスというようなところ、正式な呼び名かどうか。あるいは、難しいなと思っているのは一つは家賃、それから公共サービス。家賃は東京では上がっていますけれども、大都市を除いたところではなかなか上がらない。他方アメリカ等ではこれはかなり大きなサービス価格上昇の要因になっていると。それからその他の公共サービスについても様々な制度的な理由もあってなかなか上昇率が低いというところが、ある種サービス価格全体の2%前後の上昇の足を引っ張っているわけですけれども。その他のサービスについては2%前後で上がっているというふうにみています。ただその中でもおっしゃったように宿泊とか外食とか、やや短期的に振れるといいますか、一時的な要因で振れる部分があって、それはどれくらい中長期的に続く部分なのかというのを見極めるのが難しい点もあります。これらを総合的にみながら、物価ないしその中の重要なサービスの価格の今後の動向を判断していきたいと思っています。
(問)
二点お伺いします。先ほどお答えになった次の利上げのチェックポイントとして、前回の利上げの影響をみたいというお答えありましたけれども、見極めにどれくらいの時間をかけるつもりなのか教えてください。
二点目、また円安の関連で恐縮ですけれども、基調物価にも影響しやすくなっているといったご認識がある中で、次の利上げをより早くやらなければいけないといったお考えはありますでしょうか。あるいは先ほどお答えになった通り、ペースについては、今後の経済・物価の情勢次第で、あくまでもデータをみる、そういう判断なのだということにとどまるのか、教えてください。
(答)
まず前半は、前回の利上げの影響をちゃんとみるのにどれくらいの時間がかかるかというご質問だと思いますが、最終的にポイントとなりますのは、金利の上昇によって、設備投資、住宅投資、あるいは消費、こうした主要需要項目がどれくらい動いて、その結果、インフレ率がどう動くかというところで、これは判明するのはすごい時間がかかるということだと思います。ただ、私どもとしては、最終的にそうした変数のデータに影響が表れるのを待つということでは必ずしもなくて、もっと手前で捕まえたいと思っています。その捕まえ方としては、前回の記者会見で申し上げたように、一つはこういうものに影響を与える広い意味の金融環境がどう動いているかということをみたいですし、それからもう一つは、こうした設備投資や住宅投資等を決める主体であります例えば企業に対して、ヒアリングを頻繁に行って、彼らの意向がどういうものであるかということについて、丁寧に情報収集していくことによって、ある程度は動きが捕まえられるかな、というふうに思っております。
それから、今後の利上げのペース、結局は決定要因はどういうことかという後半はご質問だったと思いますけれども。抽象的なお答えになるかと思いますけれども、やはり昨年で言えば、1月と12月に利上げをしたわけですけれども、その影響を丁寧に、前半で今お答えしたように点検し、先行きどういうことが起こるかについてもなるべく早めに情報を収集するようなことを通じて、一回一回の利上げの影響を点検し、経済・物価への影響ですね、これによって結果的にどれくらいのスピードで利上げをしていくということが必要か、ということが決まってくるのではないかというふうに考えています。もちろん前もって、ずっとご議論がありますように、中立金利は何%というのがはっきり分かれば、そことの距離が分かり、もう少し考えやすくなるわけですが、前もって定量的に何%だということがそう簡単には分からないというふうに考えていますので、今申し上げたようなやり方で進んでいくということになるかと思います。
(問)
先ほど総裁、消費税について少しお答え頂いたんですけど、ちょっと補足でお願いします。先ほど総裁のお答えについては、消費税の減税が実施された影響について、総裁お答え頂いたんですけども、今のこの選挙戦の中で、消費税の減税がほとんどの党で議論されているということ、それ自体の経済や物価に与える影響について、総裁のお考えを伺いたいです。というのは、長期金利や円安に、財政規律の緩みに対する懸念というのが影響しているというのが市場でもよく聞かれる答えになっています。そういった意味で、消費税減税がこれだけ議論されていることの、物価や実体経済への影響、総裁どのように考えられますでしょうか。
(答)
消費税率をどうするかということは財政政策でありまして、これは政府・国会でお決めになることでございます。ただ、私どもとしては、常に申し上げておりますように、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認を確保することは、きわめて重要であるというふうに考えております。
(問)
政府の物価高対策の効果が見込まれる中で、展望レポートでは、先ほどもちょっと質問でありましたが、コアCPIが概ね横ばい、ただコアコアの方がですね、ちょっと前回比で引き上げられているというかたちなんですけれども、この短期間で、もし基調物価に関するご認識に多少の変化があったのであれば、教えて頂けたら幸いです。
(答)
経済対策の基調物価への影響ですけれども、前回でも申し上げていたかとは思いますけれども、物価高対策が可処分所得にプラスの影響を与えて、消費を下支えする、それから様々な成長促進策等が経済を下支えして、ということで、どちらも成長率にプラスの影響を与えるというところを通じて、基調的物価にはプラスの影響を与えるという点は、12月時点でも、われわれ、そういうふうに考えていたところでございます。今回はそれを定量的に把握して、それも含めて物価見通しを作ったところ、こういう姿になったということでございます。
(問)
金利急騰局面で日銀の取り得る対応についてなんですけれども、先ほど政府と緊密に連絡をしてというお話ありましたけれども、例えば今回の金利急騰局面では、買い手がつかずに短期的な流動性危機だっていう声も聞かれたわけなんですけれども、その意味で金利急騰時の対応として日銀が取り得る対策としては、やはり優先的には機動的な買入れ額の増額ですとかそういったのが先行で、国債買入れのですね、この減額計画の見直しというのは順序としてはより下がるといいますか、何かそこら辺の順序観を総裁どうお考えでしょうか。
(答)
やや繰り返しになると思いますけれども、先ほど申し上げましたように、特に年度末要因もあって、超長期債の需給は非常に不安定化しております。そういうこともよく考慮に入れたうえで、政府と緊密に連絡しつつ、それぞれの役割を踏まえてしっかりみていきたいと思っております。
(問)
日銀はですね、物価目標の実現時期につきまして見通し期間の後半であると、そういう見通しをずっと繰り返してるわけですけれども、本日の展望レポートをみてもコアコアの数字がですね結構ぶれてたり、数字だけみるともう物価目標は達成するんじゃないかと思うぐらいの強い数字が並んでいると思います。そうした中で、いわゆる見通し期間後半という領域の中で、物価目標の達成時期というのは徐々に前倒しされているというふうな認識は総裁お持ちかどうか、この点お願いします。
(答)
そこまで厳密な議論、あるいは確度を持った厳密な議論ができる段階ではないと思いますけれども、確か先ほども申し上げたと思いますけれども、例えば、田村委員はもう少し手前で物価目標の実現が可能になるであろうと、それから高田委員は既に実現しているという意見だということではございます。
(問)
事前の報道で本日の利上げ見送りはほとんど織り込まれていたんだろうと思いますけれども、本日12時半以降の長期債、2年物も5年物も10年物も全て、見送り決定が発表された後売られてますよね。非常にわずかともいえるんですけれども売られていて、失望売りが長期債の中には出てます。それはきわめて足元の動きではあるかもしれませんけれども、高市政権が発足して以来、10年物国債金利の利回りは0.75%上がって、その間日銀は0.25%しか利上げをしていないので、明らかに長期債については日銀の意図する以上の動きをしてしまってるわけですよね。もしそうでないとしたら完全にビハインド・ザ・カーブですよ。これをどう対応するつもりなのか。もう繰り返し繰り返し今日の会見ではそれは聞かれていますけれども、政府と連携して話し合ってやっていくと言うんだけれども、政府に対して、日銀は、バラマキ政策を採り続けたら長期金利が上がってしまって副作用の方が大きいんだということを説明しているんですか。していても聞いてくれないんだとしたらば、この場を通じてかあるいは別の場を通じて、今の財政拡張的な政策は非常に国民生活にはマイナスなんだということを総裁が言うべきなんじゃないですか。それが通貨の番人としての日銀の役割なんじゃないですか。もう一つ今日何度も聞かれてる独立性っていうのはそういうことをすることにあるんじゃないんですか。お答えを頂きたいと思います。
(答)
まず、ごく足元の今日の金利の動向についてはコメントを差し控えさせて頂きたいと思います。それから、ここ暫くの長期金利の上昇については、最初の方でお答えしましたように、市場の声として、様々な要因に加えて財政政策に対する見方も影響しているという声があるというふうに申し上げたところですし、それから私ども常日頃から政府が中長期的な財政健全化について市場の信認を確保することは重要であるということを申し上げています。更に申し上げれば、独立性との関係ということであれば、私どもにとって一番大事なのは物価安定の目標をスムーズに達成するように金融政策をちゃんと運営していくということであるというふうに思っております。
(問)
ヘッドラインの物価上昇率が2%をいったん下回る時期に関してちょっとお聞きしたいんですが、前回の展望レポートではこの表現が今年度前半にかけてという表現だったのが、私の記憶する限り、前回12月の記者会見から今年前半にはという言い方に変えられたと思うんですが、今後、この今年前半という表現も更に前倒しされて、つまり物価上昇率が2%を下回る状態がより早く終わってしまう可能性について、どのようにお考えになってるでしょうか。
(答)
ヘッドラインが2%を切る時期については、割ともうすぐだと思います。それが2[%]を切った後どれくらいの期間2[%]を下回ったままでいるかということについては、きわめて不確実性がまだ高いというふうに思っております。その期間の長さについて、短くしているとか、長くしているとか、そういう変化があったわけではございません。
(問)
先ほどですね、消費減税のことを聞かれた際に、財政として、政府が中長期的に財政の信認を市場で得ることはきわめて重要だというふうにおっしゃってましたけれども、19日のですね、高市首相会見で、高市首相が消費減税という主要な税目について、減税をする、初めてのことを打ち出した際に、財源についてこれから検討する、という言い方をしたわけですけれども、この部分ですね、財源をやはり中長期的な市場の信認のためには明示すべきだった、もしくは何らか示すべきだったというふうにはお考えにならないでしょうか、その点の見方をお聞かせください。
(答)
消費税減税の可能性に関係して、それが財政の中長期的な姿に、あるいは財源も含めてどう影響するかという点の具体的な説明は、それは政府にお任せしたいと思います。
(問)
金利上昇の対応について、前回の会見でも、通常と異なる例外的な動きをした場合には、機動的な対応を、とおっしゃってます。現時点で対応されてないということは、まだ例外的とまでは言えないということなのか、お聞かせください。そしてその通常と異なる動きというのは、水準、ペースどちらを重視されるんでしょうか。
(答)
その点に関しては、同じ答えを繰り返させて頂くしかないですけれども、政府と緊密に連絡しつつ、それぞれの役割を踏まえ、しっかりとみていくということになります。
(問)
先ほど円安について、従来よりも国内価格の上昇とか基調物価に反応するようになっていて2%の物価安定目標に近づいている中では、以前よりも小さな動きに注意を払わなければいけないというお話を総裁されてたと思います。これは、以前よりも小さな動きで、いわゆるビハインド・ザ・カーブになる恐れっていうのが高まっているのか、更に円安が今後も加速した場合、ビハインド・ザ・カーブにならないように、従来よりも政策変更の判断を前倒しにしなければいけない、そういう可能性が高まっているのか、そこをちょっと教えてください。
(答)
まず、私どもの見通しでは、見通し期間後半に2%の物価安定目標の持続的な達成と言える状況に到達するということですので、現在ビハインド・ザ・カーブになっているというふうにはみておりません。ただ、ビハインド・ザ・カーブにならないように、適切に金融政策を今後運営していくということでございます。
(問)
中立金利についてお伺いします。展望レポートで、2025年度の実質GDPが上振れた理由の一つとして、GDP統計の基準改定が挙げられています。この基準改定後のデータをもとに日銀は中立金利の再計算を行うものだと思いますが、中立金利も引き上がるのでしょうか。
(答)
これはまだ再計算はしておりません。ストックデータとかも必要ですので、それが出揃ったところで、おそらくスタッフが再計算をしてくれるんだと思いますけれども、ただ私どもの予想では、そうした新しいデータが入ったとしても、大きく中立金利の推計が変わることはないかなというふうには思っております。それと、計算ができましたら、例えばスタッフペーパー等で公表するということも、場合によっては検討したいというふうに思っております。
(問)
高市政権の財政諮問会議の委員の中には高圧経済を提唱している委員がいます。これについては、日銀の中からもかねて高圧経済を奨励するような意見も出てました。現実に今、実質金利がきわめて低い水準にあるということは、ある意味では高圧経済を実践しているというふうに言えるんだと思います。しかし、その高圧経済のもとで起きていることといえば、人手不足と物価高で国民からどちらかというとですね、悲鳴が上がってるわけですよね、むしろ困ったことだというふうに受け止められているわけですが、加えて、昨年の秋からは、マーケットの様相も少し変わってフェーズが変わってると。こういう状況の中で、高圧経済っていうのはまさに見当違いといいますか、時代錯誤といいますか、そういう政策なんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。高圧経済のついでに言えば、2%インフレ目標というのも今の現状でいえば過大な目標なんじゃないでしょうか。
(答)
私個人的には、高圧経済をおっしゃってる方々がどういう考えでそういうことをおっしゃってるかについて詳しく議論したことがございませんのではっきりとは申し上げにくいんですけれども、私どもとしては、物価の見通しが今日お示ししたような姿でございますので、ここから更に大きくインフレ率、あるいはインフレ率の見通しが上振れるというようなことがないように金融政策をきちんと運営していきたいと思っております。
(問)
長期金利の動向についてもう一点教えてください。先ほど総裁からは政府と緊密に連絡するというふうにおっしゃっております。今日、片山財務大臣が国内の債券市場のろうばいショックは収まったというふうに会見で話しているんですけれども、総裁も同様の認識を持ってらっしゃるということでしょうか。
(答)
端的に申し上げれば、ボラティリティが高い状態が続いていますので注意してみていきたいというふうに思っております。
以上
