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【講演】デフレからの脱却に向けて:理論と実践

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慶應義塾大学における講演

日本銀行総裁 黒田 東彦
2016年6月20日

目次

1.はじめに

本日は、慶應義塾大学経済学部において講演を行う機会を頂き、大変光栄に存じます。

慶應義塾は福澤諭吉によって1858年に創立され、150年以上の歴史があります。その中でも、経済学部は、1890年に大学部が創設された際に設置された文学・理財・法律の3科の中の理財科が前身であり、わが国最初の経済学部だと伺っています。これまでも、学術面で、幅広い研究分野でわが国経済学界を牽引されてきただけでなく、人材育成面でも、政界、財界で活躍する多様な人材を輩出されています。

本日は、こうしたアカデミックな場で講演する機会を頂きましたので、量的・質的金融緩和の経験を踏まえつつ、いわゆる非伝統的な金融政策の実践とその学術的な研究の進展との関係についてお話しさせて頂こうと思います。

2.マイナス金利付き量的・質的金融緩和

わが国では、1990年代末から長年にわたりデフレとの闘いが続いてきましたが、その過程で、より強力な金融緩和の必要性が徐々に意識されるようになってきました。2012年12月に安倍政権が発足し、いわゆる「三本の矢」からなる「アベノミクス」が始まり、そうした中、私は2013年3月に日本銀行総裁に就任しました。そして就任後、最初の金融政策決定会合があった4月に、「量的・質的金融緩和(QQE:Quantitative and Qualitative Monetary Easing)」の導入を決定しました。

この政策は、それまでの金融政策の限界を打破するために設計されたもので、2つの要素からなっています(図表1)。第一に、日本銀行が2%の「物価安定の目標」の早期実現に強くコミットすることで、人々の間に定着してしまった「デフレマインド」の抜本的な転換を図り、予想物価上昇率を引き上げることです。第二に、大規模な国債買入れを行うことによって、短期金利だけでなく、イールドカーブ全体にわたって名目金利の低下圧力を及ぼすことです。この結果として、実質金利を短期だけでなく、長期についても大幅に低下させることで、経済に対して、より強い緩和効果をもたらすことができます。

その後、この政策は、2014年10月に量・質両面での拡大テンポを引き上げたほか、本年1月には、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として、量・質に金利の次元を加えた三次元で政策の拡張性を考えられる形としています(図表2)。マイナス金利の導入は、イールドカーブの起点を引き下げることにより、大規模な長期国債買入れと相まって、短期から長期にわたる実質金利をさらに押し下げることを狙っています。これは、これまでの量的・質的金融緩和の延長線上で、その効果を一段と強化するものであり、いわば“enhanced QQE”とでも呼ぶべきものです。

大規模な長期国債の買入れについては、当初、日本銀行の長期国債保有残高が年間約50兆円に相当するペースで増加するように買入れを行うこととしましたが、2014年10月に、このペースを約80兆円へ拡大し、今日に至っています。日本の名目GDPが約500兆円ですから、80兆円という年間の増加額は、その約16%に相当します(図表3)。その結果、日本銀行のバランスシートの対名目GDP比は、2013年3月末の約35%から本年3月末で約81%まで拡大し、今後も拡大を続けます。米国では、3次にわたる大規模資産買入れ(LSAP:Large-Scale Asset Purchase)を終えていますが、FRBのバランスシートの名目GDP比は、同じく3月末時点で25%ですので、日本銀行が行っている金融緩和がいかに大規模なものかがご理解いただけるのではないかと思います。

3.デフレのコスト

先ほども述べましたが、量的・質的金融緩和の目的は、わが国の長期デフレからの脱却にあります。これは、マイルドなデフレであったとしても、それが15年を超える長期にわたって継続してきたため、累積的なコストが極めて大きくなっているとの判断に基づいています。物価水準に置き直してみると、0.3%のデフレが15年間続けば、物価水準は5%程度下落していることになりますが、2%のインフレが15年間続いた場合、物価水準は35%程度上昇している計算になります。マイルドなデフレであっても、それが長期にわたって継続した場合、経済主体の中長期的な意思決定に与える影響が大きいことは明らかだと思います。

継続的なデフレの問題は、価格低下予想や将来の不確実性増大などから、企業、家計の様々な支出が先送りされ、これが経済活動の停滞やデフレをさらに長期化させる方向に作用するというメカニズムにあります。価格が下落し、不確実性が大きい状況において、支出を先送りすることが個々の経済主体にとって最適な選択ですが、その帰結として、経済活動の停滞とデフレが続いてきた訳で、マクロ経済学でいう「合成の誤謬」の典型的な事例と言えるでしょう。デフレからの脱却には、デフレマインドの抜本的な転換がどうしても必要です。また、それによって、単に物価上昇率がプラスになるだけではなく、若干プラスの物価上昇率のもとで、経済活動の前向きの循環を強めていくことが重要であることも明らかだと思います。

この間のデフレの下で、わが国経済では、フィリップス曲線が下方にシフトすると同時に、フラット化しました(図表4)。インフレ率の平均的な水準が低いと、企業の価格設定行動において、価格を据え置くことの機会費用が小さくなり、価格改定頻度が低下すると考えられます。マクロ経済理論に基づくと、こうしたミクロレベルでの企業の価格改定頻度の低下は、マクロレベルでフィリップス曲線の平坦化につながるとされています1

さらに言うと、こうしたフィリップス曲線の平坦化、言い換えると、インフレ率の景気変動に対する感応度の低下は、単に企業の価格設定行動が変化した結果ということなのかという論点もあるように思います。わが国の長期デフレの経験と重ね合わせてみると、価格改定頻度の低下は、企業や家計の支出活動の先送り行動に象徴される経済における前向きな新陳代謝の動きが弱まっていたシグナルと考えることもできるように思います。そう考えると、フィリップス曲線の形状の変化の背後には、日本経済のファンダメンタルズの低下があった可能性も考えられることになります。もちろん、これは、現段階では単なる仮説に過ぎません。この仮説を検証するためには、デフレと企業行動の相互作用を考慮した理論的・実証的な分析が必要になりますが、こうした研究は十分に進んでいるとは言えません。わが国の長期デフレの教訓を考えるうえでも、デフレとマクロ経済のパフォーマンスの関係について、知見を深めていくことが重要だと考えています。

  1. Laurence Ball, N. Gregory Mankiw, and David Romer (1988), “The New Keynesian Economics and the Output-Inflation Trade-off,” Brookings Papers on Economic Activity, No. 1, pp. 1-65を参照。

4.インフレ予想の形成メカニズム

先ほど、量的・質的金融緩和には2つの要素があることをお話ししました。その中の最初の構成要素であるデフレマインドの抜本的な転換という点に関連して、インフレ予想の形成メカニズムを少し考えてみたいと思います。

インフレ予想の形成メカニズムについて考える手がかりとなるのは、ゼロ金利下におけるフォワードガイダンスを巡る理論的・実証的な研究です。近年、多くの中央銀行が実際にゼロ金利制約に直面し、現実の問題となったこともあり、フォワードガイダンスに関する研究が大きく進展しています2。これらの研究成果として、ゼロ金利制約に服し、金利を望ましい水準にまで引き下げられなくなってしまった状況においてでも、将来にわたったゼロ金利を継続するコミットメントを行うことで、将来の緩和効果を前借りするメカニズムが解明されてきました(図表5)。

このメカニズムは、金融政策の実践の中では、日本銀行が1999年2月に開始したゼロ金利政策において初めて導入されました。当時は、ゼロ金利を「デフレ懸念が払拭されるまで継続する」というコミットメントが行われ、その政策効果は「時間軸効果」と呼ばれました。その後、理論的な研究が深まる中で、主要先進国の中央銀行でも同様の政策がとられ、最近では、フォワードガイダンスと呼ばれるようになっています。

標準的なマクロ経済モデルでは、中央銀行がフォワードガイダンスを行うと、マクロ経済変数が強く反応し、政策効果が大きく現れることが知られています。理論的には、長期にわたってゼロ金利を継続するとのコミットメントを行うことで、将来の緩和効果をいくらでも前借りできるだけでなく、その政策効果が即座に実現することになります。もっとも、この点は、実際の観察事実と乖離しており、「フォワードガイダンス・パズル」とされています3

このパズルを考えるうえでは、2つの要素が重要です。まず一つめは、標準的なマクロ経済モデルにおいては、異時点間の代替弾力性が大きく、かつ借入制約なども存在しないため、時間を通じた消費の平準化がいくらでも可能であることです。そして、もう一つは、政策行動に対して、インフレ予想が即座に反応することです。

ここでは、後者のインフレ予想の反応速度という点に注目してみましょう。フォワードルッキングなフィリップス曲線を仮定する理論モデルにおいては、将来の金融緩和に関するコミットメントが信認されると、インフレ予想が即座に反応します。しかし、現実に観察されるインフレ予想は粘着性が高く、ゆっくりとしか変化しません。これは、実際のインフレ予想の形成メカニズムにおいて、過去に観察されたインフレ率の実績値に規定されるバックワードルッキングな要素が大きいことを意味します。また、標準的な理論モデルでは、金融緩和のコミットメントが完全に信認されることを無条件に仮定しており、この点も現実との乖離を生む要因になっています。

わが国の経験に引き付けて考えてみますと、デフレ脱却を目指していく過程で極めて重要な役割を果たしているのは、いったん低下してしまったインフレ予想を目標インフレ率近傍に押し上げ、再びアンカーさせること(re-anchoring)です。この点は、インフレ予想におけるバックワードルッキングな要素の影響も含めて、必ずしも理論通りにはいかないチャレンジングな課題と言ってよいと思います。また、現在、わが国だけでなく、世界の多くの中央銀行が短期金利の引き下げという伝統的な金融政策手段をほぼ使い果たした状況で、デフレ圧力に対応し、予想インフレ率を望ましい水準でしっかりと安定させるという、過去に例のない難しい課題への対応に迫られています。その意味で、インフレ予想の形成メカニズムは、古くて新しい論点と言えるでしょう。

  1.  2 Gauti Eggertsson and Michael Woodford (2003), “The Zero Bound on Interest Rates and Optimal Monetary Policy,” Brookings Papers on Economic Activity, No. 1, pp. 139-211を参照。
  2.  3 Marco Del Negro, Marc Giannoni, and Christina Patterson (2012), “The Forward Guidance Puzzle,” Staff Reports 574, Federal Reserve Bank of New Yorkを参照。

5.大規模な金融資産買い入れ

次に、量的・質的金融緩和のもう一つの要素となっている大量の国債購入によるイールドカーブ全体の押し下げについて考えてみたいと思います。

中央銀行の市場オペレーションは、国債とマネタリーベースの交換といった形で、完全代替でない金融資産の取引となりますが、理論的には、金融市場での裁定が完全に働いていれば、資産価格形成に対しては中立的であることが知られています4。しかし、金融市場での裁定が何らかの理由によって不完全である場合、中央銀行のオペレーションはタームプレミアムに影響を与えうることになります5。また、こうした金融市場の不完全性は、特に金融危機時に高まると考えられます。

実際、リーマンショック直後の欧米の中央銀行の政策対応を振り返ってみると、金融市場、金融システムの安定化が最優先課題であり、そのために、大量の流動性を供給すると同時に、目詰まりを起こしている市場に介入していきました。その後、金融市場がある程度鎮静化する中で、引き続き大規模な資産購入は継続され、金融市場における様々なプレミアムの縮小を通じ、マクロ経済の安定化、デフレの阻止が図られてきました。さらに、量的・質的金融緩和では、先ほどお話ししましたとおり、フォワードルッキングな期待形成に働きかけることで、インフレ予想を押し上げることも、重要な構成要素となっています。

こうした量的緩和について、金融政策を分析する標準的なマクロ経済モデルであるニューケインジアン・モデルに、さまざまな角度から金融市場の不完全性を導入した分析が進展してきています6。しかしながら、量的緩和がどのような環境の下で、どのようなメカニズムを通じて、効果を発揮したのかは、必ずしも十分に解明されているとは言えないように思います。実際、バーナンキ前FRB議長は、「量的緩和の問題点は、現実には効果が認められるのだけれども、理論的には効果が説明できないことである」と述べています。特に、国や地域によって金融システムの構造が異なることを考えれば、大規模な資産購入の対象となる金融市場だけでなく、その金融システムを通じた波及メカニズムなど、国や地域による違いを明示的に取り込んだ分析も必要になってくると思われます。

  1.  4 Neil Wallace (1981), “A Modigliani-Miller Theorem for Open-Market Operations,” American Economic Review, Vol. 71, No. 3, pp. 267-274を参照。
  2.  5 Franco Modigliani and Richard Sutch (1966), “Innovations in Interest Rate Policy,” American Economic Review, Vol. 56, No. 2, pp. 178-197を参照。
  3.  6 たとえば、Mark Gertler and Nobuhiro Kiyotaki (2010), “Financial Intermediation and Credit Policy in Business Cycle Analysis,” in Handbook of Monetary Economics, Volume 3A (Benjamin Friedman and Michael Woodford eds.)を参照。

6.金融政策ルール

ここで、若干話題を変えて、非伝統的金融政策と政策ルールについて考えてみましょう。

金融政策を巡る理論的・実証的研究としては、1990年代以降、テイラールールに代表される政策ルールに関する研究が大きく進展しました7。こうした研究においては、金融政策の効果を最大限に引き出していくために、マクロ経済の変動に応じてシステマチックに政策金利を設定していくことの重要性が強調されています。言い換えますと、金融政策の有効性を確保していくためには、民間部門が予想していないショックを与えることではなく、一貫性・予見可能性の高い政策対応を継続していくことが重要です(図表6)。

こうした政策運営の考え方は、非伝統的な政策の運営においても、基本的に共通したものと言えます。そのため、平時から、ゼロ金利制約に直面するような極めて大きな外的ショックへの政策対応のオプションを示しておくことが、金融政策の有効性を高めていくうえで重要と考えられます。もっとも、わが国の1990年代末以降の経験や、欧米の中央銀行におけるリーマンショック後の政策対応を振り返ると、その時々に直面する状況や課題に応じて、新たな政策手段を考案しつつ、手探りで進められてきました。

現実には、さまざまな不確実性が存在していますから、将来生起する事象すべてについて、あらかじめ政策オプションを提示しておくことは難しい面があります。また、そうした想定外の事態における政策対応は、金融経済環境だけでなく、さまざまな構造的・制度的な与件を考慮して策定されるため、どうしても複雑なものとなります。

こうした不確実性が大きく、複雑な問題に対処しなければならない状況において効率的な資源配分を実現するために、どのような制度的な枠組みを構築するべきかという問題は、不完備契約(incomplete contract)理論が取り扱う分野です8。この分野は、近年、急速に研究が進み、企業組織、金融契約、法制度など、その応用範囲も広がっています。そうした新しい知見を活用し、危機対応も含めた包括的な政策ルールやその運営といった政策枠組みを考えていくことで、金融政策を巡る研究のフロンティアを広げていくことができるのではないかと考えています。

  1.  7 John B. Taylor (1993), “Discretion versus Policy Rules in Practice,” Carnegie-Rochester Conference Series on Public Policy, Vol. 39, pp. 195-214がこの分野の嚆矢となった研究。
  2.  8 たとえば、この分野の標準的な教科書として、Patrick Bolton and Mathias Dewatripont (2005), Contract Theory, The MIT Pressを参照。

7.長期均衡

マイナス金利付き量的・質的金融緩和について、その出口に至る時期や政策の進め方についてお話しするのは時期尚早と考えていますが、せっかくの機会ですので、最後に、デフレからの脱却が果たされた後のわが国経済と金融政策の関係について少し考えてみたいと思います。

金融政策を分析する標準的なモデルにおいては、トレンド成長率や定常状態におけるインフレ率は与件とされ、トレンド周りの経済変動に焦点があてられてきました。金融政策分析の中心的な問題意識は、循環的な経済変動をいかに平準化させ、インフレ率を目標水準の近くで安定化させるか、という点に集約されていたということになります。標準的なマクロ経済学において、景気循環を扱う短期モデルでは、潜在成長率を外生的に決まる所与のものとする一方、潜在成長率の決定要因を分析する長期の経済成長モデルでは、短期的な経済変動は平準化され、長期的な経済成長には影響しないとして、捨象されることが一般的です。

これは、非伝統的な金融政策について議論するときも、基本的に同様です。非伝統的な金融政策を分析する際、通常使われるマクロ理論モデルにおいては、ゼロ金利制約に服するような大きなショックが加わったとしても、ショックが減衰するにつれ、定常状態に復帰していくと想定されます。見方を変えると、非伝統的な金融政策の分析は、大きなショックの影響について、時間を通じてどう平準化し、吸収していくかを考えていることになります。

しかしながら、定常状態が下方シフトし、長期の成長期待を反映した「自然利子率」が恒常的に低下してしまえば、実質金利低下による経済活動の刺激効果が弱まり、金融政策の有効性が大きく低減します。また、自然利子率の水準そのものに不確実性が高まることは、金融政策の緩和・引き締めの度合いの評価や、将来にわたる金融政策の経路の不確実性を高めることを意味します。このほか、潜在成長率の低下は、恒常所得の予想も低下させると考えられますから、負の所得効果が生じ、この面から経済活動の下押し圧力が生じることも考えられます。

実際、主要先進国では、近年の長期停滞論(Secular Stagnation)にみられるように、大きなショックに見舞われた後、さまざまな要因によって定常状態そのものが下方シフトしている可能性について活発に議論されています9。わが国においても、潜在成長率は1990年代初頭までは3~4%ほどありましたが、その後低下トレンドをたどり、90年代後半以降は1%程度、リーマン・ショック後は0.5%以下にまで低下しています(図表7)。潜在成長率の低下とともに、景気に中立的な自然利子率も、低下傾向をたどっていたと考えられます。

その意味では、中長期的な定常状態を巡る不確実性と金融政策運営の関係は、わが国だけでなく、各国中央銀行が共通して直面している課題と言えます。この問題を考えるためには、長期的な経済成長と短期的な景気循環の相互作用を考慮した分析枠組みを考えていく必要がありますが、これは学術的にもチャレンジングな研究課題なのではないかと思います。

  1.  9 Lawrence H. Summers (2015), “Have we Entered an Age of Secular Stagnation? IMF Fourteenth Annual Research Conference in Honor of Stanley Fischer, Washington, DC,” IMF Economic Review, Vol. 63, No. 1, pp. 277-280を参照。

8.おわりに

1990年代後半以降、マイルドではありますが、非常にしつこいデフレと闘ってきたわが国の経験は、非伝統的な金融政策の学術的な研究においても、中央銀行の実践においても、貴重な経験と言えます。そして、こうした経験を活かして、学術的な研究も、金融政策の運営も、この15年余りの間に大きな進展をとげてきました。もっとも、本日、お話ししてきたように両者の間には、まだまだギャップがあるのも事実です。今後とも、学界と中央銀行界が力を合わせ、努力を続けていくことで、双方にとって貴重な資産が蓄積されていくことになると考えています。

ご清聴ありがとうございました。