外国中央銀行等の国債取引にかかる決済事務の見直しについて
2017年9月28日
日本銀行
株式会社証券保管振替機構
日本銀行は、外国中央銀行等および国際機関に対して提供している国債の保護預り業務について、証券保管振替機構と共同で検討し、決済事務を見直す方針ですので、以下のとおりお知らせいたします。
1.決済照合システムの利用およびT+2決済の開始
わが国の国債市場では、日本証券業協会「国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」において、国内居住者間の国債取引にかかる決済期間短縮化(T+1化)1に向けた準備が進められており、当該短縮化は2018年5月1日(約定分)より実施される予定となっています。
他方、非居住者を含む国債取引については、多様な関係者が関与するほか、時差が存在することなどから、上記取組みの対象外とされています。もっとも、国内取引のT+1化により非居住者取引の決済期間短縮化(T+2化)のニーズが高まる可能性がある中、市場関係者の間では「まずはT+2決済を標準的に行えるよう、決済事務の円滑化・迅速化策の検討を行う」、「国内サブカストディアン(証券会社を含む。)の保振照合等の利用を促進する」といった対応が期待されています2。
こうした状況を踏まえ、日本銀行は、外国中央銀行等および国際機関が一方当事者となる国債取引について、決済照合システムの利用と、可能な限り市場慣行に沿う事務フローへの見直しを行った上で、T+2決済を可能とする方針です。
- 現在、約定の2営業日後に決済されている取引(アウトライト等)について、約定の翌営業日に決済する扱いとするもの。
- 日本証券業協会「国債取引の決済期間の短縮(T+1)化に向けたグランドデザイン」(2014年11月)参照。
2.今後の予定など
本件について、日本銀行では、今後、国内サブカストディアンや証券会社等との間で具体的な検討を継続し、必要な事務処理態勢等の整備が完了することを前提として、2018年6月中を目途に、新しい事務フローによるT+2決済を開始する予定です。
日本銀行は、今般の取組みにより、日本銀行自身の決済事務の円滑化・迅速化を進めるとともに、決済の相手方である国内サブカストディアンや証券会社等における決済事務の円滑化・迅速化が促進されることを期待しています。
証券保管振替機構は、2001年に決済照合システムの稼働を開始するなど、国債や株式をはじめとする有価証券の決済事務の円滑化とリスク削減に貢献してまいりました。現在のところ、国債の非居住者取引における決済照合システムの利用率は6割程度と推計されていますが、市場関係者においては、決済業務の効率化や標準化の観点から、一層の利用拡大が望まれているところです。日本銀行の事務見直しや決済期間の短縮化を契機として、決済照合システムの利用がますます促進され、海外から日本国債市場へのアクセス性が高まることで、わが国金融市場の更なる活性化につながることを期待しています。
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