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支店長会議総裁開会挨拶要旨(2020年4月)

2020年4月9日
日本銀行

  1. (1)新型コロナウイルス感染症が拡大し、世界経済の先行きは強い不透明感に覆われている。感染症の拡大防止のため、各国で、外出制限等の措置が取られている結果、グローバルに経済活動が大きく制約されている。新型コロナウイルス感染症の拡大は、わが国経済にも、輸出・生産やインバウンド需要、個人消費の落ち込みなどを通じて、深刻な影響を及ぼしている。グローバルな感染症拡大の収束時期には不透明感が強く、経済の先行きは不確実性が極めて高い。
  2. (2)この間、内外金融資本市場では、投資家のリスクセンチメントが悪化し、急速に不安定化した。各国の中央銀行による積極的な対応のもとで、金融市場は一頃の緊張が幾分緩和しつつあるが、引き続き、神経質な状況にある。わが国の金融システムは全体として安定性を維持しているものの、金融環境をみると、企業の資金繰りは悪化している。
  3. (3)こうしたもとで、政府は、4月7日に緊急事態宣言を発出するとともに、今回の危機の克服に向け、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を策定した。同対策では、企業の資金繰り支援が柱の一つとなっている。日本銀行も、3月の金融政策決定会合において、企業金融の円滑確保と金融市場の安定維持の観点から、金融緩和の強化を行った。企業金融支援のための新たなオペの開始やCP・社債等買入れの増額といった措置をしっかりと実施することで、企業金融の円滑確保に貢献していく方針である。また、緊急事態宣言が発出されたもとで、日本銀行は、指定公共機関として、金融機能の維持と資金決済の円滑確保といった、中央銀行として必要な業務を継続して行う体制を整備している。
  4. (4)日本銀行としては、当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。