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支店長会議総裁開会挨拶要旨(2022年7月)

2022年7月11日
日本銀行

  1. 1.わが国の景気は、新型コロナウイルス感染症や資源価格上昇の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している。先行きについては、ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくとみられる。
  2. 2.物価面をみると、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、携帯電話通信料の引き下げの影響が剥落するもとで、エネルギーや食料品の価格上昇を主因に、2%程度となっている。先行きについては、当面、エネルギーや食料品の価格上昇の影響により、2%程度で推移するとみられるが、その後は、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想される。この間、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率・賃金上昇率も高まっていくもとで、原材料コスト上昇の価格転嫁の動きもあって、プラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。
  3. 3.リスク要因をみると、引き続き、内外の感染症の動向やその影響、今後のウクライナ情勢の展開、資源価格や海外経済の動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。
  4. 4.わが国の金融システムは、全体として安定性を維持している。金融環境は、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある。
  5. 5.金融政策運営については、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。