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調査に関する契約書

日本銀行政策委員会決定:2002年8月30日
改正:2017年9月22日

日本銀行(以下「甲」という。)と_____(以下「乙」という。)とは、甲が「考査に関する契約書」に基づき当該契約の締結先かつ乙の連結子会社である先(以下「丙」という。)の業務および財産の状況を把握するに際し、これを補完するために甲が乙に対して実施する調査等に関し、次のとおり契約する。

第1条(調査に関する合意)

甲と乙とは、甲が丙との間で締結している「考査に関する契約書」に基づき丙の業務および財産の状況を把握するに際し、これを補完するために甲が乙に対して行う調査(報告、資料提出を求めること、または立入調査をいう。以下「調査」という。)等を以下の条項に従い行うことに合意する。

第2条(調査の目的、範囲)

  1. 甲が乙に対して行う調査等は、甲が日本銀行法(平成9年法律第89号、以下「法」という。)第37条から第39条までに規定する業務を適切に行い、およびこれらの業務の適切な実施に備えることをその目的とする。
  2. 前項に定める調査等は、甲が丙と締結している「考査に関する契約書」に基づいて丙の業務および財産の状況を把握するに際し、その把握に必要な限度を超えないものとする。

第3条(報告、資料提出の申込みと承諾)

  1. 甲は、甲が丙と締結している「考査に関する契約書」に基づいて丙の業務および財産の状況を把握するに際し、乙に対する立入調査を検討するのに必要な場合、乙に対し、丙の業務および財産の状況またはこれと関連する乙の業務および財産の状況(以下「丙の業務および財産の状況に関する事項」という。)につき報告または資料の提出を求めることについての承諾を求めるものとする。
  2. 前項の申込みは、合理的期間をおいて、提供すべき情報の内容、回答方法等を記載した書面等により行うものとする。ただし、乙からの報告または資料の提出を緊急に必要とする合理的な事情がある場合はこの限りではない。
  3. 乙は、甲から第1項に定める申込みを受けた場合、甲に対しその諾否をすみやかに回答するものとする。
  4. 前項の回答は、やむを得ない事情がある場合を除き、書面等により行うものとする。

第4条(立入調査の申込みと承諾)

  1. 甲は、前条第3項の承諾に基づく乙からの報告もしくは資料の提出またはその他乙等からの情報提供によっては丙の業務および財産の状況を十分に把握できず乙に対して立入調査を行う必要があると甲が認める場合、立入調査を必要と認める理由、立入調査の目的および対象ならびに立入調査を行う時期を示して、乙に立入調査を行うことについての承諾を求めるものとする。
  2. 前項の申込みは、立入調査を行う前に合理的期間をおいて書面等により行うものとし、緊急に実施する必要がある合理的な事情がある場合を除き、立入調査を行う日の一ヵ月以上前までに書面等により行うものとする。ただし、甲が前条第1項に基づく報告または資料の提出を申込んだ後に立入調査を申込む場合は、甲は報告または資料提出の申込みから立入調査を行う日までに一ヵ月以上(緊急に実施する必要がある合理的な事情がある場合を除く)の期間を確保すればよいものとする。この場合、乙の報告または資料の提出と立入調査の準備が円滑に進むよう、甲は手続の進め方に配慮するものとする。
  3. 申込みを行うことのできる立入調査の期間は、原則として、乙への申込み時点で甲が丙に対して申込んでいる考査の期間(当該申込み以降に丙による変更の申込みが行われている場合はその期間)以内とする。ただし、甲乙間でこれと異なる合意をすることを妨げない。
  4. 乙は、甲から第1項に定める申込みを受けた場合、甲に対しその諾否をすみやかに回答するものとする。
  5. 前項の回答は、やむを得ない事情がある場合を除き、書面等により行うものとする。

第5条(正当な理由がある場合の申込みの拒絶等)

  1. 乙は、正当な理由がある場合、第3条第3項または第4条第4項の回答において申込みを拒絶することができる。この場合、当該回答に理由を付すものとする。
  2. 乙は、正当な理由がある場合、第3条第3項または第4条第4項の諾否の回答に代えて、調査を行う時期、調査の対象または調査の方法について変更の申込みを行うことができる。この場合、乙は、理由を付してその申込みを行うものとし、甲は、当該申込みについて乙と協議するものとする。
  3. 前項の申込みは、やむを得ない事情がある場合を除き、書面等により行うものとする。

第6条(承諾後の調査に関する時期等の変更)

甲丙間で考査を行う時期または考査の対象について変更が行われる等、甲乙間において合意した調査を行う時期、対象または方法を変更する正当な理由がある場合は、双方協議する。

第7条(立入調査に従事する職員の氏名等の通知)

  1. 甲は、立入調査を行う前に合理的期間をおいて、立入調査に従事する職員の氏名および役職を乙に通知するものとする。
  2. 甲は、前項で通知した職員を変更する場合は、その氏名および役職をすみやかに乙に通知するものとする。

第8条(身分証明書の携帯等)

立入調査に従事する甲の職員は、甲が発行するその身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示するものとする。

第9条(報告または資料の提出)

甲は、第3条第3項による承諾に基づき、乙に対して、丙の業務および財産の状況に関する事項について報告または資料の提出を求めることができる。

第10条(立入調査の際の情報提供)

  1. 甲は、第4条第4項に定める承諾に基づき乙に対して行う立入調査に際し、その目的を達成するため、乙に対して、丙の業務および財産の状況に関する事項についての説明を求めることができる。
  2. 甲は、第4条第4項に定める承諾に基づき乙に対して行う立入調査に際し、その目的を達成するため、乙に対して、丙の業務および財産の状況の把握に必要な帳簿その他の物件等の提示を求めることができる。
  3. 前2項に基づき乙が提供する情報については、原則として、丙のうち甲が考査を実施している先にかかわるものをその対象とする。ただし、甲乙間でこれと異なる合意をすることを妨げない。

第11条(立入調査期間外における情報提供)

  1. 甲は、第9条に定める場合のほか、乙に対する立入調査の期間外のうち、丙に対する考査において、丙が考査の申込みを承諾してから考査の結果が伝達されるまでの間、第2条第2項に定める丙の業務および財産の状況を把握するのに必要な限度の範囲で、乙に対して、丙の業務および財産の状況に関する事項について報告または資料の提出を求めることができる。
  2. 甲は、乙に対する立入調査の期間外のうち、前項の場合を除く期間においても、第2条第2項に定める丙の業務および財産の状況を把握するのに必要な限度の範囲で、乙に対して、丙の業務および財産の状況に関する事項について報告または資料の提出を求めることができる。
  3. 前項の甲の乙に対する報告または資料の提出の請求は、乙と事前に協議のうえ、合理的期間をおいて、提供すべき情報の内容、回答方法等を記載した書面等により行うものとする。ただし、乙からの報告または資料の提出を緊急に必要とする合理的な事情がある場合はこの限りでない。

第12条(正当な理由がある場合の情報提供の拒絶等)

乙は、正当な理由がある場合、第9条ないし第11条に定める情報提供を拒絶することができる。この場合において、甲が乙に対し当該情報提供に代えて取り得る他の方法等につき協議を申入れたときは、乙は当該申入れにつき甲と協議するものとする。

第13条(立会い)

第10条第2項に基づき、甲が乙の有する丙の業務および財産の状況の把握に必要な帳簿その他の物件等の閲覧等を行う場合は、乙の役職員がこれに立会うものとする。ただし、甲と乙が合意のうえ、乙の役職員の立会いを不要とした場合はこの限りでない。

第14条(守秘義務)

  1. 甲の役員および職員は、法第44条第3項の規定により考査の結果を記載した書類その他の考査に関する資料を金融庁長官に対し提出し、またはその職員に閲覧させる場合、その他正当な理由がある場合を除くほか、乙に対する調査により知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
  2. 乙の役員および職員は、法令の定める場合その他正当な理由があるとして甲が特に認めた場合を除くほか、丙に対する考査または乙に対する調査の結果その他考査または調査を通じて得た情報を漏らしてはならない。
  3. 第1項の定めにかかわらず、甲は、乙に対する調査により知ることができた秘密を丙に対して開示することができる。
  4. 第2項の定めにかかわらず、乙は、甲の乙に対する調査の結果その他調査を通じて得た情報を丙に対して開示することができる。
  5. 乙は、甲が丙との間で締結している「考査に関する契約書」に基づき丙の業務および財産の状況を把握するに際し、当該把握に必要な場合、甲が丙から乙に関する情報の提供を受けることに同意する。

第15条(公表等)

  1. 甲は、乙が本契約に定める義務を履行しなかったことにより丙の業務および財産の状況の正確な把握が妨げられ、その結果、日本銀行法に定められた甲の業務の円滑な遂行に重大な支障が発生した場合、当該事実を公表することができる。ただし、第9条ないし第11条に定める情報提供にあたり、故意または重過失によらずに虚偽の情報を提供した場合を除く。
  2. 甲は、前項の公表を行おうとするときは、乙に対し、相当の期間を定めて、その理由を付し予告するものとし、乙に意見を述べる機会を与えるものとする。

第16条(事務負担への配慮)

  1. 甲は、その行う立入調査がその行おうとする目的に照らして乙に対し過大な事務負担を及ぼすことのないよう、立入調査にあたって提出を求める資料の内容、立入調査に従事する甲の職員の数その他の立入調査の実施の方法について配慮するものとする。
  2. 甲が第9条または第11条に基づき、乙に対して、報告または資料の提供を求めるときは、その目的に照らして乙に対し過大な事務負担を及ぼすことのないよう、報告または資料の内容その他の実施の方法について配慮するものとする。

第17条(乙の連結子会社に対する調査)

  1. 甲が、丙の業務および財産の状況に関する事項を把握するに際し、これを補完するため、乙の連結子会社(丙を除く。)のうち特に調査を行う必要があると認める先に対する調査を行うことについて、乙に対して協議を申入れた場合には、双方協議する。
  2. 前項の申入れは、第3条第3項の承諾に基づく乙からの報告もしくは資料の提出またはその他乙等からの情報提供によっては丙の業務および財産の状況に関する事項を十分に把握できず特に当該調査を行う必要があると甲が認める場合において、当該調査を必要と認める理由、当該調査の目的および対象(対象となる乙の連結子会社の名称を含む。)ならびに当該調査を行う時期を示して、当該調査を行う前に合理的期間をおいて行うものとする。
  3. 第1項の場合において、甲が前項により示した調査を行うことに支障となる事情が乙から示されたときは、甲乙は、当該調査の目的および当該事情を勘案のうえ、協議するものとする。
  4. 第1項の協議において甲乙間で合意した場合には、乙は、当該合意にかかる乙の連結子会社(以下「丁」という。)に対して行う調査(以下「丁に対する調査」という。)を円滑に実施するために必要となる措置を講じるものとする。この場合、甲は、乙に過大な事務負担を及ぼすことのないよう配慮するものとする。
  5. 甲の丁に対する調査は、甲が丙の業務および財産の状況に関する事項を把握するに際し、その把握に必要な限度を超えないものとし、その実施にあたっては、丁の事務負担に配慮するものとする。

第18条(協議)

調査(丁に対する調査を含む。)に関し、本契約に定めのない事項については、甲、乙協議する。

第19条(合意管轄)

この契約に関して紛議を生じた場合の争訟については、東京地方裁判所を専属管轄裁判所とする。

第20条(契約変更)

甲乙いずれか一方が、本契約の変更の必要を認め、相手方に対し協議を申入れた場合、双方協議する。

この契約を締結した証として本契約書2通を作製し、当事者双方が記名捺印のうえ、1通は甲、1通は乙がそれぞれ保有するものとする。

   年   月   日
(甲の代表者)   (乙の代表者)


合意書

日本銀行(以下「甲」という。)と____(以下「乙」という。)は、甲が乙との間で締結している「考査に関する契約書」に基づき乙の業務および財産の状況を把握するに際してその補完のために甲が____(以下「丙」という。)に対して実施する調査に関し、甲丙間で「調査に関する契約書」が締結されるにあたり、以下のとおり合意する。

第1条

甲は、甲乙間で締結している「考査に関する契約書」第12条第1項の定めにかかわらず、乙に対する考査により知ることのできた秘密を、丙に対して開示することができる。

第2条

乙は、甲乙間で締結している「考査に関する契約書」第12条第2項の定めにかかわらず、考査の結果その他考査を通じて得た情報を、丙に対して開示することができる。

第3条

乙は、甲が乙との間で締結している「考査に関する契約書」を補完する目的で甲丙間で締結した契約に基づいて丙に対する調査を行うに際し、当該調査に必要な場合、甲が丙から乙に関する情報の提供を受けることに同意する。

第4条

甲乙間で締結している「考査に関する契約書」第16条および第17条を準用する。

この合意書を作成した証として本書2通を作製し、当事者双方が記名捺印のうえ、1通は甲、1通は乙がそれぞれ保有するものとする。

   年   月   日
(甲の代表者)   (乙の代表者)