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金融経済月報(基本的見解1)(2008年6月)2

  1. 本「基本的見解」は、6月12日、13日開催の政策委員会・金融政策決定会合で決定されたものである。
  2. 本稿は、6月12日、13日に開催された政策委員会・金融政策決定会合の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。

2008年6月13日
日本銀行

 わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから、減速している。

 輸出は、足もと幾分鈍化しつつも増加を続けている。企業収益は、交易条件の悪化等を背景にこのところ減少している。そうしたもとで、設備投資は増勢が鈍化している。個人消費は、雇用者所得の緩やかな増加を背景に、底堅く推移している。一方、公共投資は低調に推移している。この間、住宅投資は緩やかに回復している。以上のような内外需要のもと、生産は横ばい圏内の動きとなっている。

 景気の先行きについては、当面減速が続くものの、その後緩やかな成長経路をたどると予想される。

 すなわち、輸出は、海外経済が減速しつつも拡大するもとで、増加を続けていくとみられる。企業収益は、当面減少を続けるが、エネルギー・原材料価格の上昇が緩やかになるにつれて、増益基調に復すると予想される。また、雇用者所得は緩やかな増加を続けるとみられる。そうしたもとで、設備投資や個人消費は底堅く推移する可能性が高い。一方、住宅投資は、回復の動きが徐々に一巡していくと予想される。また、公共投資は、減少傾向で推移すると考えられる。以上の需要動向全体を踏まえると、生産は、当面横ばい圏内で推移するが、その後増加していくとみられる。なお、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響などに、引き続き注意する必要がある。

 物価の現状をみると、国内企業物価は、国際商品市況高などを背景に、3か月前比でみて上昇している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品や食料品の価格上昇などを背景に、+1%程度となっている。

 物価の先行きについて、国内企業物価は、当面、国際商品市況高などを背景に、上昇を続ける可能性が高い。消費者物価の前年比は、経済全体の需給が概ねバランスした状態で推移するもとで、石油製品や食料品の価格上昇などから、プラスを続けていくと予想される。

 金融面をみると、企業金融を巡る環境は、緩和的な状態にある。民間の資金需要は緩やかに増加している。CP・社債の発行環境をみると、下位格付先では発行スプレッドがなお高めの水準にあるが、全体としてみれば、良好な状況にある。民間銀行は総じて緩和的な貸出姿勢を続けている。こうしたもとで、民間銀行貸出は増加しており、CP・社債の発行残高は前年を上回って推移している。企業の資金調達コストは横ばい圏内で推移している。企業の資金繰りは、中小企業でやや悪化しているが、全体としてみれば、引き続き良好に推移している。この間、マネーストック(M2)は前年比2%程度の伸びとなっている。

 金融市場の動きをみると、短期金融市場では、オーバーナイト物金利は0.5%前後で推移し、ターム物金利は、前月と概ね同じ水準となっている。為替・資本市場では、前月と比べ、長期金利は上昇しているが、円の対ドル相場は下落している。この間、株価は前月と概ね同じ水準となっている。

以上