金融市場調節方針の変更等について
2001年12月19日
日本銀行
- 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、主たる操作目標である日本銀行当座預金残高を増額するとともに、金融市場調節手段を拡充する措置を講ずることとした(別紙)。
- わが国の景気は広範に悪化しており、先行きについても、当面、厳しい調整が続くものとみられる。こうしたなかで、金融市場では、株価やCP、社債の発行金利について信用度の違いを反映した格差が拡がるなど、金融機関や投資家の姿勢が慎重化している。
- このような動きは、経済・産業面での構造改革や金融システム健全化の途上で避けられない面がある。しかし、そうした動きが行き過ぎ、健全な企業の資金調達環境が厳しくなると、実体経済や物価をさらに下押しすることが懸念される。
- 本日の措置は、こうした点を念頭において、金融市場の安定的な機能を確保し、金融面から景気回復を支援する効果を確実なものとするために講じたものである。
- 日本銀行は、物価の継続的な下落を防止するとともに、日本経済の安定的かつ持続的な成長の基盤を整備するため、今後とも実体経済面の動向や金融市場の状況を注視しつつ、中央銀行としてなし得る最大限の努力を続けていく方針である。
以上
(別紙)
平成13年12月19日
日本銀行
1.金融市場調節方針の変更
日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
2.長期国債買い入れの増額
これまで月6千億円(年7.2兆円)ペースで行ってきた長期国債の買い入れを月8千億円(年9.6兆円)ペースに増額する。
3.金融市場調節手段の拡充
- (1)コマーシャルペーパー(CP)、資産担保債券(ABS)の一層の活用
- (a)当面、CP現先オペの積極的活用を図る。
- (b)資産担保CP(ABCP)をCP現先オペの対象および適格担保に加えるための実務的検討を早急に進め、準備が整い次第、決定会合の議を経て、実施に移す。
- (c)住宅ローン債権、不動産を裏付け資産とするABSを適格担保に加えるための実務的検討を早急に進め、準備が整い次第、決定会合の議を経て、実施に移す。なお、従来は、リース料債権、クレジット債権、社債、企業向け貸出債権を裏付け資産とするABSを適格担保の対象としていた。
- (2)金融市場調節の運営面の改善
- (a)手形オペ(全店買い入れ)のオファー頻度を引き上げる。
- (b)国債買い入れオペ、国債借り入れ(レポ)オペ、CP現先オペ、手形売出において輪番オファーを廃止し、今後、全先に毎回オファーを行う。
以上
(別添)
平成13年12月19日
日本銀行
当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成多数)。
日本銀行当座預金残高が10~15兆円程度となるよう金融市場調節を行う。
なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化するおそれがある場合には、上記目標にかかわらず、一層潤沢な資金供給を行う。
以上
参考
- 開催時間
- 12月18日(火)14:00~15:21
12月19日(水) 9:01~13:00、13:31~14:54 - 出席委員
- 議長 速水 優 (総裁)
藤原 作弥 (副総裁)
山口 泰 (副総裁)
三木 利夫 (審議委員)
中原 伸之 (審議委員)
植田 和男 (審議委員)
田谷 禎三 (審議委員)
須田 美矢子(審議委員)
中原 眞 (審議委員)
上記のほか、
- 12月18日
- 岩田一政 内閣府政策統括官(経済財政−景気判断・政策分析担当)(14:00~15:21)
藤井秀人 財務省大臣官房総括審議官(14:00~15:21) - 12月19日
- 竹中平蔵 経済財政政策担当大臣(9:01~11:20)、
小林勇造 内閣府政策統括官(経済財政−運営担当)(11:22~13:00、13:31~14:06、14:16~14:54)
村上誠一郎 財務副大臣(9:01~13:00、13:31~14:06、14:16~14:54)
が出席。
- 金融経済月報の公表日時
- 2001年12月20日(木)14:00
- 議事要旨の公表日時
- 2002年 1月21日(月)14:00
以上