「国債の条件付売買基本要領」の制定等について
2002年 9月18日
日本銀行
日本銀行は、本日開催した政策委員会・金融政策決定会合において、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。これは、金融調節の一層の円滑化を図る趣旨から、現行の短国現先オペおよび国債借入オペに代えて、国債を対象とする新現先方式によるオペレーションを導入し、あわせて、事務手続の整備を図るものです。
記
- 「国債の条件付売買基本要領」を別紙1のとおり制定すること。
- 「短期国債売買および国債の条件付売買における売買対象先選定基本要領」を別紙2のとおり制定すること。
- 次の政策委員会決定を「国債の条件付売買基本要領」附則に定める日をもって廃止すること。ただし、当該廃止の日より前に次の政策委員会決定に基づき実施した金銭を担保とする国債の借入および短期国債の条件付売買の取扱いは、なお従前の例によること。
- (1)「金銭を担保とする国債の借入基本要領」
(平成9年10月28日決定) - (2)「金銭を担保とする国債の借入における借入対象先選定基本要領」
(平成11年6月14日決定) - (3)「短期国債の条件付売買基本要領」
(平成11年3月25日決定) - (4)「短期国債売買における売買対象先選定基本要領」
(平成10年12月15日決定) - (5)「国債の売戻条件付買入要領」
(昭和62年11月27日決定)
- (1)「金銭を担保とする国債の借入基本要領」
- 上記2.により制定した「短期国債売買および国債の条件付売買における売買対象先選定基本要領」に基づく第1回目の売買対象先選定は、当該基本要領の実施日から8か月程度の期間を経た後に行うこととし、それまでの間は次のとおり取扱うこと。
- (1)「短期国債売買における売買対象先選定基本要領」に基づき現に選定されている売買対象先を「短期国債売買基本要領」(平成11年10月27日決定)に基づく売買における売買対象先とすること。
- (2)「短期国債売買における売買対象先選定基本要領」に基づき現に選定されている売買対象先または「金銭を担保とする国債の借入における借入対象先選定基本要領」に基づき現に選定されている借入対象先のうち、「国債の条件付売買基本要領」に基づく売買における売買対象先となることを希望し、次に掲げる事項の遵守を約した先を「国債の条件付売買基本要領」に基づく売買における売買対象先とすること。
- イ、本行の国債の条件付売買に積極的に応札すること
- ロ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ハ、金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
- (3)上記(1)または(2)により売買対象先とする先については、「短期国債売買および国債の条件付売買における売買対象先選定基本要領」4.(2)および(3)の規定を準用すること。
- 次の政策委員会決定を別紙3から別紙8までのとおり一部改正すること。
以上
本件照会先
企画室企画第2課
山田 03-3277-2800)
正木 03-3277-2813)
金融市場局金融市場課
加藤 (03-3277-1286)
熊谷 (03-3277-1360)
別紙1
「国債の条件付売買基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図る趣旨から、利付国債、割引短期国債および政府短期証券の売戻条件付買入または買戻条件付売却を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.売買店
本店(業務局)とする。
3.売買対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
4.売買対象
利付国債、割引短期国債および政府短期証券(以下「売買国債」と総称する。)とする。
5.売戻条件および買戻条件
買入または売却に当っては、買入日または売却日の翌日から起算して6か月以内の確定日に売戻または買戻を行う旨の条件を付する。
6.売買方式
- (1)売戻条件付買入の場合
買入日から売戻日までの期間中の利回り(以下「買入期間利回り」という。)を入札に付してコンベンショナル方式により決定し、これにより買入れる方式とする。 - (2)買戻条件付売却の場合
売却日から買戻日までの期間中の利回り(以下「売却期間利回り」という。)を入札に付してコンベンショナル方式により決定し、これにより売却する方式とする。
7.売買価格
- (1)買入価格および売却価格
市場実勢相場等を勘案して銘柄ごとに定める価格(以下「時価」という。)を時価売買価格比率で除して得た金額とする。 - (2)時価売買価格比率
時価売買価格比率は、買入または売却の別および売買国債の残存期間に応じ、次のとおりとする。- イ.買入の場合
- (イ)残存期間1年以内のもの 1.003
- (ロ)残存期間1年超5年以内のもの 1.006
- (ハ)残存期間5年超10年以内のもの 1.021
- (ニ)残存期間10年超20年以内のもの 1.039
- (ホ)残存期間20年超のもの 1.057
- ロ.売却の場合
- (イ)残存期間1年以内のもの 0.997
- (ロ)残存期間1年超5年以内のもの 0.994
- (ハ)残存期間5年超10年以内のもの 0.980
- (ニ)残存期間10年超20年以内のもの 0.964
- (ホ)残存期間20年超のもの 0.948
- イ.買入の場合
- (3)売戻価格
売戻価格は、買入価格に、買入価格に買入日から売戻日までの日数に応じ買入期間利回りを乗じて得た額を加えた金額とする。 - (4)買戻価格
買戻価格は、売却価格に、売却価格に売却日から買戻日までの日数に応じ売却期間利回りを乗じて得た額を加えた金額とする。
8.担保
- (1)純与信額
純与信額は、一の営業日において、当該営業日をすべての売戻条件付買入および買戻条件付売却の売戻日または買戻日であるとみなした場合において、次のイ.の金額がロ.の金額を上回るときの、その上回る金額をいう。- イ.本行または売買先が相手方から受取るべき売戻代金または買戻代金に時価売買価格比率を乗じた金額、相手方に売却した売買国債の時価評価額および相手方に差入れている担保国債の担保価額の合計金額
- ロ.本行または売買先が相手方に支払うべき買戻代金または売戻代金に時価売買価格比率を乗じた金額、相手方から買入れた売買国債の時価評価額および相手方から受入れている担保国債の担保価額の合計金額
- (2)担保の受入等
売買先に対して純与信額を有する場合には、当該売買先から担保の差入または返戻を受ける。 - (3)担保の差入等
売買先が本行に対して純与信額を有する場合において、当該売買先から請求を受けたときは、当該売買先に対して担保の差入または返戻を行う。 - (4)担保の種類
利付国債、割引国債、割引短期国債および政府短期証券とする(本要領において、「担保国債」と総称する。)。 - (5)担保価格
担保価格は、受入または差入の別および担保国債の残存期間に応じ、次のとおりとする。- イ.受入の場合
- (イ)残存期間1年以内のもの 時価の99.7%
- (ロ)残存期間1年超5年以内のもの 時価の99.4%
- (ハ)残存期間5年超10年以内のもの 時価の98.0%
- (ニ)残存期間10年超20年以内のもの 時価の96.3%
- (ホ)残存期間20年超のもの 時価の94.6%
- ロ.差入の場合
- (イ)残存期間1年以内のもの 時価の100.3%
- (ロ)残存期間1年超5年以内のもの 時価の100.6%
- (ハ)残存期間5年超10年以内のもの 時価の102.0%
- (ニ)残存期間10年超20年以内のもの 時価の103.7%
- (ホ)残存期間20年超のもの 時価の105.4%
- イ.受入の場合
9.売買国債の差替え
売買先から請求を受けた場合において、適当と認めたときは、買入れた売買国債と異なる銘柄の売買国債への差替えに応じる。売買先が認めた場合には、売却した売買国債と異なる銘柄の売買国債に差替えることができる。
10.その他
- (1)売買日等の決定
買入日および売戻日または売却日および買戻日、売買金額、売買先、売買銘柄その他売買を行うために必要な具体的事項については、金融市場の情勢等を勘案して売買のつど決定する。 - (2)売買国債および担保国債の利子の取扱い
買入れた売買国債および受入れた担保国債の利子支払期日が到来した場合には、その利子相当額を売買先に支払う。売却した売買国債および差入れた担保国債の利子支払期日が到来した場合には、売買先からその利子相当額の支払いを受ける。
(附則)
この基本要領は、平成14年11月末までの総裁が別に定める日から実施する。
別紙2
「短期国債売買および国債の条件付売買における売買対象先選定基本要領」
1.趣旨
この基本要領は、金融調節に関する事務手続の一層の明確化を図る趣旨から、「短期国債売買基本要領」(平成11年10月27日付政委第163号別紙1.)および「国債の条件付売買基本要領」(平成14年9月18日付政委第109号別紙1.)に規定する売買対象先の選定を行うために必要な基本的事項を定めるものとする。
2.売買対象先の選定基準等
- (1)売買対象先の選定に当っては、売買対象先となることを希望する先を公募するものとする。
- (2)売買対象先については、(1)の公募に応じた者の中から、次に掲げる要件を満たす先を選定する。
- イ、本行本店の当座預金取引先であること
- ロ、日本銀行金融ネットワークシステムを利用していること
- ハ、国債振替決済制度の参加者(間接参加者を除く。)であること
- ニ、自己資本の状況および考査等から得られた情報に照らし、信用力が十分であると認められること
- (3)(2)に掲げる要件を満たした先の数が、本行が短期国債売買および国債の条件付売買の円滑な実施のために適当と認める売買対象先の数を上回る場合には、次に掲げる事項を勘案して売買対象先を選定する。
- イ、利付国債、割引短期国債および政府短期証券(以下「売買対象国債」という。)の流通市場における取引高
- ロ、売買対象国債の流通市場における取引平均残高
- ハ、売買対象国債の流通市場における取引先数
- ニ、売買対象国債の流通市場における金利情報の市場参加者への提供状況
- ホ、既存の売買対象先については、本行の短期国債売買および国債の条件付売買における落札実績
3.売買対象先の選定頻度
売買対象先は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。
4.売買対象先の遵守事項等
- (1)売買対象先の公募に際しては、次に掲げる売買対象先としての遵守事項を明示するものとする。
- イ、本行の短期国債売買および国債の条件付売買に積極的に応札すること
- ロ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ハ、金融政策遂行に有益な市場情報または分析を提供すること
- (2)売買対象先が(1)に掲げる事項に著しく背馳した場合には、売買対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
- (3)(2)に定める場合のほか、2.に定める基準に鑑み必要と認められる場合には、売買対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
(附則)
この基本要領は、「国債の条件付売買基本要領」附則に定める日から実施する。
別紙3
「手形買入基本要領」中一部改正
3.を横線のとおり改める。
3.買入対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。
別紙4
「手形売出基本要領」中一部改正
3.を横線のとおり改める。
3.売出対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。
別紙5
「短期国債売買基本要領」中一部改正
3.を横線のとおり改める。
3.売買対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。
別紙6
「国債売買基本要領」中一部改正
3.を横線のとおり改める。
3.売買対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。
別紙7
「コマーシャル・ペーパーの売戻条件付買入基本要領」中一部改正
3.を横線のとおり改める。
3.買入対象先
金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)および短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)のうち、別に定めるところにより選定した先とする。
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。
別紙8
「補完貸付制度基本要領」中一部改正
2.(1)イ、を横線のとおり改める。
イ、金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行預金保険法(昭和46年法律第34号)第2条第13項に規定する承継銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)または短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)であること
(附則)
この基本要領の一部改正は、平成14年9月18日から実施する。