当面の金融政策運営について
2018年9月19日
日本銀行
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日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
- 短期金利:
- 日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。
- 長期金利:
- 10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし1、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。
- (2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
- [1]ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。
- [2]CP等、社債等について、それぞれ約2.2兆円、約3.2兆円の残高を維持する。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成7反対2)(注1)
- わが国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働くもとで、緩やかに拡大している。海外経済は、総じてみれば着実な成長が続いている。そうしたもとで、輸出は増加基調にある。国内需要の面では、設備投資は、企業収益や業況感が改善基調を維持するなかで、増加傾向を続けている。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加している。この間、住宅投資は横ばい圏内で推移している。公共投資も高めの水準を維持しつつ、横ばい圏内で推移している。以上の内外需要の増加を反映して、鉱工業生産は増加基調にあり、労働需給は着実な引き締まりを続けている。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、横ばい圏内で推移している。
- 先行きのわが国経済は、緩やかな拡大を続けるとみられる。国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。輸出も、海外経済の着実な成長を背景として、基調として緩やかな増加を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続けることや中長期的な予想物価上昇率が高まることなどを背景に、2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる(注2)。
- リスク要因としては、米国のマクロ政策運営やそれが国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの帰趨とその影響、それらも含めた新興国・資源国経済の動向、英国のEU離脱交渉の展開やその影響、地政学的リスクなどが挙げられる。
- 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。政策金利については、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している(注3)。今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。
以上
- (注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、布野委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員。反対:原田委員、片岡委員。原田委員は、長期金利が上下にある程度変動しうるものとすることは、政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎるとして反対した。片岡委員は、物価が伸び悩む現状や今後のリスク要因を考慮すると、10年以上の幅広い国債金利を一段と引き下げるよう、金融緩和を強化することが望ましいとして反対した。 本文に戻る
- (注2)片岡委員は、消費者物価の前年比は、先行き、2%に向けて上昇率を高めていく可能性は現時点では低いとして反対した。 本文に戻る
- (注3)原田委員は、物価目標との関係がより明確となるフォワードガイダンスを導入することが適当であるとして反対した。片岡委員は、2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に達成する観点から、長短金利維持のコミットメントではなく、中長期の予想物価上昇率に関する現状評価が下方修正された場合には追加緩和手段を講じるとのコミットメントが適当であるとして反対した。 本文に戻る
- 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。 本文に戻る
(参考)
- 開催時間
- 9月18日(火) 14:00~15:36
9月19日(水) 9:00~11:40 - 出席委員
- 議長 黒田 東彦(総裁)
雨宮 正佳(副総裁)
若田部昌澄( 副総裁 )
原田 泰 (審議委員)
布野 幸利( 審議委員 )
櫻井 眞 ( 審議委員 )
政井 貴子( 審議委員 )
鈴木 人司( 審議委員 )
片岡 剛士( 審議委員 )
上記のほか、
- 9月18日
- 財務省 茶谷 栄治 大臣官房総括審議官(14:00~15:36)
内閣府 中村 昭裕 内閣府審議官(14:00~15:36) - 9月19日
- 財務省 木原 稔 財務副大臣(9:00~11:25、11:33~11:40)
内閣府 越智 隆雄 内閣府副大臣(9:00~11:25、11:33~11:40)
が出席。
- 公表日時
- 当面の金融政策運営について――9月19日(水)11:47
主な意見――9月28日(金)8:50予定
議事要旨――11月5日(月)8:50予定
以上