当面の金融政策運営について
2020年7月15日
日本銀行
- 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
- 短期金利:
- 日本銀行当座預金のうち政策金利残高に-0.1%のマイナス金利を適用する。
- 長期金利:
- 10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。その際、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとする1。
- (2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
- [1]ETFおよびJ-REITについて、当面は、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的な買入れを行う2。
- [2]CP等、社債等については、それぞれ約2兆円、約3兆円の残高を維持する。これに加え、2021年3月末までの間、それぞれ7.5兆円の残高を上限に、追加の買入れを行う。
- (1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(賛成8反対1)(注1)
- 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
引き続き、(1)新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、(2)国債買入れやドルオペなどによる円貨および外貨の上限を設けない潤沢な供給、(3)ETFおよびJ-REITの積極的な買入れにより、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めていく。
当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している(注2)。
以上
- (注1)賛成:黒田委員、雨宮委員、若田部委員、櫻井委員、政井委員、鈴木委員、安達委員、中村委員。反対:片岡委員。片岡委員は、今後の物価下押し圧力の強まりへの対応と、企業・家計の金利負担軽減を企図して、長短金利を引き下げることで、金融緩和をより強化することが望ましいとして反対した。 本文に戻る
- (注2)片岡委員は、新型感染症の深刻な影響を念頭におくと、財政・金融政策の更なる連携が必要であり、日本銀行としては、政策金利のフォワードガイダンスを、物価目標と関連付けたものに修正することが適当であるとして反対した。 本文に戻る
- 金利が急速に上昇する場合には、迅速かつ適切に国債買入れを実施する。 本文に戻る
- ETFおよびJ-REITの原則的な買入れ方針としては、引き続き、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行い、その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。 本文に戻る
(参考)
- 開催時間
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7月14日(火) 14:00~15:31
7月15日(水) 9:00~11:50 - 出席委員
- 議長 黒田 東彦(総裁)
雨宮 正佳(副総裁)
若田部昌澄( 副総裁 )
櫻井 眞 (審議委員)
政井 貴子( 審議委員 )
鈴木 人司( 審議委員 )
片岡 剛士( 審議委員 )
安達 誠司( 審議委員 )
中村 豊明( 審議委員 )
上記のほか、
- 7月14日
-
財務省 神田 眞人 大臣官房総括審議官(14:00~15:31)
内閣府 田和 宏 内閣府審議官(14:00~15:31) - 7月15日
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財務省 遠山 清彦 財務副大臣(9:00~11:29、11:38~11:50)
内閣府 宮下 一郎 内閣府副大臣(9:00~11:29、11:38~11:50)
が出席。
- 公表日時
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当面の金融政策運営について――7月15日(水)11:57
経済・物価情勢の展望(基本的見解)――7月15日(水)11:57
経済・物価情勢の展望(背景説明を含む全文)――7月16日(木)14:00予定
主な意見――7月27日(月)8:50予定
議事要旨――9月24日(木)8:50予定
以上