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当面の金融政策運営について

2025年9月19日
日本銀行

  1. 日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した(賛成7反対2)(注)

    無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.5%程度で推移するよう促す。

  2. 日本銀行が保有するETFおよびJ-REITについて、市場に攪乱的な影響を与えることを回避する等の基本方針を踏まえ、「金融機関から買入れた株式」の売却1と同程度の規模で、市場への売却を行うことを決定した2(全員一致)(別紙参照)。
  3. わが国の景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している。海外経済は、各国の通商政策等の影響を受けて一部に弱めの動きもみられるが、総じてみれば緩やかに成長している。輸出や鉱工業生産は、一部に米国の関税引き上げに伴う駆け込みとその反動の動きがみられるが、基調としては横ばい圏内の動きを続けている。企業収益は、製造業において関税による下押しの影響がみられるが、全体としては高水準を維持している。設備投資は緩やかな増加傾向にある。個人消費は、物価上昇の影響などから消費者マインドに弱さがみられるものの、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比をみると、賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、米などの食料品価格上昇の影響等から、足もとでは2%台後半となっている。予想物価上昇率は、緩やかに上昇している。

    先行きのわが国経済を展望すると、各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは鈍化すると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる。消費者物価(除く生鮮食品)については、このところの米などの食料品価格上昇の影響は減衰していくと考えられる。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、成長ペース鈍化などの影響を受けて伸び悩むものの、その後は、成長率が高まるもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想され、「展望レポート」の見通し期間後半には「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移すると考えられる。

    リスク要因としては様々なものがあるが、とくに、各国の通商政策等の今後の展開やその影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は高い状況が続いており、その金融・為替市場やわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある。

以上


  • (注)賛成:植田委員、氷見野委員、内田委員、野口委員、中川委員、小枝委員、増委員。反対:高田委員、田村委員。高田委員は、物価が上がらないノルムが転換し、「物価安定の目標」の実現が概ね達成されたとして、田村委員は、物価上振れリスクが膨らんでいる中、中立金利にもう少し近づけるためとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を0.75%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された。本文に戻る

  1. 1日本銀行は、2002年から2004年および2009年から2010年にかけて、金融システム全体の安定性を確保するため、金融機関からの株式買入れを実施した。その後、一定のペースで当該株式の売却を進め、本年7月にその処分を完了した。本文に戻る
  2. 2このほか、2019年12月に導入されたETF貸付制度を、その利用状況等に鑑み、停止することとした。本文に戻る

(別紙)

ETFおよびJ-REITの処分について

日本銀行は、2024年3月の政策委員会・金融政策決定会合において、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断し、金融政策の枠組みの見直しを行った。その際、ETFおよびJ-REIT(以下、「ETF等」)については、新規の買入れを終了することを決定し、その後、保有するETF等の処分のあり方について検討してきた。

ETF等の買入れについて規定した「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」は、その処分を行う場合の基本方針として、(1)ETF等の市場等の情勢を勘案し、適正な対価によること、(2)日本銀行の損失発生を極力回避すること、(3)ETF等の市場等に攪乱的な影響を与えることを極力回避することを定めている。

日本銀行は、こうした基本方針にもとづき、また、これまで「金融機関から買入れた株式」の売却を円滑に進めてきた経験を踏まえて、当分の間、以下のとおり、当該売却と同程度の規模(市場全体の売買代金に占める売却割合は0.05%程度)で、保有するETF等の売却を行うこととした。

  1. ETFについては、年間3,300億円程度3のペースで、取引所市場で形成される価格にもとづき、市場への売却を行う。
  2. J-REITについては、年間50億円程度4のペースで、取引所市場で形成される価格にもとづき、市場への売却を行う。
  3. ETF、J-REITともに、上記の売却ペースのもとで、時期の分散に配慮しつつ、各銘柄の保有割合におおむね比例的なかたちで売却する。

日本銀行では、今後、ETF等の処分にかかる受託者を選定したうえで、所要の準備が整い次第、処分を開始する予定である(「処分の指針」は別添)。

なお、ETF等の処分を開始した後、上記の基本方針や今後の売却の経験を踏まえ、金融政策決定会合において、売却ペースを見直すこともありうる。

以上

  1. 3簿価ベース。2025年3月末時点の時価に換算すると6,200億円程度であり、金融機関から買入れた株式の処分ペースとおおむね同額となる(東証プライム市場全体の売買代金に占める売却額の割合は0.05%程度)。本文に戻る
  2. 4簿価ベース。2025年3月末時点の時価に換算すると55億円程度(東証REIT市場全体の売買代金に占める売却額の割合は0.05%程度)。本文に戻る

(別添)

指数連動型上場投資信託受益権等の処分の指針

「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」(平成25年4月4日付政委第47号別紙3.)8.(3)に定める指数連動型上場投資信託受益権等の処分の指針については、以下のとおりとする。

  1. 処分の枠組み

    指数連動型上場投資信託受益権および不動産投資法人投資口(以下「指数連動型上場投資信託受益権等」という。)の処分は、取引所市場で形成される価格にもとづき、市場への売却により行う。

  2. 売却方法
    1. (1)指数連動型上場投資信託受益権等の売却ペース等については、次のとおりとする。
      1. イ、指数連動型上場投資信託受益権については、売却時期の分散に配慮しつつ、年間3,300億円程度(簿価ベース)のペースで売却する。
      2. ロ、不動産投資法人投資口については、売却時期の分散に配慮しつつ、年間50億円程度(簿価ベース)のペースで売却する。
      3. ハ、イ、またはロ、の売却ペースのもとで、保有する指数連動型上場投資信託受益権等の各銘柄を、その保有割合に概ね比例的なかたちで売却する。ただし、不動産投資法人投資口の毎営業日における銘柄毎の売却口数については、各銘柄の市場流動性を考慮して上限を設定する。
    2. (2)受託者は、(1)に定める売却ペース等のもとで、指数連動型上場投資信託受益権等の市場等の状況に応じ、日本銀行との間であらかじめ定めた一定の範囲内で売却額の一時的な調整を行うことができる。特に、指数連動型上場投資信託受益権等にかかる価格指数が著しく下落した場合には、売却の一時停止を行うことができる。

(附則)

この指針は、総裁が別に定める日から実施する。


(参考)

開催時間
  • 9月18日(木) 14:00から15:37
  • 9月19日(金) 9:00から12:40
出席委員
  • 議長 植田 和男(総裁)
  • 氷見野良三(副総裁)
  • 内田 眞一( 副総裁 )
  • 野口 旭  (審議委員)
  • 中川 順子( 審議委員 )
  • 高田 創  ( 審議委員 )
  • 田村 直樹( 審議委員 )
  • 小枝 淳子( 審議委員 )
  • 増  一行( 審議委員 )

上記のほか、

9月18日
  • 財務省 前田 努 大臣官房総括審議官(14:00から15:37)
  • 内閣府 林 幸宏 内閣府審議官(14:00から15:37)
9月19日
  • 財務省 前田 努 大臣官房総括審議官(9:00から12:04、12:16から12:40)
  • 内閣府 瀬戸 隆一 内閣府副大臣(9:00から12:04、12:16から12:40)

が出席。

公表日時
  • 当面の金融政策運営について――9月19日(金)12:47
  • 主な意見――9月30日(火)8:50予定
  • 議事要旨――11月5日(水)8:50予定

以上