金融機関におけるクラウドサービスの利用状況と利用上の課題について―アンケート調査結果から―
2024年1月30日
日本銀行金融機構局
要旨
わが国金融機関では、収益の拡大と経費削減という経営戦略上の重要課題に取り組むうえで、デジタル技術を活用した新しいビジネスの展開や既存システムのモダナイゼーションといったシステム戦略の重要性が増している。その際、クラウドサービス(以下「クラウド」)の利活用は、経営戦略を実現していくうえでの有力な選択肢となっている。
日本銀行では、取引先金融機関のうち155先を対象に、クラウドの利用状況等を調査するためのアンケート調査を実施した。アンケート結果をみると、業態を問わず、クラウドが普及しているほか、顧客情報や決済業務を扱う重要領域でも相応に利用されていること、また、多くの先が先行き重要領域での利用拡大を展望しているほか、利用目的として、新しいサービス・事業の創出といった「攻め」の戦略実現をねらいとしていることが確認された。この間、クラウドを有効利用するための課題や論点については、重要領域におけるクラウドの利用状況、習熟度によって、意識しているポイントが異なることも確認された。
クラウドは、適切なリスク管理の下で利用すれば、コンピュータ資源を自ら設置し管理する従来型のオンプレミスと比べて必ずしもリスクが高いものではない。わが国金融機関においては、クラウドに対する理解をより一層深め、勘所を押さえたリスク管理の下で、自らの経営戦略の実現に資するようクラウドを使いこなすことが益々重要になっている。
日本銀行としても、今後も考査・モニタリングやセミナーなどを通じて、金融機関の自発的な取り組みを後押ししていく方針である。
日本銀行から
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照会先
金融機構局考査企画課
E-mail : csrbcm@boj.or.jp