地域経済報告 (2005年 4月)*
- 本報告は、本日開催された支店長会議の時点で利用可能であった情報をもとに記述されている。なお、記述内容は支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものであり、必ずしも日本銀行全体の統一した見解ではない。
2005年 4月21日
日本銀行
以下には「1.各地域からの報告のポイント」を掲載しています。全文は、こちら(chiiki0504.pdf 242KB) から入手できます。
なお、本報告の構成は以下のとおりです。
- 1.各地域からの報告のポイント
- 2.その他の話題
- (1)IT関連財の在庫・生産調整に関して
- (2)不動産取引・地価の動向
- <参考1>地域別金融経済概況
- <参考2>地域別主要指標
本件照会先
調査統計局 地域経済担当
Tel. 03-3277-1357
1. 各地域からの報告のポイント
各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、一部で弱めの動きがみられるが、ほぼすべての地域で緩やかな回復基調にある。
すなわち、全国9地域のうち、7地域の景気判断は「緩やかな回復基調」となっている。ただし、これらすべての地域がIT調整に伴う企業の景況感悪化などを主因に景気回復の「一服感」を報告している。一方、北海道、東北では、横ばい圏内の動きが続いている。
なお、1月支店長会議時と比べると、比較可能な8地域のうち1、3地域(近畿、中国、四国)が基調判断を若干ながら下方修正しているが、その他の地域は前回判断を維持している。
- 関東甲信越は、今回が初回の報告であるため、前回との比較はできない。なお、近畿は大阪支店管下とみなした。
4月判断 | (参考)1月判断2 | |
---|---|---|
北海道 | 横ばい圏内の動きが続いている | 横ばい圏内の動きが続いている |
東北 | 足踏み状態が続いている | このところ足踏み状態にある |
北陸 | 生産面などに弱めの動きがみられるものの、緩やかながら回復を続けている | 生産面などに弱めの動きがみられるものの、緩やかながら回復を続けている |
関東甲信越 | 一部に弱さもみられるが、緩やかながら回復基調を辿っている | ― |
東海 | 足もと一服感がみられるが、回復を続けている | 足もと一服感がみられるが、回復を続けている |
近畿 | 一部に弱めの動きがみられるものの、全体としては回復基調を維持している | 輸出や生産が横ばいの動きとなっているものの、全体として回復を続けている |
中国 | 回復のテンポが緩やかになっている | テンポを緩めつつも回復を続けている |
四国 | 一部に足もと一服感がみられるものの、基調としては、緩やかな持ち直しの動きを続けている | 域内や業種間で格差がみられるものの、総じてみれば、緩やかな持ち直しの動きを続けている |
九州・沖縄 | 緩やかながらも製造業を中心に回復を続けている | テンポを緩めつつも回復を続けている |
- 22005年1月の11支店金融経済概況から抜粋(一部短縮化)。
個人消費は、北海道、東北が弱めの動きを報告しているが、残り7地域では「持ち直し」や「底堅い」といった判断をしている。
大型小売店の売上高は、関東甲信越では昨年後半に比べて幾分持ち直しているほか、東海では新店効果から底堅い動きとなっているが、その他の地域では春物衣料の不振等から弱めの動きとなっている。一方、家電販売は、北海道では前年を下回っているが、その他の地域でデジタル家電を中心に底堅い。また、乗用車販売は、北海道で減少しているほか、関東甲信越で横ばい圏内となったが、その他の地域では持ち直し、もしくは底堅い。この間、旅行については、北海道と四国で観光客数減少の指摘がみられた一方、旅行取扱高は海外旅行を中心に東北、東海、九州・沖縄で好調と報告された。
なお、前回報告との比較では、近畿が「緩やかな持ち直し」から「底堅く推移」に、四国が「一部で強めの動きがみられる」から「底堅く推移」に変更しているほか、九州・沖縄が「回復感に乏しい動き」を削除している。
設備投資は、すべての地域で、製造業を中心に増加基調にあり、2005年度についても増加が続く見通しとなっている。
前回報告との比較では、目立った判断の変更はない。
生産は、多くの地域で概ね「横ばい」と判断している。こうした中で、北海道が「緩やかに増加」との判断となった一方、中国が「高い水準ながら一部に弱めの動き」、近畿が「IT関連財や機械類を中心に弱めの動きとなっている」と報告している。
前回報告との比較では、北海道が「横ばい」から「緩やかに増加」に、東北が「幾分減少」から「横ばい圏内」とした。一方、四国が「緩やかな増加傾向」から「増勢に一服感」に、九州・沖縄が「増勢鈍化」から「横ばい圏内」に判断を変更しているほか、中国も判断をやや下方修正している。
雇用・所得は、労働需給については、中国地域内の山陰地区で一進一退となったほかは、すべての地域で改善が報告されている。特に、東海では、高水準の生産や2大プロジェクト関連(中部国際空港、愛知万博)の労働需要拡大を指摘している。所得面では北海道、東北が賃金・所得の弱さを報告しているが、他の地域では、緩やかながらも改善していると判断している。
前回との比較では、東海で新規求人が「高水準横ばい」から「緩やかに増加」に、常用労働者数も「持ち直し」から「増加」に変更された。また、近畿、九州・沖縄も判断を幾分上方修正している。
需要項目等
個人消費 | 設備投資 | 生産 | 雇用・所得 | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 低調に推移している | 持ち直している | 緩やかに増加している | 雇用情勢は、厳しい状況ながらも改善の動きが続いている。賃金は、弱めの動きが続いている |
東北 | 全体としては一進一退で推移している | 製造業を中心に引き続き高水準を維持している | 概ね横ばい圏内で推移している | 雇用情勢をみると、労働需給は引き続き改善傾向にある。所得は、捗々しい改善をみていない |
北陸 | 持ち直しの動きが続いている | 製造業を中心に引続き前年を上回っている | 全体として横ばい圏内で推移している | 雇用情勢は、総じて改善傾向を辿っている。賃金は、前年を上回って推移している |
関東甲信越 | 総じてみれば底堅く推移している | 製造業を中心に増加を続けている | 均してみればほぼ横ばいの動きとなっている | 雇用情勢は総じてみると改善している。賃金も全体としてみれば改善しているとみられる |
東海 | 底堅い動きを続けている | 着実な増加を続けている | 一部IT関連の調整の動きを伴いつつも、横ばい圏内の動きとなっている | 雇用情勢、所得とも持ち直している |
近畿 | 地域によるばらつきはあるが、総じてみれば底堅く推移している | 全体として増加基調を維持している | 弱めの動きとなっているが、一部には受注持ち直しの動きもみられつつある | 雇用情勢は、緩やかに改善しつつある。雇用者所得は、徐々に底打ち感がみられつつある |
中国 | 持ち直しの動きがみられる | 高水準となっている | 引き続き高水準ながら一部に弱めの動きもみられる | 雇用情勢は、改善の動きがみられる。賃金は、下げ止まりつつある |
四国 | 強弱入り混じりながらも、全体としては底堅く推移している | 製造業を中心に引続き回復している | 全体としては増勢に一服感がみられる | 雇用・所得環境では、改善に向けた動きがある |
九州・沖縄 | 底堅い動きが続いている | 製造業を中心に増加している | 全体として高水準ながらも横ばい圏内の動きとなっている | 雇用情勢は、緩やかながら改善傾向が続いている。所得動向は現金給与総額がなお前年割れとなっているが、マイナス幅は縮小してきている |