地域経済報告 (2006年 1月)*
- 本報告は、本日開催の支店長会議に向けて収集された情報をもとに記述されている。
なお、記述内容は支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものであり、必ずしも日本銀行全体の統一した見解ではない。
2006年1月13日
日本銀行
以下には「I.各地域からの報告のポイント」を掲載しています。全文は、こちら(chiiki0601.pdf 607KB) から入手できます。
なお、本報告の構成は以下のとおりです。
- I.各地域からの報告のポイント
- II.その他の話題
- ・厳しい財政事情のもとでの地方公共団体の各種取組みについて
- <参考1>地域別金融経済概況
- <参考2>各地域における2005年中の主な出来事(年間回顧)
- <参考3>地域別主要指標
本件照会先
調査統計局 地域経済担当
Tel.03-3277-2649
I. 各地域からの報告のポイント
各地域の取りまとめ店の報告によると、足もとの景気は、程度の差は残りつつも、全ての地域で改善の動きを示すなど、回復に地域的な広がりがみられている。
すなわち、全9地域で、民需の回復が続くもとで、生産面の増加がはっきりとしてきており、全体として、景気回復の動きがしっかりとしてきている。ただ、その程度は、いち早く回復に向かった東海や近畿などに比べ、北海道や四国では「緩やかな持ち直しの動き」にとどまるなど、依然として地域間格差がみられる。
なお、昨年10月の支店長会議時と比べると、全9地域が景気判断をやや上方修正し、前回「横ばい」の北海道も「持ち直しの動き」に転じている。その背景をみると、需要面では、雇用・所得環境の改善を背景とする個人消費の「底堅さ」や「持ち直し」を挙げる地域が多い。また、生産面でも、地域ごとに程度の差はあるものの、ほとんどの地域で、IT関連分野や輸送機械を中心に、生産水準が上昇している。
05/10月判断 | 判断の変化 | 06/1月判断 | |
---|---|---|---|
北海道 | 横ばい圏内で推移している | ![]() |
緩やかながらも持ち直しの動きがみられる |
東北 | 地域、業種、企業間の格差を伴いつつも、緩やかに持ち直しつつある | ![]() |
緩やかに持ち直している |
北陸 | 緩やかな回復を続けている | ![]() |
裾野を広げつつ、緩やかな回復を続けている |
関東甲信越 | 緩やかに回復している | ![]() |
回復を続けている |
東海 | 基調として回復を続けている | ![]() |
回復を続けている |
近畿 | 緩やかな拡大を続けている | ![]() |
緩やかな拡大を続けている |
中国 | 緩やかに回復している | ![]() |
全体として回復を続けている |
四国 | 一部での増勢一服感が薄らいでいる中、基調として緩やかな持ち直しの動きを続けている | ![]() |
緩やかながら持ち直しの動きが続いている |
九州・沖縄 | 緩やかに回復している | ![]() |
着実に回復している |
個人消費は、近畿、東海で緩やかな「増加」や「回復」としているほか、6地域で「持ち直し」や「底堅い」、「底堅さがうかがわれている」といった判断をしている。また、前回は「横ばい」とした北海道でも、「持ち直しの兆しがうかがわれる」と報告している。
乗用車販売は、足もと一服感がうかがわれ、各地域とも前年を下回っている。一方、家電販売は、薄型テレビ等のデジタル家電を中心に、各地域で「増加」ないしは「堅調」に推移している。また、大型小売店の売上をみると、気温の低下等を背景に冬物衣料の好調を指摘する地域が多く、従来に比べ、足もと、やや明るめの動きを報告する地域が多くなっている。この間、幾つかの地域からは、年末年始の歳末・初売り商戦や国内旅行が好調に推移した、との報告がある。
なお、前回報告との比較では、北海道、東北、北陸、東海の4地域が判断をやや上方修正しており、個人消費の「底堅さ」や「持ち直し」傾向に、さらなる地域的な広がりがうかがわれている。
設備投資は、すべての地域で、引き続き増加傾向にある。
前回報告との比較では、北陸、中国、四国の3地域が判断をやや上方修正した。
生産は、東海、近畿、北陸、九州・沖縄の4地域が「増加」、あるいは「増加基調」と判断している。また、東北、関東甲信越、四国の3地域が緩やかに「増加」あるいは「持ち直し」としているほか、中国では「高水準で推移」としている。この間、北海道は「横ばい圏内で推移」と判断している。業種別の特徴をうかがうと、輸出向け自動車関連などの輸送機械が引き続き増加しているほか、電気機械、電子部品・デバイス等の生産水準の上昇には、地域間の広がりが見受けられる。一方、鉄鋼、繊維など、一部素材で生産水準を落としている、との報告がある。
前回報告との比較では、九州・沖縄が上方修正したほか、前回判断を維持した中国を除く7地域が、判断をやや上方修正している。
雇用・所得環境をみると、労働需給については、すべての地域で改善が続いている。なお、こうした改善傾向は広くみられるものの、東海の「有効求人倍率が高水準で推移」から北海道の「厳しいながらも改善」まで、地域間の格差は引き続き大きい。
所得面では、「低調」あるいは「下げ止まり」と判断した先が東北、北海道の2地域に止まった一方、冬季賞与の増加等を背景に、北陸、東海、近畿、九州・沖縄の4地域が「増加」あるいは「改善」と判断したほか、関東甲信越、中国、四国の3地域が緩やかながら「増加」あるいは「改善」と報告している。
前回報告との比較では、北陸、中国の2地域が判断をやや上方修正したほかは、全ての地域で前回判断が維持されている。
需要項目等
個人消費 | 設備投資 | 生産 | 雇用・所得 | |
---|---|---|---|---|
北海道 | 持ち直しの兆しがうかがわれる | 生産能力の増強や合理化等の動きを背景に増加している | 横ばい圏内で推移している | 雇用情勢については、厳しい状況ながらも改善の動きが続いている。賃金は、下げ止まりつつある |
東北 | 底堅さがうかがわれている | 引き続き増加している | 全体として緩やかに持ち直している | 雇用情勢をみると、全体として緩やかな改善傾向にある。所得は、全体として低調に推移している |
北陸 | 品目によりばらつきはみられるものの、持ち直し傾向を幾分強めている | 着実に増加している | 全体として増加基調をたどっている | 雇用情勢をみると、引き続き改善傾向をたどっている。賃金についても、改善傾向にある |
関東甲信越 | 底堅く推移している | 高水準の企業収益を背景として、増加を続けている | 緩やかに増加している | 雇用情勢は、改善傾向が続いている。雇用者所得は、緩やかな増加を続けている |
東海 | 緩やかに回復している | 着実な増加を続けている | 増加している | 雇用情勢をみると、有効求人倍率も高水準で推移しており、常用労働者数も増加している。雇用者所得は、改善している |
近畿 | 全体として緩やかに増加している | 引き続き増加している | 増加している | 雇用情勢は、緩やかに改善している。雇用者所得は、基調としては増加している |
中国 | 持ち直している | 増加している | 高水準で推移している | 雇用情勢は、改善の動きが続いている。雇用者所得は、緩やかな増加傾向にある |
四国 | 全体として底堅く推移している | 収益好調な製造業を中心に回復している | 緩やかに持ち直している | 雇用情勢は、緩やかな改善基調をたどっている。雇用者所得は、全体として緩やかに回復しつつある |
九州・沖縄 | 緩やかに持ち直している | 製造業を中心に増加している | 総じて増加している | 雇用情勢は、緩やかな改善傾向が続いている。雇用者所得は、総じてみると引き続き改善している |