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全国11支店金融経済概況 (2001年 4月)

2001年 4月 9日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気をみると、全体として下押し圧力が強まっており、企業マインドもやや悪化している。最終需要面では、企業収益の改善基調に一服感が窺われるなかで、民間設備投資は減少に転ずる計画となっているほか、個人消費についても一部での明るい動きが引続きみられるものの、全体としては力強さに欠ける展開が続いている。また、住宅投資、公共投資ともに減少している。こうしたなかで、企業の生産は減少傾向を辿り、雇用情勢についても改善テンポが幾分鈍化している。

最終需要面の動きをみると、公共投資は、国、地方分ともに発注が鈍化しており、減少している。

住宅投資は、持家、分譲マンションが前年を下回るなど、全体としては減少基調にある。

個人消費は、耐久消費財の一部の売行きは底固いものの、大型小売店等の売上げは引続き前年を下回って推移するなど、全体としては力強さに欠ける状況が続いている。この間、観光面では、入込み客数は一進一退の動きとなっている。

設備投資については、一部には能力増強投資や新規出店の動きがみられるものの、大型案件の一巡や需要減少等に伴う設備投資姿勢の慎重化等の動きから、減少に転ずる計画となっている。

企業の生産は、自動車部品では欧米向け輸出の鈍化から、紙・パでもIT関連向け需要の伸び悩み等から、いずれも高水準ながらも操業度を幾分引下げている。また、電子部品(情報通信機器向け等)についても、海外からの受注減少等を背景に操業度をさらに引下げているほか、鋳鍛鋼製品、木材・木製品等では、民間需要の低調等を映じ低操業を継続、建設関連資材(セメント、コンクリート二次製品等)でも官公需の減少から低調に推移しているため、全体では減少傾向にある。

企業収益については、コスト削減努力は引続きみられるものの、売上げの伸び悩み等から、改善傾向に一服感が窺われる。

雇用情勢については、雇用者所得が伸び悩んでいるほか、新規求人数が減少に転じ、有効求人倍率も低下するなど、改善テンポが幾分鈍化している。

企業金融は、金融機関では引続き優良先を中心に貸出増加を図っていること等から、緩和傾向を辿っている。この間、企業倒産については、建設、卸・小売、運輸等を中心に件数、負債金額ともこのところ増加をみている。

金融面をみると、預金は、個人預金が堅調を続けるなかで、法人預金での預貸相殺の動き等から、全体では低目の伸びが続いている。一方、貸出については、企業の資金需要が低迷しているほか、住宅ローンの伸びも鈍化していること等から、全体では低調に推移している。

以上

東北地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行仙台支店

東北地区の景気は、輸出の減少等を背景に足踏み状態にあり、企業の景況感も悪化している。

すなわち、個人消費については、一進一退の中、一部に明るい動きもみられるが、公共・住宅投資は引き続き低調に推移している。こうした状況の下で、生産面では、IT関連を中心に輸出の減少から生産水準を引き下げる動きが拡がっており、雇用面にも、その影響が出てきている。

最終需要をやや詳しくみると、個人消費は、全体として一進一退の状態が続いている。すなわち、大型小売店売上高は、高級ブランド品が堅調な販売を継続している一方、主力春物衣料品が低調なほか、食料品等の販売単価下落もあって、前年比減少基調が続いている。もっとも、家電販売は、パソコン等情報通信機器が引き続き好調なほか、白物家電も家電リサイクル法施行前の駆け込み需要から伸びを高めている。また、乗用車販売についても、豪雪の影響等から新車登録台数は前年をやや下回っているが、販売地合いは比較的底固いとの見方が多い。

公共投資をみると、請負金額は、このところ前年を大幅に下回っている。先行きについても、東北新幹線延伸等の大型プロジェクトはあるが、財政難から2001年度当初予算の投資的経費を削減している地方公共団体が多いこともあって、低調に推移するとみられる。

また、住宅投資も、着工戸数は前年を下回って推移している。

2000年度の設備投資額(東北地区短観、ソフトウエアを含む全産業)をみると、通年では、IT関連を中心とした大幅な能力増強投資や新製品開発投資から、前年度を1割弱上回る伸びとなった。しかし、直近では、電子部品や非鉄金属の一部に増産投資を先送りする動きがみられるほか、小売等に店舗投資を抑制する動きもみられる。更に、2001年度は、電気機械の能力増強投資が減少するほか、小売の新規出店抑制姿勢が続くことなどから、前年度を2割方下回る計画となっている。

主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、ネットワーク機器が高操業を継続しているものの、半導体等電子部品は主として輸出減少から、パソコンは国内受注減少から、それぞれ生産水準を引き下げている。

輸送用機械では、輸出の減少から生産水準を引き下げる動きもみられるが、国内出荷の堅調から、足元は高操業を継続している。

その他消費関連業種では、衣料品が引き続き減産を行っているほか、食料品の一部でも生産を落としている。また、印刷用紙も情報通信関連向け需要の鈍化からここへきて生産水準を引き下げている。

設備投資関連業種をみると、工作機械や半導体製造装置は、新規受注が減少しつつあるものの、既往の受注残が高水準であるため、足元は堅調な生産を続けている。

一方、建設関連業種(セメント・同二次製品、鉄鋼二次製品、木材・木製品)では、大型プロジェクト向けは堅調ながら、公共・住宅投資の低迷から、全体としては低調な生産を続けている。

2000年度の売上・利益見通し(東北地区短観、全産業)は、IT関連で輸出減少の影響が、また、小売には販売価格下落の影響が、建設、卸売には公共・住宅投資減少の影響が見られ、前回調査時点(2000/12月)に比べ下方修正された。ただ、通年では、国内耐久消費財や光通信の好調に加え、通信の好伸もあって、増収・増益基調を維持している。

2001年度は、建設、窯業・土石などの公共関連業種で、地方公共団体における公共投資予算削減から減収・減益が見込まれている。しかし、通信の好調持続に加え、個人消費の全般的な持ち直し期待、IT関連を中心とする下期以降の輸出環境好転期待もあって、全体では増収・増益の計画となっている。

雇用面をみると、常用雇用者数は、建設業の悪化から昨秋以降前年比減少幅が拡大している。また、有効求人倍率も、電気機械を中心とした生産活動の低下に伴う求人意欲の後退から、悪化している。

企業倒産件数をみると、建設、卸・小売等の中小・零細企業を中心に、引き続き高水準で推移している。

金融面をみると、預金は、法人が伸び悩んでいるものの、個人が堅調に推移しており、全体として緩やかな伸びを続けている。一方、貸出は、個人向けが堅調なものの、法人向けが不冴えとなっており、全体としても低調な動きとなっている。

以上

北陸地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行金沢支店

北陸の景気は、設備投資が増加を続けているものの、これまでの景気回復を支えてきた輸出が米国景気の急減速などを背景に減少しており、つれて企業の業況感が悪化、生産水準も低下するなど、全体としては回復の動きが足踏み状態となってきている。

最終需要面の動きをみると、まず、輸出については、繊維機械、プレス機械等の一般機械は増勢を続けているが、合繊織物に加え携帯電話向け等の電子部品が大幅に減少していることから、全体としても減少している。

設備投資は、製造業を中心に増加を続けている。足許における需給環境の悪化から計画の先送りを検討する先も一部にみられるが、製品の小型化、多機能化等への対応や環境面への配慮の高まりなどが新たな設備投資をもたらしていることに加え、ITの活用や競争力の強化を企図した投資も増勢を続けている。また、親企業におけるこうした対応を受け、中小企業・製造業にも新規設備を導入する動きが引き続き広がっている(13年3月企業短期経済観測調査<北陸3県/除く石油、電気・ガス>、12年度実績見込み全産業前年比+14.3%<うち製造業+20.0%、非製造業+2.8%>、13年度計画全産業前年比+2.8%<うち製造業+9.9%、非製造業△23.2%>)。

個人消費は、雇用者所得の緩やかな持ち直し傾向や高金利の郵貯の満期到来に伴う利子所得の増加を背景に、改善の動きが持続している。すなわち、百貨店等大型小売店売上げ(既存店ベース)は前年割れが続いているが、家電や乗用車等の耐久消費財販売が堅調に推移しているほか、観光入り込み客数も持ち直しつつある。

一方、公共投資は、12年度最終補正後予算が前年を下回ったことなどから、減少傾向を続けている。また、住宅投資は、全体としては多少の振れを伴いつつも減少基調にある。

こうした最終需要動向を映じて、生産は、工作機械、繊維機械、工具などで増勢が持続しているほか、紙・パルプでも足許フル生産を継続しているが、電子部品が輸出の減少に伴い生産水準を一段と引き下げており、窯業・土石、建設機械等の公共投資関連や繊維でも減少が続いている。このため、全体としても、生産水準は低下しつつある。

雇用者所得は、所定外給与が減少しつつあるものの、所定内給与が引き続き改善していることから、緩やかな持ち直し傾向にある。一方、有効求人倍率(含むパート)については、求人数の伸び悩みから低下している。

金融面をみると、預金のうち個人預金では、金融機関側での国債・投信等他の金融商品を中心とした資金取り込みスタンスもあって、定期性預金が前年並みに止まっているものの、流動性預金が低金利に伴う資金の滞留等から増加しているため、全体では前年を上回って推移している。法人預金は、定期性預金が企業の財務リストラの動きから前年を下回っているほか、流動性預金も貸出資金滞留の減少等から増勢が鈍化しているため、全体でも低調に推移している。

貸出については、個人向けは、住宅ローンが金融機関側の積極的な需要掘り起こしなどから、前年を上回っている。一方、法人向けは、運転資金について安定化特別保証付き融資の駆け込み需要が一部にみられたものの、設備資金が大型案件の一服から前年を下回っているため、全体としては依然低調裡に推移している。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、既往最低圏の中で推移している。

以上

神奈川県内金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行横浜支店

県内景気は、輸出の減速や情報通信関連業界における在庫調整の動きなどを背景にこのところ足踏み状態にあるとみられる。

最終需要動向をやや詳しくみると、個人消費は、全般的に回復感の乏しい状態にある中で、一部指標には明るさが窺われている。すなわち、百貨店売上高は、総じて低調の域を脱していないものの、家電量販店売上高は、パソコン販売等情報関連機器に加え、家電リサイクル法の施行を控えて対象商品に駆け込み購入の動きがみられたため、前年を上回る状況が続いている。また、乗用車新車登録台数は、大衆車を中心としたフルモデルチェンジ車種等の販売好調に加え、商用車販売も上向きつつあることから、回復傾向にある。住宅投資は、分譲マンションの着工が前年を大幅に上回ったことを主因に高水準を維持している。

一方、県内企業の設備投資計画を3月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」(以下3月短観と略称)でみると、2000年度実績見込み(全産業)は前年比+19.5%と、4年振りに前年を上回る見通しとなっているものの、製造業において先行きの需要動向を見極めるため投資を後ずらしさせる動きもあって、足許若干の減額修正となっている。また、2001年度計画については、先行きの不透明感を背景に慎重に需要動向を見極めようとする中、輸送用機械における生産移管一巡や大店立地法施行前の駆け込み出店の反動もあって、全産業では前年を幾分下回る設備投資計画を策定している。

公共投資は、市町村の工事請負額が大幅に減少したことを主因に減少が続いている。

輸出は、最近の米国・東アジア経済の減速や情報通信関連メーカーの在庫調整の動き等を受けて、アジア向けを中心に減速感が窺われる。

こうした需要動向の下、県内企業の生産は、足許、総じて高操業を維持しているものの、輸出の減速から先行きに対して慎重な見方をする先が多くなっている。すなわち、輸送用機械の一部に、県外工場からの生産移管に伴う稼働率引き上げの動きがみられているほか、汎用電子部品、移動体通信、半導体関連でも、既存の受注残を背景に繁忙感の強い状態を継続している。もっとも、工作機械、移動体通信、鉄鋼等の業種において、米国経済の減速やアジア地域の需要一服感を背景に、足許の受注減少を指摘する先が多くなっている。

この間、新規求人倍率、有効求人倍率とも上昇を続けているなど労働需給は改善傾向を持続している。

こうした状況下、県内企業の収益を3月短観でみると、2000年度経常利益(全産業)は、人件費の圧縮など経営効率化効果もあって増益を見込んでいる。しかしながら、景況感(3月短観の業況判断D.I.)は、株価等の市場動向の不安定さ、海外需要を始めとする先行きに対する不透明感等を受けて、製造業で前回(2000年12月)調査に比べて悪化したことから、全産業でも1998年9月調査以来10期振りに悪化した。

貸出動向をみると、個人向けが住宅ローンを主体に前年を上回っているものの、法人向けが資金需要の低迷を反映して減少を続けていることから、県内金融機関(都・長銀、信託、地銀、地銀II、信金)の貸出金残高伸び率は、前年割れで推移している。一方、預金動向をみると、法人預金は引き続き低調に推移している中、個人預金は流動性を中心に順調な吸収が続いていることから、実質預金残高伸び率は、堅調に推移している。

この間、企業倒産件数は、売上低迷を背景に増加傾向を辿っているほか、負債総額は、大口倒産の増加を反映して高水準で推移している。

以上

東海地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、静岡、岐阜、三重)の最近の経済動向をみると、個人消費は低水準ながらも底固さが窺われるほか、設備投資は持ち直している。一方、公共投資が高水準ながら減少しており、これまで増加を続けてきた輸出も頭打ちとなっている。この間、住宅投資は横這いで推移している。

こうした最終需要の動向を背景に、生産は全体として足踏み状態に転じており、雇用情勢の改善にも陰りがみられる。これまでのところ大企業を中心に収益の増加基調が続いているが、先行きの不透明感から、企業のマインドは、ここへきて慎重化している。この間、物価は横這い圏内の動きとなっている。

このように、東海地区の景気回復には、足踏み感が生じてきている。

金融面をみると、資金需要は依然として盛り上がりには欠けるものの、需資の掘起こし努力もあり、減退傾向には歯止めが掛かっている。

個人消費・・・非耐久消費財支出では、消費者の低価格指向が根強い中、スーパー売上高は低調の域を脱していない。もっとも、既往の雇用・所得環境の好転もあって、百貨店販売は底固い動きが続いている。耐久消費財支出では、家電量販店の売上げは、家電リサイクル法の対象となる品目を中心に、引き続き増加している。一方、乗用車販売は、東海豪雨に伴う先喰い的な買い替え需要の反動もあって、伸びが鈍化している。この間、サービス支出は、旅行関連が堅調に推移している。

設備投資・・・大手メーカーでは、中期的な需要の不透明感などから国内での能力増強投資を抑制する先がみられるものの、情報通信関連需要に対応した案件は2001年度にかけて引き続き高水準で推移する見通しにある。この間、中堅・中小企業を中心に生産性向上のための更新投資に取り組む動きが自動車部品をはじめ幅広い業種でみられ、製造業の設備投資は全体として持ち直している。ただし、非製造業については、通信で新サービスに対応した上積みがみられるものの、小売での大型店出店の一巡や、電力の設備投資抑制などを主因に、減少に転じつつある。

住宅投資・・・新設住宅着工をみると、住宅ローン減税等の政策効果が一服する中、持家および分譲マンション着工の前年割れを主因に、減少している。もっとも、工事量は、昨年秋口から年末にかけての持家、分譲着工の増加を反映して、概ね横這いで推移している。

公共投資・・・公共工事の新規発注をみると、中部国際空港や東海豪雨関連の発注が下支えとなってはいるが、地方公共団体の歳出抑制姿勢を反映して、総じてみれば低調に推移している。このため、管内建設業者の官庁関連の工事量は、なお高水準ながらも減少している。

輸出・・・主力の米国向けについては、昨年末以降、最終需要の減速から自動車・同部品が減少に転じているほか、情報関連財も伸び悩んでいる。また、アジア向けも、鉄鋼が現地における在庫調整の長期化に伴い減少を続けていることに加えて、自動車・同部品の増加テンポが鈍っている。この間、欧州向けでも、自動車、事務機器、電動工具など、現地生産の拡大やアジアの生産拠点からの出荷増加を受けて、減少する品目が目立っている。

生産・・・加工業種では、工作機械やICパッケージが需要堅調から高操業を続けている。また、二輪車でも米国向けの堅調持続や東南アジア向けの持ち直しから高操業を続けている。しかし、自動車生産が外需の減速や海外現地生産の進展を反映して小幅ながら減少に転じているほか、ビデオカメラや電子部品組立機、電動工具でも輸出の減少から操業度を引き下げている。

素材業種では、特殊鋼が主力の自動車向けの減少に伴って生産水準を引き下げており、化学製品や普通鋼・鋼板類の生産もアジアでの需給緩和等を映じて弱含んでいる。また、紙・パルプでも在庫過剰感の高まりから操業度を引き下げている。このほか、住宅向け窯業製品の生産が低調に推移している。

雇用・・・生産面の足踏みを映じて有効求人倍率の改善や所定外労働時間の伸びが頭打ちとなりつつあるほか、常用労働者数の前年比マイナス幅縮小も一服している。

物価・・・消費者物価は、横這い圏内で推移している。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行京都支店

管内景気は、輸出の減速等を背景に、このところ足踏み状態となっている。

すなわち、最終需要をみると、輸出は電気機械等を中心に減速している。また、公共工事が基調として減少傾向を辿っているほか、住宅投資も弱含みで推移している。一方、個人消費は、全体としては回復感に乏しい地合いが続いているが、一部に明るい動きもみられている。設備投資は、新製品開発意欲の高まり等を反映して増加している。

この間、雇用・所得環境の改善は、製造業における生産が足踏みしていることを映じて、頭打ちとなっている。

最終需要の動きをやや詳しくみると、まず、輸出については、移動体通信機器やパソコン等の海外需要の減退を受けている電気機械等を中心に減速している。

設備投資については、IT(情報技術)関連を中心に、生産能力増強・生産効率化投資が実施に移されているほか、最先端技術の開発による競争力強化の観点等から新たな研究開発投資を行う先がみられており、全体として増加している。

個人消費については、チェーンストアの売上げが一進一退の動きを続けているほか、百貨店売上げも実勢としては横這い圏内の動きが続いている。しかしながら、自動車販売が新規投入されたセダンやRV車を中心に増加傾向を辿っていることに加え、家電販売では、家電リサイクル法の施行に伴う駆込需要の反動から白物家電の売行きが落込んでいるものの、情報家電等を中心に底固い動きとなっている。

この間、京都観光についてみると、観光客の低価格指向は引続き根強いものの、観光客によるホテル利用が増加するなど、入込客数は増加基調を続けている。

住宅投資については、分譲マンションの着工は引続き堅調ながら、主力の持家・貸家が住宅ローン減税を睨んだ着工ピークアウト等により減少しているため、全体では弱含み基調で推移している。

公共投資については、一部大型工事の執行もあって持直しているものの、基調としては減少傾向を辿っている。

生産面をみると、新規受注の減少を背景に足踏み状態となっている。業種別にみると、電子部品は、米国経済の減速や最終財メーカーの在庫調整等を背景に減少している。半導体・液晶製造装置等では、なお高水準の生産を続けているものの、新規受注は減少している。IT関連以外では、一般機械を中心に足許、新規受注に減速感が出始めており、生産の増加テンポは減速している。この間、地場産業の和装関連では、消費者の嗜好に合致した商品等は底固い荷動きを示しているが、総じて需要が不振な中、大幅な減産が続いている。

企業収益をみると、12年度の経常利益(当店短観ベース)はハイテク関連の業績好調等を映じ、2年連続の大幅増益となる見込み。13年度については、製造業ではIT関連需要の減少等による影響もあって、概ね前年度並みの計画となっている。一方、非製造業では、リストラ効果の顕現化等に対する期待から大幅な増益を計画している。

雇用・所得面をみると、製造業における生産が足踏みしていることを映じて、所定外労働時間の伸びが低下しているほか、有効求人倍率の改善も頭打ちとなっている。

企業倒産は、大型倒産が発生したこともあって、件数、金額とも前年を上回っている。

金融面をみると、民間金融機関貸出については、年度末にかけて中小企業金融安定化特別保証制度の利用が増加したものの、企業の有利子負債圧縮の動きが続いているほか、増加運転資金等のニーズも乏しく、低迷が続いている。

預金については、法人預金は、高利の大口市場性預金の取入れ抑制のほか、手許流動性の取崩し等から伸び悩んでいる。一方、個人預金は流動性預金を中心に底固い動きで推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、輸出・生産の減少傾向が明確となっており、全体として調整色を強めつつある。

最終需要面の動きをみると、輸出は、米国向け・東南アジア向けの情報関連財やその他の生産財、資本財を中心に減少傾向が明確化している。

設備投資は、成長分野に対する企業の積極的な投資は続いているが、需要・収益環境に対する不透明感から投資案件の絞り込みの動きが広がっており、全体として増加テンポは鈍化し、頭打ちに向かいつつある。

個人消費は、デジタルAV家電の増加が続いているほか、乗用車販売も緩やかに増加しているものの、スーパーの売上は低調であることに加え、百貨店販売も依然回復感には乏しい状況にあり、総じてみれば一進一退の状況にある。

住宅投資は、分譲を中心に若干減少している。

公共投資は、下げ止まりつつある。

生産は、輸出の減少を主因に減少している。

企業収益(経常利益)をみると、このところの輸出・生産等の減少に伴い、製造業を中心とした改善テンポが幾分鈍化してきている。3月短観結果(近畿地区)を全産業ベースでみると、12年度は前年比+25.5%の増益となる見込みであるが、前回調査からは-0.6%下方修正されている。また、13年度は同+5.5%の増益となる計画となっている。

雇用・所得環境をみると、失業率が高水準にあるほか、常用労働者数も引き続き前年を下回って推移していることに加え、有効求人倍率や所定外労働時間にも生産減少の影響が現れており、全体として厳しい状況にある。

物価は、弱含みとなっている。

企業倒産件数は、増加している。

企業金融についてみると、全体として引き続き緩和基調にある。

金融面をみると、貸出については、企業部門において、手許流動性が潤沢な中で外部資金調達ニーズが引き続き低迷しているほか、借入金を圧縮する動きも続いていることなどから、低調な地合が続いている。金融機関では、信用リスク面に配慮しつつ、収益力の増強に向けて、中小企業向けや個人向け貸出を増加させるための積極的な取組みを続けている。

預金については、総じてみれば、個人預金を中心に底堅く推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行神戸支店

管内経済は、米国景気の減速を反映した輸出減少を主因に、足踏み状態となっている。需要面では、設備投資が増加を続けているものの、個人消費は一進一退の域を脱していない。生産面では、全体として高水準ながら頭打ちとなっており、輸出向けのウエイトが大きい一部業種では生産水準を引下げている。この間、企業収益は改善傾向を辿っているものの、雇用面では依然として厳しい状況が続いている。このため、企業の景況感は足許悪化している。

個人消費をみると、百貨店売上高は、春物の出足が芳しくないなど総じて力強さを欠いている。また、スーパーの売上げも依然として前年割れが続いている。

一方、乗用車販売は、新型車投入効果から順調な売れ行きが続いているほか、家電販売も、家電リサイクル法施行前の駆け込み需要がみられたことから前年を上回っている。

企業の設備投資は、製造業を中心に幅広い業種で維持・更新および合理化投資を積み増す動きがみられ、引き続き持ち直し傾向にある。

住宅投資は、分譲マンションの減少を主因に前年を下回って推移している。

公共投資は、空港関連護岸工事の発注一巡以降、財政面の制約もあって全体としては減少している。

生産動向をみると、情報通信関連の半導体、水晶振動子では、一部で需給緩和や在庫増加の影響により生産水準を引下げる動きがみられる。一方、鉄鋼では、現地在庫の積み上がり等を映じて輸出が減少しているが、自動車や造船、産業機械等の伸びに支えられて高操業を維持している。また、設備投資関連では、物流機械、コンデンサー、化学機械や住宅関連等の幅広い業種で引き続き高操業を維持しているほか、食品関連でも、食肉加工・惣菜で高めの生産を続けている。この間、造船では受注が増加しており、為替円安で採算も幾分好転している。

なお、地場産業では一部の業種で高付加価値品の受注に成功するといった動きもみられるが、輸入品との競合や消費の低迷から、総じて厳しい状況が続いている。

雇用面では、企業の雇用過剰感は依然として根強いが、所定外労働時間などでは改善の動きが続いている。

消費者物価は、冬場に天候不順による不作の影響から食料(生鮮野菜・果実)の値上がりがみられたものの、全体としては軟調に推移している。

金融面をみると、貸出は、企業の前向きな資金需要が乏しいことに加え、財務リストラによる借入金返済や個人向け住宅ローンも繰り上げ返済等の動きが一部でみられていることなどから、全体では前年を下回って推移している。

貸出約定平均金利(総合ストックベース)は、公定歩合や長期プライムレートの引下げを反映して、小幅低下している。

預金は、法人預金が低迷している一方、個人預金が引き続き堅調なことから、全体では小幅ながら前年を上回っている。

企業倒産は、金融緩和措置の実施等から中小建設業中心の小口倒産の発生にとどまっている。

以上

中国地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行広島支店

概況

中国地区の景気は、輸出の減少等を背景に生産の増勢が鈍化しており、企業マインドも悪化しているなど、足踏み状態となっている。先行きについても、海外経済の減速等を背景に不透明感が強まっている。

(前回<3か月前>との比較)

  • 概ね変化がみられない項目
    1. (1)個人消費は、一部に引き続き明るい動きがみられるものの、全体として回復感に乏しい状況が続いている。
    2. (2)公共投資は、減少している。
    3. (3)生産は、増勢が鈍化している。
    4. (4)雇用・所得環境は、厳しい状況に変化はないが、一部に改善の動きがみられている。
  • 悪化がみられる項目
    1. (1) 企業マインドは、悪化している。
    2. (2) 企業収益は、一部業種を除くと増益となっているが、増益幅は縮小傾向にある。
    3. (3) 設備投資は、足許増加しているが、先行きは投資態度の慎重化から減少に転じる見通し。
    4. (4) 住宅投資は、減少している。
    5. (5) 輸出は、減少傾向にある。

1. 実体経済

(1)最終需要の動向

個人消費は、一部に引き続き明るい動きがみられるものの、全体としては回復感に乏しい状況が続いている。

家電リサイクル法対象商品がかけ込み需要により前年を上回っているほか、携帯電話の販売は好調を持続している。一方、百貨店は衣料品や雑貨を中心に前年割れが続いているほか、スーパーは食料品を中心に前年割れが続いている。

設備投資は、足許増加しているが、先行きは投資態度の慎重化から減少に転じる見通し。  12年度の設備投資計画をみると、前年度比+4.1%と増加を見込んでいる。もっとも、投資態度の慎重化から、13年度は同−1.9%と減少する計画となっている。

住宅投資は、減少している。

新設住宅着工戸数をみると住宅税減税適用期間延長前のかけ込み需要の剥落や、金利先高観の後退を背景に持家が前年を下回っているほか、分譲も前年割れに転じている。

公共投資は、減少している。

公共工事請負額をみると、地公体の投資的経費圧縮等を主因に、前年水準を下回って推移している。

輸出は、減少傾向にある。

輸出(通関輸出金額を輸出物価指数で調整したもの)を地域別にみると、好調に推移していたアジア向けが減速していることに加え、欧州向けも低調に推移している。

(2)生産の動向

生産は、増勢が鈍化している。

業種別にみると、造船が高操業を続けている。もっとも、自動車、縫製は総じて低調に推移しているほか、電気機械、鉄鋼は生産水準を引き下げる動きが一部でみられている。

(3)雇用・所得環境の動向

雇用・所得環境は、厳しい状況に変化はないが、一部に改善の動きがみられている。

常用雇用者数の前年割れが続いているほか、新規求人数の伸び率が鈍化するなど厳しい状態が続いている。一方、一人当たりの名目賃金が改善するなど一部に改善の動きがみられている。

(4)企業の動向

企業マインドは、悪化している。

3月短観(中国地区)からみると、足許の業況判断は悪化したほか、先行きも悪化を見込んでいる(業況判断D.I.〈「良い」−「悪い」〉12年12月△22%→13年3月△28%→6月予測△31%)。

企業収益は、一部業種を除くと増益となっているが、増益幅は縮小傾向にある。

3月短観からみると、12年度計画は前回調査(12年12月)と比べ下方修正され、前年度比−16.2%の減益の見込みとなっている。13年度計画では同+28.4%の増益計画となっている。この間、振れの大きい一部業種を除くと増益計画となっているが、増益幅は減少傾向にある。

2. 金融動向

(1)貸出の動向

貸出は、引き続き低迷している。

内訳をみると、個人向けは、堅調に推移しているが、住宅ローンの借り換え需要が一巡したことなどから伸びはやや鈍化している。また、法人向けは、設備投資などに必要な資金需要が弱いことを背景に、低調に推移している。

(2)預金の動向

預金は、やや増加している。

内訳をみると、法人預金は、定期性預金の減少から引き続き低調に推移している。一方、個人預金は堅調に推移しているほか、公金預金が伸びを高めている。

以上

四国地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

四国地区の景気は、海外景気の減速を背景に、足踏み状態となっている。すなわち、輸出に需要鈍化の動きが広がっているほか、住宅・公共投資が減少傾向にある。この間、個人消費も依然として回復感に乏しい状況が続いている。この結果、生産に関しても一部に生産水準を引下げる動きがみられ、設備投資、雇用環境の改善テンポも鈍化している。

需要動向

最終需要についてみると、輸出は欧米向け、アジア向けとも需要鈍化の動きが広がっているほか、住宅投資も減少している。公共投資は補正予算による追加発注はみられるものの、全体としては減少傾向にある。一方、設備投資は、足許については情報通信関連企業を中心に、能力増強に向けた大型投資がみられているが、新規案件の積上げには慎重さが窺われ始めている。

この間、個人消費はパソコン等情報通信関連製品の売れ行きが堅調なほか、乗用車も新型車の投入効果等から、まずまずの販売地合いが続いている。もっとも、百貨店等の売り上げが主力の衣料品を中心に前年割れとなっているなど、全体としては回復感に乏しい状況が続いている。

生産

企業の生産活動をみると、自動車部品(表示用電球品、ベアリング)や電子部品(汎用型半導体、導光板、リードフレーム材)、素材(合繊原料)等の輸出関連企業の一部に輸出の鈍化等から減産体制に移行する先がみられる。また、鉄鋼や一般機械(建設用機械、産業・運搬機械等)では、需要低迷を背景に引続き生産調整を余儀なくされているほか、繊維(縫製品、タオル)でも、需要の長期低迷に加え輸入安値品の流入増もあって、多くの先が減産を強めている。さらに、住宅投資関連では、木材・木製品(収納関連製品)、窯業・土石(住宅エクステリア製品)等を中心に全体として抑制気味に推移している。

もっとも、電気機械(情報機器向けメモリー、液晶表示装置等)、化学(合成樹脂、無機化学等)、紙・パ(段ボール原紙等)、非鉄(電気銅)では、情報通信関連分野における堅調な需要を背景に高操業を継続している。また、鉄骨加工(橋梁関係)でも、公共投資関連の手持ち受注残の消化から、高目の生産水準を維持している。

雇用

雇用情勢をみると、小売や一部サービス業(介護、IT関連)等を中心に新規求人を増やす動きがみられるものの、一部製造業を中心に人員調整の動きが根強く、有効求人倍率は横這い圏内の動きとなっている。

金融

金融面をみると、預金は個人預金を中心に安定した伸びを持続している。一方、貸出は民間企業の資金需要の低迷を背景に引続き低調に推移している。

以上

九州地区金融経済概況

2001年 4月 9日
日本銀行福岡支店

九州経済は、輸出の一段の減速等を背景に全体として足踏み状態となっており、企業の業況感は総じて慎重になってきている。

すなわち、個人消費は、全体としてみれば回復感に乏しい状態が続いているが、一部で明るい動きもみられるほか、公共投資は昨年11月の経済対策に伴い発注が増加している。また、住宅投資は横這い圏内の動きにある。こうした中で、設備投資が頭打ちとなっているほか、輸出の減速等から生産も減少に転じつつあり、雇用面でも求人倍率の上昇が一服している。

最終需要をみると、公共投資は、このところ公共工事発注額が昨年11月の経済対策に伴い増加していることもあり、生コン、合板といった公共関連材の出荷の減少ペースが幾分緩やかになってきている。

個人消費は、全体としては依然回復感に乏しい状態が続いているが、こうした中で、乗用車販売が新車、モデルチェンジ効果から底固い動きにあるほか、個人向けパック旅行も増加基調を続けるなど一部で明るい動きがみられる。

住宅投資は、貸家着工が増加しているものの、持家着工が引き続き減少傾向にあるほか、マンション着工に頭打ち感がみられていることから、全体としては横這い圏内で推移している。

設備投資は、一部で工場増設や生産ライン増強の動きが続いているものの、輸送用機械や小売等における大規模投資の反動減等から、全体としてみれば、足元は頭打ちとなっている。

輸出は、電気機械を中心に、アジア・北米向け輸出が減少基調を辿るなど、一段と減速している。

生産は、自動車が新車投入効果から高操業を継続しているが、輸出の減速等を背景に電気機械、鉄鋼の生産水準がさらに低下するなど、全体としては減少に転じつつある。

雇用面をみると、雇用者所得の減少傾向に歯止めが掛かりつつあるものの、所定外労働時間が減少しているほか、求人数の伸び鈍化に伴い求人倍率の上昇が一服するなど、全体としては依然厳しい状況が続いている。

企業倒産をみると、倒産件数は4か月連続で前年を下回るなどやや沈静化の動きがみられるものの、負債金額は引き続き前年を上回る状況が続いている。

金融面をみると、銀行預金は、個人流動性預金を中心に堅調に推移している。一方、銀行貸出は、依然として資金需要の低迷基調が続いていることから前年水準を下回っている。

以上