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全国11支店金融経済概況 (1999年10月)

1999年10月18日
日本銀行

目次

北海道地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行札幌支店

北海道地区の景気は、民間需要はなお低迷の域を脱していないが、各種政策支援の効果等から、持直しの動きが続いており、企業の景況感も引続き改善している。最終需要面では、公共投資が高水準で推移しているほか、住宅投資も堅調な動きが続いている。一方、個人消費は、一部に改善の動きがみられるが、総じてみれば引続き低調なほか、設備投資も減少基調にある。こうした中で、企業の生産活動は幾分上向いてきているが、雇用については依然厳しい状況が続いている。

最終需要面の動きをみると、公共投資については、新規の発注ペースは鈍化しているが、工事進捗ベースでは既往の大幅発注増から高水準を続けている。

住宅投資は、住宅減税等の効果を背景に、持家が堅調なほか、分譲住宅もマンションを中心に増加に転じるなど、増勢を持続している。

個人消費は、パソコンや軽自動車等の一部商品の販売は好調であるが、大型小売店等の売上げは前年割れが続いているなど、全体としては低迷の域を脱するに至っていない。この間、観光面では、格安ツアーの提供等から、個人客を中心にまずまずの入込みとなっている。

設備投資は、一部に上方修正の動きがみられるが、全体としては引続き減少している。

企業の生産をみると、鋳鍛鋼製品、機械関連等では、民間設備投資の低迷を映じ低操業を続けているものの、電子部品では内・外需の好調を映じてフル操業を継続し、公共投資関連資材でも高操業を続けているほか、高炉(自動車向け特殊鋼)、自動車部品、紙・パ等が生産水準を引上げており、全体としてみれば、前年を上回って推移している。

雇用情勢については、有効求人倍率は建設業の求人増加等からやや持直しているが、なお低水準であるなど、依然厳しい状況が続いている。

企業金融については、金融機関の融資スタンスの緩和等から、総じて落ち着いており、企業倒産も減少傾向にある。

金融面をみると、預金は、個人預金を中心に堅調に推移している。一方、貸出は、住宅ローンが高い伸びを示しているものの、企業の資金需要低迷から、全体では引続き伸び悩んでいる。

以上

東北地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行仙台支店

東北地区の景気動向は、引き続き上向いており、企業マインドも改善しているが、公共投資の減少からそのテンポは幾分鈍化している。

すなわち、公共投資は用地買収や設計段階での遅れから工事進捗ベースでもこのところ減少している。また、雇用情勢は厳しい状況に変化はなく、個人消費も雇用・所得環境の厳しさを反映して総じて回復感に乏しい。もっとも設備投資は、半導体の能力増強投資中心に増加しており、企業の生産活動も、公共投資関連(窯業・土石)では生産水準が低下しているものの、一部耐久消費財(パソコン、一部乗用車)の好調持続や住宅着工の増加から、全体では前年の水準を上回るに至っている。

この間、企業倒産は、件数は前年を下回っているが、金額は大口倒産の発生から前年を大幅に上回っている。

最終需要のうち、個人消費は、百貨店売上高は、食料品が堅調なほか、身回品・雑貨も新ブランド投入効果が一部にみられているものの、主力衣料品が残暑による秋物衣料の不振から低調なため、全体としては引き続き前年割れとなっている。家電販売は、パソコン等情報関連やデジタル製品(ビデオ一体型カメラ、MDプレーヤー)が引き続き好調なほか、住宅新築需要から冷蔵庫も好伸している。乗用車販売は、軽自動車が引き続き好調に推移しているものの、ウエイトの高い普通・小型車は新車投入効果も限定的なものに止まっている。

公共投資は、公共工事請負金額が前年を下回って推移しているほか、工事進捗ベースでも、用地買収や設計段階での遅延から足元は低調に推移しているとみられる。

住宅投資は、持家や分譲の増加を背景に、全体でも持ち直し傾向を持続している。

この間、11年度の設備投資計画(企業短期経済観測調査<東北地区>)は、非製造業では引き続き抑制的なスタンスにあるものの、製造業では半導体で受注環境好転を受けた能力増強投資を行うほか、一部にグループ再編に伴う生産ラインの増設を実施する動きがみられることから、前年度を2割方上回る計画となっており、全産業ベースでは4年振りに前年度を上回る見込みとなっている。

主要製造業の生産動向をみると、電気機械では、パソコン、携帯電話の販売好調から、同完成品やロジックICでフル操業を継続しているほか、関連部品(液晶、コンデンサ、コイル等)も生産水準を引き上げている。また、その他電子部品でも、アジア向け輸出の持ち直しから一部の先で高めの生産を継続している。

輸送用機械では、他地域からの生産シフトや、アジア向け輸出の増加から部品関連を主体に堅調な生産を継続する先が多いが、一部車種の販売不振を背景に生産水準を引き下げる先もみられる。

消費関連業種では、時計、衣料品は大幅な減産に変化はないが、カメラは末端需要の持ち直しを背景に幾分生産水準を引き上げている。食品では、缶詰、練製品が生産水準を引き下げている一方、冷凍・レトルト、飲料は減産を幾分緩和ないし操業度を引き上げている。また紙・パでは、段ボール原紙が一時的に生産水準を引き下げたものの、印刷・新聞用紙は堅調な生産を維持している。

設備関連業種(鋳物、切削工具、工作機械、工場ラインシステム、半導体製造装置)では、自動車・家電メーカーを中心とした設備投資抑制の影響から、大方の先では減産を継続しているが、半導体設備関連では受注好調を背景に生産水準を引き上げている。

建設関連業種(窯業・土石、鉄鋼、金属製品、合板、一般製材)では、住宅向けは好調ながら、公共向けが11年度当初予算分の資材面への波及がみられておらず、生産水準が低下している。

11年度の売上・収益動向をみると、製造業、非製造業とも、足元の住宅着工増加に加え、パソコン等一部耐久消費財需要の好調持続、個人消費全体の回復期待から微増収ながら、リストラ効果を見込んで大幅増益の見通しにある。

雇用情勢については、生産好調な電気機械や同関連業種等の一部で新規求人増の動きが引き続きみられているものの、事業主都合による離職者数が高水準で推移していることなどから、依然低調の域にある。また、所定外労働時間は減少を続けているほか、雇用調整助成金の実施計画届出受理件数も引き続き高水準にある。

企業倒産をみると、件数は製造業や建設業の減少から前年を下回っているものの、金額は大口倒産の発生から前年を大幅に上回っている。

金融面では、預金は公金が前年を下回っている一方、個人、法人は横這い圏内の動きとなっている。貸出は建設・不動産業の一部に動意が窺われているものの、総じてみれば低調に推移している。

以上

北陸地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行金沢支店

北陸地区の景気は、公共投資の底固い動きに加え輸出が増加傾向にある中で、下げ止まりの状況が続いている。また、企業マインドは、生産の持ち直しなどを背景に、着実に改善している。もっとも、雇用・所得環境の改善がみられないほか、企業の設備投資抑制姿勢の継続や最近の円高進行の懸念材料もあることから、自律的回復に向けた展望が依然としてみられていない。

最終需要面の動きをみると、設備投資は、情報関連業種等一部で計画の上方修正がみられるものの、根強い設備過剰感等を背景に、全体では依然として慎重な投資姿勢が続いている(企業短期経済観測調査<11年9月>、11年度計画:前年度比△20.1%)。

個人消費は、軽乗用車や家電製品等一部耐久消費財の販売が堅調に推移しているものの、百貨店や量販店の売上げが前年を若干下回っているほか、観光面でも温泉旅館等の宿泊客減少が続くなど、全体としては回復感に乏しい状態が続いている。

住宅投資は、新設住宅着工戸数が持家を中心に増加基調を維持しているものの、このところ増勢に一服感がみられている。

しかしながら、公共投資は、これまでの工事発注増から高水準を維持しており、当面底固く推移する見込みである。

この間輸出は、工作機械が米国向けを中心に減少傾向にあるものの、携帯電話用部材等が欧州向け、東アジアを中心に堅調に推移しており、合繊織物が東アジアを中心に前年を上回っているなど、全体として増加傾向に転じている。

こうした最終需要動向を映じて、生産は、電子部品(携帯電話用、パソコン関連部材)の増勢持続に加え、窯業・土石、アルミ建材等の公共・住宅投資関連が堅調に推移しており、また、合繊織物でも在庫調整の進捗から持ち直し傾向にあるなど、全体としては増加傾向にある。

この間、雇用面をみると、有効求人倍率(含むパート)は、新規求人数が増加しているものの、根強い求職者を背景に、依然低水準で推移している。また、雇用者所得も、所定外労働時間が前年割れで推移する中、所定外給与を中心に低迷が続いている。

金融面をみると、預金は、個人預金では、定期性預金の伸びが鈍化しているものの、流動性預金が伸びを高めていることから、全般に底堅く推移している。また、法人預金は、貸出金の滞留による手許資金の積上りが続き、堅調に推移している。

貸出は、個人向けが、住宅ローン持ち直しの一方、消費者ローンの低迷持続により、引き続き低調裡に推移している。また、法人向けも、設備資金需要の低迷持続に加え、保証協会保証付貸出も伸び率が鈍化しており、全体では低調な推移となっている。

この間、貸出約定平均金利(ストック)は、既往最低圏の中で推移している。

以上

神奈川県内金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行横浜支店

神奈川県経済は、生産水準引き上げの動きが広がりつつあるほか、企業の景況感も改善してきているが、民間需要の自律的回復力はなお乏しい状態にある。すなわち、個人消費は一部に動意があるとはいえ、全般的には停滞基調を脱していないほか、設備投資や輸出も依然として減少を続けている。しかし、住宅投資が回復傾向を持続させているほか、公共投資も春先の受注増から工事進捗をみている。また、県内企業の生産は、依然多くの業種で減産が続いているものの、在庫調整進捗や受注回復等に伴い電気機械、自動車・同部品、素材業種等の中に生産水準を引き上げる先が広がりつつある。この間、労働需給面は依然緩和した状態が続いている。

最終需要の動向をやや詳しくみると、まず個人消費については、百貨店売上高はセールの実施等に伴う身の回り品等の売上増加から前年を上回る状況にある。一方、乗用車販売は軽乗用車の売上こそ引き続き好調であるが、軽乗用車を除くベースでは依然として前年割れが続いている。また、家電販売もパソコン等一部に動意はみられるが、大方の商品の販売は低調の域を脱していない。この間、レジャー関連でも、国内・海外旅行ともに低調に推移している。

設備投資を9月に実施した「企業短期経済観測調査(神奈川県分)」でみると、県内企業の99年度の設備投資計画は、製造業では前回(6月)調査に比べさらに下方修正され、3年連続の減少(前年比△19.8%)となっている。また、非製造業では前回調査に比べ上方修正にはなったものの、2年連続の減少(同△22.4%)と見込まれている。

住宅投資は、住宅減税拡充策の効果等から分譲マンションを中心に回復傾向を持続している。また、公共投資についても、政府の経済対策の効果等から工事進捗をみている。

輸出面では、鉄鋼、半導体等電子部品、自動車・同部品等で引き続き減少したことから、横浜港通関輸出額は減少を続けている。輸入についても、非鉄金属等の素材商品の減少等から、前年を大きく下回る状況が続いている。

県内企業の生産動向をみると、減産緩和の動きが広がりつつあり、一部業種で増産の動きもみられ始めている。すなわち、工作機械では、内外需減少を主因に生産水準を低下させている先が多い。しかし、汎用電子部品および半導体関連では、パソコン・携帯電話販売の好調を主因に、増産を続けている。また、自動車・同部品では、一部メーカーで新型車発売に伴い増産に転じる先がみられ始めているほか、鉄鋼等の素材業種でも、韓国、タイ等アジア地域経済の持ち直しを映じて生産が回復し始めている。

雇用面をみると、リストラの進展もあって製造業、非製造業ともに雇用の過剰感は幾分弱まってはきているが、県内常用雇用者数は前年割れを続けるなど、労働需給は引き続き緩和した状態にある。

金融面をみると、貸出面では、全般的な資金需要自体が低迷していることもあって、小幅ながら前年割れを続けている。預金面では、法人預金が低調に推移していることに加え、個人預金が伸び悩んでいることから、預金全体の伸び率は鈍化傾向にある。この間、企業倒産件数は、信用保証制度拡充の効果もあって、昨年12月より前年を下回る状況が続いていたが、7月以降は再び増加に転じている。

以上

東海地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行名古屋支店

東海地区4県(愛知、岐阜、三重、静岡)の最近の経済動向をみると、個人消費は、総じてみれば低迷の域を脱していないが、一部に新製品投入効果もみられている。設備投資は減少している。一方、輸出は、増加している。また、公共投資が、経済対策の効果から増加基調にあるうえ、住宅投資についても、政策効果を受けて持ち直している。

こうした需要動向等を背景に、生産は、全体として持ち直している。一方、雇用面では、労働需給は、なお緩和を続けている。この間、物価は引き続き軟調に推移している。以上を総合すると、東海地区の景気は、下げ止まっていると判断される。

金融面をみると、企業収益の低迷に加え、信用保証協会保証付融資で当面必要な資金を調達している先が少なくないこともあって、資金需要は引き続き低迷基調にある。こうした状況下、金融機関の貸出は、前年比マイナスで推移している。

個人消費・・・耐久消費財支出をみると、乗用車販売については、既存モデル車の不振から、全体としては低迷しているが、新型車は堅調を持続している。家電量販店の売上げは、エアコンの不振やパソコン関連製品の増勢鈍化等から前年比プラス幅が縮小している。非耐久消費財支出をみると、衣料品や日用品を中心に消費者の買い控え傾向が続いているため、依然として低迷している。この間、サービス支出も総じてなお低調ながら、旅行取扱高の落ち込みには歯止めが掛かりつつあるように見受けられる。

設備投資・・・製造業では、中小企業が、収益の低迷や先行きの需要に対する不透明感等を背景に、抑制的な投資姿勢となっているほか、自動車関連等の大企業でも、生産設備の過剰感が強い中、投資額の減少が続いている。この間、非製造業では、電力が投資抑制スタンスにある。

住宅投資・・・新規住宅着工については、住宅減税の効果等から引き続き増加傾向にある。住宅販売についても、政策効果を背景に堅調を持続している。

公共投資・・・地方自治体における今年度予算が9月補正後でもなお前年を大きく下回る中で、発注ペースは鈍化しているが、これまでの高水準の発注を反映して、官庁関連の工事量は高いレベルを維持している。

輸出・・・主力の米国向けは、自動車・同部品が増加しており、強含みとなっている。また、アジア向けは、韓国、アセアン諸国向けを中心に回復してきている。一方、欧州向けについては、頭打ちとなっている。その他地域向けは、中南米向けの不振は続いているが、中近東向けでは減少一服となっている。

生産・・・加工業種では、自動車が、既存モデル車の国内販売不振にも拘わらず、新型車投入効果や輸出の増加から操業度を引き上げているほか、ビデオカメラが、内外の需要堅調を反映し、高操業を続けている。また、二輪車でも、欧米向け輸出の堅調持続から高操業にある。一方、工作機械は、国内外からの受注低調を背景に、低操業を継続しているほか、ICパッケージが、輸出向けの伸び悩みから生産水準をやや引き下げている。

素材業種では、窯業製品の一部で、住宅着工の持ち直しから減産を緩和しているほか、普通鋼・鋼板類や特殊鋼でも、主力の自動車向けの持ち直しやアジア向け輸出の回復等に伴って、操業度を引き上げている。また、紙・パルプでも在庫調整の進捗等から操業度を引き上げている。一方、条鋼類は、民間建設の低迷を背景に、減産緩和を一服させているほか、繊維製品や洋食器でも、個人消費等の低迷や在庫調整のため、生産を抑制している。

雇用・・・所定外労働時間は、生産の持ち直しを反映して、前年比マイナス幅が縮小傾向にあるが、有効求人倍率が極めて低水準で推移しているほか、常用雇用者数も引き続き前年を大きく下回っている。

物価・・・消費者物価は、引き続き前年水準を下回っている。

以上

京都管内(京都府、滋賀県)金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行京都支店

最近の管内景気は下げ止まっており、企業の業況感は持直し傾向を示している。もっとも、企業の設備投資・雇用スタンスは総じて引続き慎重なものに止まっている。

すなわち、最終需要面をみると、個人消費は、一部商品等に引続き販売地合いの改善がみられるものの、総じて低調に推移しているほか、設備投資も引続き減少傾向にある。一方、輸出は、東アジア向けを中心に持直しがみられている。また、公共投資については、経済対策の効果持続から引続き増勢を示しているほか、住宅投資も持直し傾向を辿っている。このような最終需要の動向や、在庫調整の進捗を反映して、ここへきて生産は若干持直している。

もっとも、企業収益は、製品価格の軟調もあって引続き低迷しているほか、雇用・所得環境も厳しい状況が続いている。

最終需要の動きをやや詳しくみると、 個人消費については、百貨店売上げが、天候要因による振れを伴いつつも引続き低迷基調にあるほか、自動車販売(新車登録台数<除く軽自動車>)も、最近の新車投入効果の顕現化は一部車種に止まっており、全体では引続き低迷している。また、家電販売は、パソコン、一部のAV機器等では堅調な売れ行きをみている一方、エアコン、白物家電等は低調な販売地合いに止まっている。この間、京都観光についてみると、観光客の低価格指向が根強いほか、主要観光地の入り込み客数も前年を下回っている。

設備投資については、情報通信関連新製品の増産や、新規出店に向けて増額する動きが散見されているものの、依然設備過剰感が強く、足元企業収益が低迷していることに加え、景気の先行き不透明感が根強く底流していることもあって、大方の先では引続き慎重な投資姿勢をとっている。

一方、輸出については、米国向けが、パソコン・移動体通信機器用の電子部品を中心に増加基調を維持していることに加え、アジア向けについても、現地需要の回復を背景に持直しの動きがみられていることから、全体としても増加している。この間、夏場以降に進展した為替円高の影響については、輸出ウェイトの高い先を中心に収益面へのマイナスの影響を懸念する先が多い。

また、公共投資については、公共工事請負金額(受注ベース)の伸びは頭打ちとなっているが、工事ベースでは引続き増加基調にあるとみられるほか、一部関連業種では波及効果が窺われている。

住宅投資については、新設住宅着工戸数が、低金利や住宅減税等を背景に、持家や分譲マンションを中心に持直し傾向を辿っている。

生産面をみると、在庫調整の進捗に加え、輸出を中心とした出荷の持直しを受けて、ここへきて若干持直している。業種別にみると、電子部品は、欧米向け輸出の増加を背景に一段の増産をみているほか、半導体製造装置等でも、東アジアのアセンブリ拠点向け輸出の回復から減産を緩和している。一方、一般機械等は、民間設備投資の低迷等から減産を続けている。この間、地場産業の和装関連では、引続き大幅減産を余儀なくされているが、産地の在庫調整の進捗や、一部新商品の販売地合いに持直しが窺われることから、悪化傾向には歯止めがかかりつつある。

企業収益をみると、最終需要の低迷や製品価格の軟調持続等を背景に、総じて低迷している。なお、先行きについては、売上げの回復期待やリストラによるコスト削減効果の顕現化等を背景に増益を予想する先が少なくない。

こうした状況の下で、雇用・所得面をみると、有効求人倍率は依然低水準で推移しているほか、所定外労働時間も前年割れの状況が続いている。さらに、企業の雇用過剰感も引続き高水準にあるなど、雇用情勢は依然厳しい状況が続いている。企業倒産は、夏場以降、大型倒産の発生もあって、件数、金額とも前年を上回っている。

金融面をみると、民間金融機関貸出については、住宅関連需資が引続き底固い動きを示しているものの、保証協会による中小企業金融安定化特別保証制度の利用による貸出が伸び悩んでいるほか、一般企業需資も依然として不振が続いていることから、全体としては低迷している。

預金については、法人預金は、一部企業の余資が一時的に滞留したこともあって、このところ伸び率がやや上昇している。また、個人預金は流動性預金を中心に底固く推移している。

以上

大阪管内(大阪府、奈良県、和歌山県)金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行大阪支店

管内の景気は、全体としては依然厳しい情勢にあるが、生産が足許緩やかに増加しているほか、企業の景況感も改善が続いているなど、明るい動きがみられる。

すなわち、最終需要面では、公共投資の増勢が鈍化しているほか、住宅投資は横這い圏内で推移している。また、設備投資は減少が続いている。一方、輸出は増加しており、個人消費は、財・サービス毎に区々の動きとなっているが、全体として下げ止まっている。こうした最終需要動向の下、生産は足許緩やかに増加しており、また、企業金融の逼迫感も総じてみれば和らいでいる。ただ、企業収益は引き続き厳しく、その下で雇用・所得環境も総じて悪化を続けている。

最終需要面の動きをみると、輸出は、欧州向けが横這い圏内の動きとなっている一方、米国向けが情報通信関連財を中心に強含んでいるほか、東南アジア向けも増加してきていることから、全体として増加している。

設備投資は、一部に情報通信分野向けの投資を積み増す動きがみられるものの、総じてみれば、収益環境の厳しさや設備過剰感から、消極的な投資姿勢が続いており、依然として減少している。

個人消費は、衣料品が減少しているものの、一部の商品(パソコン、AV機器)の売れ行きは引き続き良好であるほか、通信関連の支出も増加傾向にあり、また、乗用車の販売も足許では減勢に歯止めがかかっていること等から、全体として下げ止まっている。

住宅投資は、横這い圏内で推移している。

公共投資は、増勢が鈍化している。

生産をみると、設備投資関連の品目(工作機械、自動包装機等)は引き続き減少しているほか、住宅投資関連品目(合板、板硝子等)の増勢が鈍化しているものの、輸出関連品目(薄板、半導体等)、公共投資関連品目(条鋼類、電線・特殊線等)に加え、個人消費関連の一部(パソコン、AV機器等)が増加しており、全体としては足許緩やかに増加している。

雇用・所得環境をみると、生産の緩やかな増加等を受けて企業の人員余剰感は幾分後退しているものの、有効求人倍率は極めて低い水準にあるなど、総じてみれば悪化を続けている。

物価は、石油製品等一部市況品目は上昇しているものの、全体としては横這いとなっている。

企業金融については、各種対策の効果などから、総じてみれば逼迫感が和らいでいる。また、企業倒産件数をみると、水準は前年を下回っているものの、業況不芳先における行き詰まりからこのところ増加傾向にある。

金融面をみると、貸出については、設備資金等前向きの資金需要が低迷していることに加え、一部の企業では手許資金で貸出を返済する動きがみられることなどから、低調な地合が続いている。金融機関の貸出態度は、総じてみれば依然慎重であるが、金融機関の資金繰り面や自己資本面からの制約が緩和されるなか、中小企業向け貸出を積極化する動きもみられる。

預金については、個人預金、法人預金とも総じて堅調に推移している。

以上

兵庫県内金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行神戸支店

県内経済は、設備投資の低迷傾向、個人消費の不冴えといった状況にさしたる変化はみられず、依然として大底圏内での動きに止まっている。こうした中で、製造業ではアジア向け輸出の増加や在庫調整の進捗などから生産面で底打ち感が現れているほか、収益面でもリストラ効果の顕現化等から低水準ながら徐々に改善の方向が窺われ始めている。

この間、最近の為替円高は、輸入原材料価格の低下等を通じて一部業種に好影響をもたらしているが、全体としては、輸出関連企業や輸入品と競合する企業の比重が大きいだけに、先行きの業況への悪影響を懸念する声が多く、これが企業マインドの改善に水を差す格好となっている。

個人消費をみると、百貨店、スーパーの売上げは、厳しい残暑を反映した主力秋物衣料品の販売の遅れが響いたこともあって、前年割れが続いている。乗用車販売(新車登録台数)は、軽乗用車は高伸しているものの、普通・小型乗用車が既存車種の不振継続を背景に前年割れを続けている。また、家電では、パソコンや各種デジタル製品の売上げが好調に推移している。

住宅投資は、分譲マンションの着工が順調に推移しているほか、持家も前年比プラスとなっているものの、貸家での大幅な落込みが響いて全体では前年を下回っている。一方、公共投資では、経済対策関連の発注一巡等から請負額は減少傾向にある。

この間、生産をみると、国内設備投資が低迷している中、コンベアや環境装置で低水準の生産が続いているものの、移動体通信向けが好調な水晶振動子が高水準の生産にあるほか、アジア向け輸出の増加や在庫調整進捗を背景に鉄鋼や射出成形機でも高操業にあり、全体として底打ち感が出始めている。

地場産業をみると、播州織やケミカルシューズなどでは、国内需要の低迷や円高による輸入品との価格競争激化等を背景に厳しい状態が続いている。

雇用面では、有効求人倍率が依然過去最低レベルで推移しているほか、希望退職制度の実施を続ける企業が少なくないなど、厳しい状況に変化は窺われない。

なお、消費者物価は、足許、衣料品等の値上がりがみられたものの、天候不順により高騰していた生鮮食品が反落しており、全体では横這い状態で推移している。

金融面をみると、貸出は、企業の運転・設備資金等の前向きな資金需要が低迷しているほか、特別保証制度融資の返済が進んでいることもあって、前年を下回っている。

一方、預金は個人預金が比較的堅調な伸びを続けているのに加え、法人預金も設備投資の抑制や増加運転資金の歩留まり等を反映して手元流動性を積上げる動きがみられることなどから、前年を上回っている。

貸出約定平均金利(総合)は、夏場に長プラが相次いで引き上げられたことや、金融機関が企業の信用度に応じた付利姿勢を持続していることから、低水準圏内で小幅ながら足許上昇に転じている。

企業倒産は、金融緩和政策の浸透から、引き続き件数、負債額とも前年を下回っている。

以上

中国地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行広島支店

中国地区の経済情勢をみると、輸出、設備投資が減少しており、個人消費も回復感に乏しい状況が続いている。また、住宅投資は一進一退の動きとなっている。もっとも、公共投資では高水準で工事が進捗しているとみられる。こうした最終需要のもと、生産は在庫調整の進捗もあって上向いてきており、企業マインドも改善が続くなど、景気は下げ止まりの状態を続ける中で明るい動きが幾分強まっている。

最終需要の動向をみると、個人消費は、一部に好材料がみられるものの、全体としては回復感に乏しい状況が続いている。軽自動車や一部小型車販売およびパソコン販売が好調を持続している一方、百貨店売上高は基調としては低調に推移しているほか、スーパー売上高は前年割れが続いている。

設備投資を中国地区企業短期経済観測調査結果(11年9月)からみると、11年度計画は、前回調査(11年6月)とほぼ同水準の前年比−4.9%となった。このように、企業の設備投資は減少を続けている。

住宅投資について新設住宅着工戸数をみると、持家が頭打ち傾向にあり、全体では一進一退の動きとなっている。

公共投資については、公共工事請負額がこのところ前年水準を下回って推移しているものの、既往の発注増を反映して高水準で工事が進捗しているとみられる。

輸出については、アジア向けが持ち直しているものの、欧米向けが減少していることから、全体では前年水準を下回って推移している。

こうした最終需要のもと、生産は上向いてきている。主要企業の生産動向をみると、造船が高操業を持続しているほか、電気機械も弱電部品(半導体等)、情報家電(MD、FAX、移動体通信関連、パソコン)を中心に高操業を続けており、石油化学も海外需要の増加等からやや高目の生産となっている。また、鉄鋼は増加傾向が続いているほか、木材・木製品でも徐々に生産水準を引き上げており、自動車もほぼ横這いで推移している。もっとも、一般機械、縫製は依然として低調な生産が続いている。

雇用面をみると、有効求人倍率が低下しているほか、常用雇用者数が前年を下回って推移しているなど、雇用環境は厳しい状況が続いている。

この間、企業収益を中国地区企業短期経済観測調査結果(11年9月)からみると、11年度は、前年比+1.6%と増益計画となっているものの、前回調査(11年6月)に比べると僅かながら下方修正されている。

企業マインドを中国地区企業短期経済観測調査結果(11年9月)からみると、足許の業況判断D.I.が改善したほか、先行きも改善を見込んでおり、企業マインドは改善を続けている(業況判断D.I.<「良い」−「悪い」>11年6月△36%→9月△32%→12月予測△29%)。

金融面をみると、貸出は依然として低迷している。企業向けが設備・運転資金とも低調に推移しているほか、個人向けも住宅ローンの増勢鈍化などから伸び率が低下している。

預金は幾分持ち直している。法人預金は低調な地合いが続いているものの、個人預金は堅調に推移している。

以上

四国地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行高松支店
日本銀行松山支店
日本銀行高知支店

概況

四国地区の景気は、公共投資や住宅投資のほか、在庫調整の進展やアジア向け輸出の回復などに支えられ下げ止まりの状態にあるが、引続き自律的回復へのはっきりとした動きはみられていない。この間、企業マインドは、夏場の天候不順という一時的な要因が響き、9月短観調査において、幾分悪化した。

需要動向

最終需要の動向をみると、公共投資は地域によりばらつきがあるものの、高速道路網整備等の大型継続案件に、経済対策にかかるこれまでの発注も加わって、比較的高い水準を維持している。また、住宅投資も、住宅減税効果等を背景に、持家を中心に新設住宅着工戸数が前年を上回って推移しており、増加基調が続いている。個人消費は、厳しい雇用・所得環境の下、軽自動車やパソコン等の売れ筋商品が引続き好調なものの、普通車や大型家電販売が盛り上がりを欠いているほか、百貨店等の売り上げも天候不順の影響もあって低調に推移するなど、全体として一進一退の回復感に乏しい展開が続いている。観光面でも、一部の観光地では「しまなみ海道」開通効果から、前年を大きく上回る入り込みを示しているが、全体としては天候不順が災いし、盛り上がりを欠いた状況となった。この間、設備投資は、設備過剰感が根強いことなどを背景に企業は慎重な投資スタンスを崩しておらず、引続き減少傾向にある。

生産

企業の生産活動をみると、繊維(タオル、縫製品)が主力の法人ギフト需要や季節物衣料の受注低迷から多くの先で低操業を余儀なくされているほか、一般機械(産業・運搬機械、建設用機械等)等でも、内需低迷等を背景に生産調整を継続する先がみられる。しかしながら、電気機械(情報機器向けメモリー、マイコン、液晶表示装置、バックライト等)、造船(外航船)が国内外の需要堅調を背景に高操業を継続しているほか、公共・住宅投資関連需要の増加を映じて窯業・土石(土木・公園用資材、住宅エクステリア製品)、鉄骨加工(橋梁関連)、金属製品(アルミサッシ)、木材・木製品(収納製品)等で、まずまずの操業を続けている。また、化学(合成樹脂、合繊原料等)では、アジア向け輸出の持ち直しから、紙・パ(家庭紙・印刷用紙等)では、在庫調整の進展から、それぞれ操業度を引上げる動きがみられている。

雇用

雇用情勢をみると、このところ人員調整圧力は幾分弱まってきているものの、低調な企業の生産活動を映じて、製造業を中心に人員抑制スタンスが依然として根強いことなどから、全般的に厳しい状況が続いており、有効求人倍率も低水準で推移している。

金融

金融面をみると、預金は、法人預金が低調に推移しているものの、個人預金は引続きまずまずの伸びを維持している。貸出は、企業向け設備・運転資金ともに新規需資が乏しいことなどから、低調な地合が続いている。

以上

九州地区金融経済概況

1999年10月18日
日本銀行福岡支店

九州経済は、全般に下げ止まり横這いの状態が続いているが、一部に明るい動きもみられ、企業の景況感も引き続き厳しさが和らいできている。

すなわち、公共投資が堅調に推移する中で、在庫調整の進捗やアジア向け輸出の回復もあって、生産は持ち直しの動きがみられているほか、低迷が続く設備投資でも一部前向きな動きが出てきている。この間、個人消費は天候不順の影響もあって一進一退の展開となっている。また、住宅投資が頭打ち傾向となっているほか、企業倒産が増加に転じている。

最終需要の動向をみると、公共投資は、国、自治体とも発注を本格化させており、セメント、合板等の官公庁向け出荷が増加している。

住宅投資は、11年度第1回住宅金融公庫融資申込みが前年並みに止まったこと等から、持家を中心に新規着工は頭打ち傾向にある。

個人消費は、パソコン、新型乗用車等の販売好調や地元球団優勝セールによる盛り上がりなど、一部に明るい動きがみられるものの、雇用・所得環境が厳しい中で、天候不順の影響もあって秋物衣料等季節商品の動きが鈍いなど、全体としては一進一退の展開となっている。

企業の設備投資は、根強い設備過剰感等を背景に抑制スタンスにある先が多いものの、一部半導体関連等では投資上積みの動きが出てきている。

この間、輸出は、アジア向けが振れを伴いつつも回復傾向を辿っている一方で、欧米向けが自動車等を中心に減少しており、全体としては横這い圏内で推移している。

企業の生産動向をみると、内需の減少等を背景に自動車、一般機械等が低操業を継続しているものの、在庫調整が進捗している中で、公共投資関連需要の増加やアジア向け輸出の回復等から、鉄鋼、化学で生産水準を引き上げているほか、電子部品、IC、合板でも高操業を継続しており、全体として持ち直しの動きがみられている。

雇用面をみると、有効求人倍率が低水準で推移しているほか、雇用者所得も減少傾向を辿っており、厳しい状況が続いている。

企業倒産をみると、倒産件数は中小企業金融安定化特別保証の効果が一巡したこと等から増加に転じている。

金融面の動きをみると、銀行預金は、個人預金が比較的高い伸びとなっている中で、法人預金では市場金利に比べ相対的に有利となっている流動性預金への滞留がみられていることなどから、全体では堅調に推移している。一方、銀行貸出は、設備資金等前向き資金を中心に企業の資金需要が低迷していること等から、低調に推移している。

以上