各地域からみた景気の現状(2026年1月支店長会議における報告)
2026年1月8日
日本銀行
今回の支店長会議における報告を総括すると、一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。前回の支店長会議開催時点(2025年10月)と比較すると、すべての地域で総括判断を維持している(参考参照)。
主な需要項目等別にみると(注)、輸出・生産については、米国の関税引き上げによる影響の顕在化や、アジア企業との競合激化を受けて一部で弱めの動きになっているとの報告があった一方、AI関連製品を中心にグローバルな需要の増加を背景に受注は堅調に推移しているとの報告があった。設備投資については、建設コスト上昇による投資の先送り・縮小などが一部でみられるものの、各国の通商政策を巡る不確実性が低下する中、AI関連需要の中長期的な拡大期待に基づく能力増強投資や、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資などを中心に積極的な投資スタンスが維持されているとの報告が多かった。個人消費(インバウンド需要を含む)については、イベント関連等でのハレの日消費の堅調さを指摘する報告があった一方、日常消費では、食料品価格の高止まり等を受けた消費者の根強い節約志向を背景に、スーパー等で購入点数の減少が続いているほか、一部の外食等で日常利用客の客足が鈍化しているとの報告があった。この間、都市部の百貨店等で株高等を背景に国内富裕層による高額品販売が堅調さを維持しているとの報告や、観光・宿泊でも賃上げの影響もあって需要が好調に推移しているとの報告があった。なお、中国政府による自国民への渡航自粛呼びかけの影響について、現時点では需要面への下押しの影響は一部にとどまっているとの報告が多かったものの、先行きについては、宿泊業を中心に、春節期間にマイナスの影響が一段と拡大することを懸念する声も聞かれるとの報告もあった。
賃金設定面について、企業収益が全体として高水準を維持し、人手不足感の強い状態も継続する中、従業員の係留・士気向上の観点から、2026年度も2025年度と同程度の賃上げを行う必要があると考える企業が多いとの報告が多数あった。また、2025年度の最低賃金の改定を受けてパート労働者の賃金を引き上げる中で、正社員についても公平感の観点から相応の賃上げが必要になっているとの報告もあった。一方、関税引き上げによる収益減少や価格転嫁の遅れ等から、中小企業を中心に2025年度並みの賃上げは難しいとの声が聞かれるとの報告もあった。
価格設定面では、仕入コストや人件費、物流費等の上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。また、一部の企業では、最近の為替円安によるコスト増加を受け、価格転嫁の必要性を検討しているとの報告もあった。ただし、消費者の根強い節約志向を背景に、値上げ幅の抑制や低価格商品の品揃え強化等で対応する動きも引き続きみられるとの報告があった。この間、米国の関税引き上げの影響を受けて、製造業の一部から国内納入先の価格交渉スタンスが厳格化しているとの声は聞かれるものの、人件費の価格転嫁の流れを阻害するまでには至っていないとの報告が多数あった。
- (注)各地域の企業等から聞かれた具体的な声については「地域経済報告(さくらレポート)」の「全文」を参照。
(参考)
| 2025年10月判断 | 前回との比較 | 2026年1月判断 | |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している |
| 東北 | 持ち直している | ![]() |
持ち直している |
| 北陸 | 一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 関東 甲信越 |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 東海 | 緩やかに回復している | ![]() |
緩やかに回復している |
| 近畿 | 一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している |
| 中国 | 緩やかな回復基調にある | ![]() |
緩やかな回復基調にある |
| 四国 | 緩やかに持ち直している | ![]() |
緩やかに持ち直している |
| 九州・沖縄 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している |
- (注)前回との比較の「
」、「
」は、前回判断と比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「
」)。なお、前回判断と比較して景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「
」となる。
