各地域からみた景気の現状(2026年7月支店長会議における報告)
2026年7月9日
日本銀行
今回の支店長会議における報告を総括すると、一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。前回の支店長会議開催時点(2026年4月)と比較すると、すべての地域で総括判断を維持している(参考参照)。
主な需要項目等別にみると(注)、輸出・生産については、中東情勢を受けた物流の停滞や原材料の不足に伴う下押しの影響がみられるものの、代替調達の進展や輸送経路の見直しなどにより、大幅に減少する可能性はひと頃よりも低下しているとの報告が多かった。そうしたもと、グローバルなAI関連需要の拡大から、半導体製造装置や電子部品の受注が一段と増加しているとの報告や、電力・電源装置や通信設備、金型等にもAI関連需要が波及しているとの報告が多かった。設備投資については、建設コスト等の上昇や人手不足による工事進捗の遅れや投資計画の縮小などが一部にみられるものの、AI関連需要等の中長期的な拡大期待に基づく能力増強投資や研究開発投資のほか、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資などを中心に、積極的な投資スタンスが維持されているとの報告が多かった。個人消費(インバウンド需要を含む)については、都市部の百貨店等で、株高等を背景に国内富裕層の高額品販売が堅調に推移しているとの報告や、観光・宿泊や飲食では、賃上げの影響もあって国内客の需要は底堅く推移しているとの報告があった。また、規制・税制変更を受けてエアコンや自動車の販売が伸びているとの報告や、政府によるエネルギー負担緩和策等が消費を下支えしているとの報告もあった。一方、消費者の根強い節約志向を背景に、スーパー等で値上げを実施した商品の販売が減少しているといった報告があった。この間、インバウンド需要については、中国の渡航自粛要請や中東情勢を受けた下押しの影響はみられるものの、他地域からの旅行客の増加がそれを補うことで、高水準を維持しているといった報告が多かった。
賃金設定面については、企業収益が高水準を維持し、人手不足感の強い状態も継続する中、人材の確保・係留の観点から、中小企業を含めて2026年度は2025年度並みの高水準の賃上げを実施した企業が多いとの報告が多数あった。ただし、価格転嫁の遅れ等による収益面の制約から、高水準の賃上げは難しいとの声や、新規求人を抑制しているとの声が聞かれるとの報告もあった。
価格設定面では、人件費や物流費等の上昇を販売価格に転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。企業の価格設定行動が積極化するもとで、中東情勢の影響を受けたエネルギー・原材料価格の上昇は、素材業種の企業間取引において、従来よりも速いペースで価格転嫁が進んでいるとの報告が多数あった。また、食料品や日用品等の消費関連企業においても、中東情勢を理由とした値上げを検討しているとの報告が多く、そのタイミングとしては、夏場以降を予定しているとの声が聞かれるとの報告があった。一方で、中小企業を中心に、仕入コスト上昇の販売価格への転嫁が十分にはできておらず、収益の圧迫要因になっているとの報告も相応にあった。また、消費者の節約志向を背景に、値上げ幅の抑制や低価格商品の品揃え強化等で対応する動きも引き続きみられるとの報告もあった。
- (注)各地域の企業等から聞かれた具体的な声については「地域経済報告(さくらレポート)」の「全文」を参照。
(参考)
| 2026年4月判断 | 前回との比較 | 2026年7月判断 | |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している |
| 東北 | 持ち直している | ![]() |
持ち直している |
| 北陸 | 一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 関東 甲信越 |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 東海 | 緩やかに回復している | ![]() |
緩やかに回復している |
| 近畿 | 一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している |
| 中国 | 緩やかな回復基調にある | ![]() |
緩やかな回復基調にある |
| 四国 | 緩やかに持ち直している | ![]() |
緩やかに持ち直している |
| 九州・沖縄 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している |
- (注)前回との比較の「
」、「
」は、前回判断と比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「
」)。なお、前回判断と比較して景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「
」となる。
