各地域からみた景気の現状(2026年10月支店長会議における報告)
2026年10月8日
日本銀行
今回の支店長会議における報告を総括すると、一部に弱めの動きもみられるが、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」としている。前回の支店長会議開催時点(2026年7月)と比較すると、全9地域中2地域で総括判断を引き上げている(参考参照)。
主な需要項目等別にみると(注)、輸出・生産については、グローバルなAI関連需要の拡大が続くもとで、電子部品に加え、半導体製造装置や工作機械、データセンター向けの通信インフラ関連製品など、資本財を中心とする幅広い品目で生産が増加しているとの報告が多かった。この間、中東情勢を受けた物流の停滞や原材料の不足に伴う下押しの影響は、和らいでいるとの報告が多かった。令和8年熊本地震の影響については、被災地等では工場の稼働停止等が生じたものの、サプライチェーン全体でみれば、関係者の努力もあって生産への下押しの影響は一時的なものにとどまったとの報告があった。
設備投資については、建設コストの上昇や建設業の人手不足を背景に、工期の長期化や投資計画を縮小・先送りする動きが一部にみられるものの、企業の投資意欲は引き続き旺盛であるとの報告が多かった。具体的には、AI関連需要の中長期的な拡大期待に基づくデータセンター建設や、それに伴う電力関連などの成長投資のほか、生産性向上を目的としたデジタル化投資などが多いとの報告があった。
個人消費(インバウンド需要を含む)については、幅広い業態で天候不順が一時的な下押し要因になっているものの、実質所得の改善に支えられて総じてみれば底堅さを維持しているとの報告が多かった。都市部の百貨店等では、株高や賃上げ効果等を背景に高額品販売が堅調に推移しているとの報告があったほか、観光・宿泊や飲食については、ひと頃に比べ増勢を鈍化させつつも、高水準を維持しているとの報告が多かった。一方、スーパーやコンビニ等では、消費者の節約志向が根強いもとで、来店客数や買い上げ点数が減少しているとの報告や、価格帯の低いプライベートブランド等の商品の需要が強まっているとの報告があった。
賃金設定面については、企業収益が高水準を維持し、人手不足感の強い状態が続く中、最低賃金の引き上げへの対応もあって、人材の確保・係留の観点から高水準の賃上げを実施しているとの報告が多かった。一方、価格転嫁の遅れなどから賃上げ原資の確保が難しい企業もみられており、そうした先においては、賃上げ幅を抑えているなどの報告もあった。
価格設定面では、企業間取引においては、中東情勢や為替円安の影響を受けたエネルギー・原材料価格の上昇分に加え、物流費や人件費を含む幅広いコストの上昇分を販売価格に転嫁する動きが進展しているとの報告が多かった。また、仕入コストの変動が大きくなる中で、価格改定頻度を引き上げる先がみられる、との報告もあった。価格転嫁の動きは消費関連企業にも波及してきており、消費者の反応を見極めながら、仕入コストの上昇分を販売価格に転嫁している先が増えているとの報告があった。一方で、消費者の節約志向が根強いもとで、値上げ幅の抑制や低価格商品の品揃え強化等で対応する動きも引き続きみられるとの報告もあった。
- (注)各地域の企業等から聞かれた具体的な声については「地域経済報告(さくらレポート)」の「全文」を参照。
(参考)
| 2026年7月判断 | 前回との比較 | 2026年10月判断 | |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに持ち直している |
| 東北 | 持ち直している | ![]() |
緩やかに回復している |
| 北陸 | 一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 関東 甲信越 |
中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
中東情勢の影響もあって一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している |
| 東海 | 緩やかに回復している | ![]() |
緩やかに回復している |
| 近畿 | 一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している | ![]() |
一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかに回復している |
| 中国 | 緩やかな回復基調にある | ![]() |
緩やかな回復基調にある |
| 四国 | 緩やかに持ち直している | ![]() |
持ち直している |
| 九州・沖縄 | 一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している | ![]() |
令和8年熊本地震の影響などから一部に弱めの動きがみられるが、緩やかに回復している |
- (注)前回との比較の「
」、「
」は、前回判断と比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「
」)。なお、前回判断と比較して景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「
」となる。
