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地域経済報告―さくらレポート―(別冊 地域の視点)* 各地域における女性の活躍推進に向けた企業等の取り組み

  • 本報告は、上記のテーマに関する支店等地域経済担当部署からの報告を集約したものである。

2017年6月2日
日本銀行

【要旨】

人手不足感の強まりや、人材多様化により競争力強化を図りたいという企業経営戦略上のニーズを背景に、多様な個人、特に女性が自らの希望に応じて活躍できる環境整備が重要性を増している。具体的には、女性が労働参加しやすくすることに加え、企業内での役割など活躍度合いの面でも向上を図り、1人ひとりが生み出す付加価値を高めていけるようにすることが重要になっている。

こうした問題意識のもと、日本銀行では、本支店等での企業ヒアリング等を通じて、企業や自治体等による女性の活躍推進への取り組みを調査した。調査結果のポイントは以下の通りである。

  • 企業等の取り組みもあり、女性の労働参加は幅広い地域ではっきりと増加している。また、活躍度合いについても、労働参加ほどではないほか、企業間のばらつきもかなり大きいが、女性管理職比率が徐々に高まりつつあるなど成果が出てきているとの声が多い。女性社員の感性を活かして新たに開発した商品・サービスが需要の掘り起こしに成功し、業績向上に繋がったとの声も増えてきている。
  • さらに、女性の活躍しやすい環境整備の一環として、大胆な仕事の見直しによる長時間労働の是正や、省力化投資等を進めた結果、生産性の向上に繋がったとする声も少なくない。
  • もっとも、こうした取り組みにもかかわらず、人手不足感はむしろ強まる方向にある。また、取り組みの結果、新たな課題が生じているとの声もあり、その中には、転勤を前提とした人事ローテーションを巡る論点など、既存の人事システムに対する問題提起も含まれているように思われる。
  • こうした状況をみると、働き方改革のもとで、今後、企業や自治体等がどのように対応していくかにより、個々の企業や地域経済の活力が大きく左右されるものと考えられる。人手不足や生産性向上への他の取り組みも含め、今後とも企業等の対応を丹念にフォローしていくこととしたい。

日本銀行から

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行調査統計局までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

照会先

調査統計局地域経済調査課

森本
Tel:03-3277-1357