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2026年度賃上げスタンスの動向(12月初時点)―本店及び全国32支店に対し、12/3までの情報を確認―

2025年12月15日
日本銀行調査統計局

2026年度の賃上げスタンスの動向(前年度との比較)について、本支店を通じて情報収集を行ったところ、いくつかの支店では2025年度を「上回る」(2支店)、「下回る」(2支店)との回答があったが、大半の先では高い伸びとなった前年度並みとの回答であった。

表 各回答を選択した本支店数
2025年度を上回る 2025年度から横ばい 2025年度を下回る
2 29 2

2025年度の企業収益について、米国の関税引き上げの影響等もあって顕著な改善を見込む先は多くはないものの、人手不足感の強い状態が継続するもとで、従業員の係留・士気向上の観点から、「2026年度についても、2025年度と同程度ないし世間相場並みの賃上げを行う必要がある」と考える企業が大半を占めているように窺われる。

大・中堅企業については、2026年度も2025年度並みの賃上げは可能だが、中小企業については価格転嫁の遅れ等による収益不芳先を中心に2025年度並みの賃上げは厳しいとの声は比較的多く聞かれる。業種別にみると、自動車等の製造業の一部からは、米国の関税引き上げによる収益減を主因に、2025年度並みの賃上げを2026年度も継続することは困難との声も聞かれる一方、非製造業を中心に人材の確保や係留の観点から2025年度並みの賃上げが必要との声が聞かれる。

年齢階層別には、とくに人手不足感が強く、採用市場での競争も激しい若年層を中心に、初任給の引き上げも含めて、手厚めの配分を行うとの先が多い。

高めの上昇率となった2025年度の最低賃金の改定を受けて、パート労働者の賃金を引き上げる中で、正社員についても公平感の観点から相応の賃上げを行う必要があるとの声が、都市部以外の地域で聞かれている。

表 ヒアリングで聞かれた声
前年度との比較 ヒアリングで聞かれた声
上回る
(2)
  • 中堅・中規模の企業までは、賃上げの必要性を前提として織り込んでおり、2025年度を上回る賃上げ先が増えると見込んでいる(経済団体)。
  • これまでも他社比高めの賃金を設定してきた中、増加した収益を原資に2025年度を上回る賃上げを実施予定(卸売)。
  • 利益圧縮を賃上げ原資として、最低賃金の上昇率見合いで、2025年度を上回る賃上げを実施(食料品)。
横ばい
(29)
  • サプライヤーへの影響も考慮し、2025年度並みの賃上げを予定(自動車)。
  • 物価上昇分を補う必要性と、中長期的な人材確保を意識して、2025年度並みの賃上げを予定(繊維)。
  • 物価高や継続する強い人手不足感のもと、増益見通しを踏まえ、2025年度並みの着地を見込む(自動車部品)。
  • 大手先は、2025年度並みを実現する見込みが高い一方、中小は2年連続の賃上げ実施で体力的に厳しいとする先が相当数みられる。こうした先は価格転嫁が十分に行えず、賃上げの意向はあっても原資がついていかない(経済団体)。
  • 人材係留のため、2025年度並みの賃上げを実施。ただし、若年から中堅層にかけて手厚く配分予定(建設)。
  • 2025年度と同程度の賃上げを実施予定だが、人材確保を目的に若年層を中心に上げざるを得ない(電気機械)。
  • 通商政策の影響下でも収益堅調のもと、中期経営計画で表明した賃金改定方針を定着させるべく、物価上昇率+αを堅持(非鉄)。
  • 価格転嫁の進展が2026年度以降も定着するとみて、2025年度並みの賃上げ実施を検討(自動車部品)。
  • 最低賃金の大幅な上昇を受けて、パートの賃上げ幅が正社員を上回った。不公平感を和らげるため、正社員で前年を上回る賃上げを検討(宿泊)。
  • 最低賃金の引き上げで、時給換算した正社員の基本給との差が縮小しており、人材係留のため、最低でも2025年度並みの賃上げが必要(宿泊)。
下回る
(2)
  • 価格転嫁が十分でなく、これまでの賃上げペースでは赤字となる(食料品)。
  • 米国関税の影響等から自動車向けを中心に業績悪化が見込まれるため、2025年度の賃上げ率から低下する可能性(業務用・はん用機械)。
  • AI関連以外の電子部品需要が低迷し減益傾向が続く。2026年度、賃上げはするものの、2025年度より賃上げ率は縮小見込み(電デバ)。

(注)()内の計数は、当該回答を選択した本支店数