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アジア諸国における債券のクロスボーダー取引阻害要因

2006年1月
日本銀行国際局
竹内淳1

日本銀行から

以下には、冒頭部分を掲載しています。

アジア諸国の政府および中央銀行は、近年、自国通貨建て債券市場(以下、国内債券市場)の育成に向けて積極的に取り組んでいる。

EMEAP2の中央銀行は、アジアの債券に共同で投資し、運用を行う「アジアボンドファンド(Asia Bond Fund、ABF)」プロジェクトを開始し、投資家の視点(需要サイド)からの市場改革を進めている3

また、ASEAN10カ国に日本、中国、韓国を加えたASEAN+3の財務省および中央銀行は、「アジア債券市場育成イニシアチブ(Asian Bond Markets Initiative、ABMI)」のもとで、証券化、信用保証、格付機関、為替・資本規制、証券決済といった各分野における規制・インフラの改善に取組んでいる。

ABFとABMIは、相互に補完的なプロジェクトであり、日本銀行はその双方に積極的に参画している。本稿では、ABMIの作業の中で、本行がマレーシア中央銀行と共同で調査を行ったアジア諸国における債券のクロスボーダー取引阻害要因に関する報告書("Study of Impediments to Cross-border Bond Investment and Issuance in Asian Countries"4)の要旨を紹介する。

  1. アジア金融協力センター兼国際機関・会議担当(現フランクフルト事務所、atsushi.takeuchi@boj.or.jp)
  2. 正式名称は、東アジア・オセアニア中央銀行役員会議(Executives' Meeting of East Asia- Pacific Central Banks、EMEAP<エミアップと呼称される>)。EMEAPは東アジア・オセアニア地域の中央銀行間協力を目的としたフォーラムであり、日本銀行の提案のもと、1991年に創設された。参加メンバーは、オーストラリア、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイの11ヶ国・地域の中央銀行・通貨当局である。
  3. アジアボンドファンドの内容およびその具体的な意義については、日本銀行調査季報2005年秋号に掲載の論文「アジアの債券市場育成とアジアボンドファンド」を参照。
  4. 本書は、日本政府の資金により創設され、アジア開発銀行が運営・管理を行っている"Asian Bonds Online Website(外部サイトへのリンク)"より、ダウンロード可能。