海外における「ストリートワイド訓練」の概要
業務継続計画の実効性確認手段としての業界横断的訓練
2010年3月
日本銀行金融機構局
はじめに
金融機関は、地震等の自然災害やシステム障害が発生した場合、あるいは感染症が流行した場合などにも、金融・決済業務を円滑に遂行できるようにするため、業務継続体制の整備を進めている。業務継続体制の整備にあたっては、単に業務継続計画を策定するだけではなく、実際の被災時に計画が機能するように実効性を確保することが重要である。
業務継続計画の実効性を確認する手法として、海外の金融業界では、「ストリートワイド訓練」と呼ばれる業界横断的な訓練が活用されている。
「ストリートワイド訓練」とは、(1)業界内で共通の被災シナリオを設定し、(2)その共通のシナリオの下で各社がほぼ同時にそれぞれの被災時の対応に関するシミュレーションを行い、(3)その結果を持ち寄って業界レベルで解決すべき問題点を洗い出すことにより、業界レベルの業務継続体制の整備を促すための訓練である。
わが国でも、近年、「一定の被災シナリオの下で、複数の金融機関が部門を跨ぎ全社的に参加する共同訓練」として「ストリートワイド訓練」に関する認知が進みつつあるが、その具体的内容についてはよく知られていない点が多い。
そこで、本稿では、わが国における金融業界レベルでの業務継続体制の整備に向けた検討の参考として、海外における「ストリートワイド訓練」の概要について、発展の経緯や特徴点を含めてやや具体的に紹介する。
日本銀行から
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照会先
金融機構局
大山 陽久、富岡 則行、安河内 達也
E-mail : csrbcm@boj.or.jp