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2011年度銀行決算の概要

2012年7月13日
日本銀行金融機構局

要旨

2011年度決算をみると、大手行の当期純利益は、債券・株式関係損益の増加・改善や信用コストの低下から税引前の段階では増益となったものの、税金関連費用(法人税等および法人税等調整額)の増加から、前年対比で若干の減益となった。一方、地域銀行の当期純利益は、信用コストの大幅な低下に伴い、前年対比で約1割の増益となった。

銀行の基礎的な収益であるコア業務純益をみると、国内業務部門の貸出利鞘の縮小傾向に変化がみられない中、資金利益の減少を主因に、大手行、地域銀行ともに、2006年度以降の減益傾向が続いている。

不良債権処理に伴う信用コストは、倒産件数・金額が低水準に止まったことや、正常先債権に対する引当率が低下したこと等を受けて、大手行、地域銀行ともに、3年連続の減少となった。この間、不良債権比率をみると、大手行、地域銀行ともに、2010年度末対比横ばいとなった。ただし、不良債権比率については、貸出条件緩和債権の要件見直し等が、要管理債権を抑制する方向に作用していると考えられる点に留意が必要である。

コア業務純益の減少傾向が続く一方で、信用コストの低下余地は徐々に限定的となっている。このため、貸出先企業の経営改善に向けた取り組み強化や、再生可能性の評価に応じた適切な信用リスク管理が一段と重要になっている。

日本銀行から

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照会先

金融機構局金融システム調査課

E-mail : post.bsd1@boj.or.jp