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わが国株式市場における先物価格と現物価格の関係

:いわゆる「先物主導」の検証

2013年6月5日
金融市場局 宇野洋輔

要旨

株式市場の動向を説明する際、「先物主導」という言葉が使われることがある。本稿の分析結果によると、現物市場に固有の取引制度は、同市場の流動性を先物市場対比で相対的に低下させやすくする側面があり、このことが、わが国株式市場における「先物主導」の株価形成につながっている面があると考えられる。もっとも、こうした株価形成は、先物市場が現物市場に先んじて「真の価格」を発見していることを必ずしも意味しているわけではない。東日本大震災等の大規模ショック時の株式市場の反応から推察すると、現物市場に固有の取引制度は、同市場の流動性を低下させる一方、少なくとも事後的にみれば、「価格発見力」を高める方向に作用しているとの評価も可能である。今後、わが国株式市場においてより効率的な株価形成がなされていくためには、こうした点も含め、多面的な議論が必要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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