このページの本文へ移動

新型コロナウイルス感染症拡大の米国個人消費への影響―州別の高頻度データを用いた計量分析―


2020年9月9日
国際局 小林悟、中原香織、小田剛正、上野陽一

要旨

米国の個人消費は、マクロ統計をみると、新型コロナウイルス感染症の拡大と、それに伴う厳格な公衆衛生上の措置等を受けて大幅に落ち込んだあと、5月以降は、増加に転じている。もっとも、高頻度データで仔細に確認すると、新規感染者数が再増加し始めた6月後半から、個人消費の持ち直しペースは鈍化している。本稿では、週次・州別という高頻度・高粒度のパネルデータを用いて、感染症拡大下の米国個人消費に影響を及ぼした諸要因を整理するとともに、これらの影響を定量的に分析した。実証分析の結果から、米国個人消費は、(1)外出禁止令など厳格な公衆衛生上の措置による影響を強く受けたこと、(2)6月後半以降の新規感染者数の再増加によっても下押しされたこと、(3)家計への現金給付等の財政措置で、ある程度上押しされたこと、が示唆される。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行国際局国際調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。