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米国における経済活動の再開と労働市場:「供給制約」に関する事実整理

2021年7月29日

国際局 高田耕平*、海道裕太郎、小田剛正**、乗政喜彦
*現・総務人事局
**現・金融市場局

要旨

米国では、経済活動が急速に再開するもとで、供給面での制約が一部で顕在化している。とくに、労働市場では、感染症拡大下で雇用を大幅に削減した業種を中心に、営業再開に向けた人材確保が困難との声が聞かれている。これには、求人の増加が極めて急であるという需要要因に加え、(1)感染症への警戒感、(2)チャイルドケア等の制約、(3)失業保険の拡充等を背景とした労働供給スタンスの慎重化も影響している。これら供給制約をもたらしている諸要因は次第に解消していくと見込まれるが、感染症拡大とその後の経済活動の再開は未曾有の出来事であるだけに、解消に要する期間については不確実性が大きい。また、感染症拡大が労働市場を含む経済構造や人々の行動様式に、より長期的な影響を及ぼしていないか、といった点にも注意が必要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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