このページの本文へ移動

店頭デリバティブ取引データからみた通貨オプション市場―新型コロナウイルス感染症下での取引動向―

2022年6月1日

金融市場局 瀧塚寧孝、鈴木一也*
*現・政策委員会室

要旨

本稿では、ドル/円通貨オプションの高粒度の取引情報を用いて、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて国際金融市場が不安定化した2020年3月を中心に、個別取引の動向について分析を行った。得られた結論は以下の通りである。まず、高粒度の取引データから計測した主体別のインプライドボラティリティは、20年3月にかけて為替リスクに対する市場の見方が大きくばらついたことや、オプション市場の流動性が低下したことを示唆している。また、こうした市場環境下で、プットオプションを用いた大口の円高ヘッジには追加的な取引コストが必要となり、市場参加者は、取引金額を小口化するとともに、取引相手を分散させて対応していたこと等が分かった。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行金融市場局総務課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。