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わが国ベンチャービジネスの現状と課題

2022年6月20日

調査統計局
松井優二郎、文谷和磨

要旨

わが国では、長らくベンチャービジネスが不活発であると指摘されてきたが、この10年程度の間に、有力ベンチャー企業の輩出数や資金調達額などが増加してきている。こうした変化の背景には、 DXや気候変動対応関連など新たなイノベーション需要が高まっていることに加えて、ベンチャービジネスへの投資家層が拡大していることや、各地でベンチャービジネスの拠点集積が進むなど、エコシステムの整備が進展していることなどがある。もっとも、海外と比較すれば、わが国のベンチャービジネスの拡大ペースは依然限られており、新たなビジネスの拡大を後押しするための環境整備の必要性は引き続き高い。具体的な課題は多岐にわたるが、企業金融面に絞ると、未上場段階での大口資金の出し手確保や新興株式市場における持続的な企業価値向上に向けた取り組みなどが鍵になると考えられる。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
内容に関するご質問等に関しましては、日本銀行調査統計局経済調査課(代表03-3279-1111)までお知らせ下さい。