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賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について

2024年2月26日

調査統計局 尾崎達哉、神保真宏、八木智之、吉井彬人

要旨

足もと、消費者物価指数を構成する多くの品目では、既往の輸入物価の大幅な変動の影響を受けている。このため、賃金・物価の相互連関に由来する物価上昇圧力を識別することは、容易ではない。本稿では、複数のアプローチを用いて、賃金と物価の相互連関がどの程度働いているのか、定量的な評価を試みた。消費者物価を構成する各品目のコスト構造に基づく分析や、時系列モデルを用いた分析を行った結果、賃金上昇を販売価格に反映させる動きが、徐々に広がっていることが示唆された。賃金と物価の相互連関の状況を確認していくうえでは、今後とも、本稿のアプローチに限らず、様々な角度から定量的な分析を行うとともに、ヒアリング等による定性的な調査も丹念に行っていくことが重要である。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。
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