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「小売物価統計調査」を用いた価格粘着性の計測:再論

2007年8月
才田友美*1
肥後雅博*2

要旨

 本稿では、CPIの原資料である「小売物価統計調査」の品目別・都市別平均価格データ(1989〜2003年)を用いて価格粘着性の特性について分析した。得られた主要な結果は以下のとおりである。(1)価格粘着性は財では低く、サービスでは高い、といった大きな違いがある。時系列変化をみても1990年代以降、財で価格粘着性が低下する一方、サービスで顕著に高まるなど、格差が拡大している。(2)ハザード確率の形状をみると、「右下がり型」となる品目が多いが、「伸縮型」や「テイラー型」の品目も存在する。(3)多くのカテゴリーで、近年のCPIインフレ率の低下には、価格改定頻度の低下が寄与しており、価格改定1回ごとの価格改定率の変化は殆ど寄与していない。(4)カテゴリー間の価格粘着性のばらつきやその時系列変化には、生産コストに占める労働コスト比率の違いや企業の特売行動の変化が影響している。

Keywords
消費者物価指数、価格粘着性、価格改定頻度、ハザード確率、時間依存型価格設定、状態依存型価格設定
JEL classifications:E31、D40、C41

本稿は、一橋大学経済研究所物価研究センター主催「Inflation Dynamics in Japan, US and EU」コンファランス(2007年6月28日)報告論文であり、「小売物価統計調査を用いた価格粘着性の計測」(日本銀行ワーキングペーパーシリーズ06-J-02、2006年)を大幅に改訂したものである。分析にあたっては、総務省統計局から「小売物価統計調査」のデータ提供を受けたほか、西崎健司氏、高川泉氏、中村康治氏、荒井千恵氏、孝壽綾子氏、山岡理恵氏、萩原佐和子氏ら日本銀行スタッフの協力を得た。有賀健教授(京都大学)、John Leahy教授(New York大学)、加納和子先生(Queen's 大学)、青木浩介先生(LSE)、Andrew Levin氏(FRB)、清水誠氏(総務省統計局)、「Inflation Dynamics in Japan, US and EU」コンファランス、「1990年代以降の日本の経済変動」研究会ならびに「金融政策研究会」参加者の方々、多数の日本銀行スタッフから有益なコメントを得た。記して感謝の意を表したい。ただしあり得べき誤りは筆者に属する。また本稿の内容・意見は筆者の個人的見解であり、日本銀行および調査統計局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局経済分析担当
    E-mail: yumi.saita@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局経済分析担当
    E-mail: masahiro.higo@boj.or.jp

日本銀行から

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