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企業金融の円滑化に向けたCPオペの効果の識別

— 金融危機下の資金供給オペレーションに関する一考察 —

2009年11月
大山慎介*1
廣瀬康生*2

要旨

 本稿では、金融市場や企業金融で資金逼迫感が強まった局面において、企業金融の円滑化に向けて日本銀行が実施したCPオペの効果を分析することを試みる。具体的には、CPオペとCP発行市場との関係をモデル化し、データとして観察されない「オペが行われなかった場合に形成されていたであろう金利」と「オペが行われた後に実現した金利」との差を識別し、CPオペの効果として評価する。識別の結果、(1)1998年11月から2003年前半にかけて積極的に活用されたCP買現先オペは、企業金融の逼迫度が強くなった局面ほど効果が大きかったこと、(2)2008年秋から2009年春にかけての局面をみると、CP買現先オペの積極的活用とCP買入れオペは、実施直後に大きな効果を発揮し、その後は効果が減衰したこと、(3)2009年1月から実施された企業金融支援特別オペは、1〜4月にかけてCP発行金利を大幅に押し下げる効果を発揮したことなどが明らかになった。

キーワード:
CP、オペレーション、企業金融、金融調節、金融政策

JEL分類番号:
E50, E52, E58, G10

本稿の作成に当たり、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りは筆者個人に属する。本稿の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および同企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局(E-mail: shinsuke.ooyama@boj.or.jp)
  2. *2日本銀行企画局(E-mail: yasuo.hirose@boj.or.jp)

日本銀行から

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