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国債価格および為替相場変動の非対称性

2011年9月9日
レナ・ケルバー*1
長倉大輔*2
藤原一平*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿では、国債価格および為替相場変動の非対称性を統計的に検証する。まず、国債、為替相場のいずれについても、3次の積率である歪度で見る限り、リターン分布の非対称性が十分に大きいことがわかった。しかし、異常値の影響を受けにくい頑健性のある尺度で非対称性を計測すると、歪度で計測した結果と比べ、非対称性の方向およびその大きさが異なるケースが多くみられるなど、リターン分布の歪度が、主に異常値に起因するものであることもわかった。統計的検証結果をみると、国債価格については、優位な非対称性が歪度についてのみ確認された。一方、為替相場については、キャリー・トレードの調達通貨である円や運用通貨であるニュージーランドおよびオーストラリア・ドルにおいて、異常値の影響を受けにくい頑健性のある尺度でのみ、非対称性が優位となるケースもみられた。これら結果は、国債キャリー・トレードと為替キャリー・トレードに伴う非対称性の背景が本質的に異なるものである可能性を示唆している。

  1. *1ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス E-mail : L.M.Koeber@lse.ac.uk
  2. *2慶応大学 E-mail : nagakura@z7.keio.jp
  3. *3日本銀行金融市場局 E-mail : ippei.fujiwara@boj.or.jp

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