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「点検」補足ペーパーシリーズ(2)マクロ経済モデルQ-JEMを用いた「量的・質的金融緩和」導入以降の政策効果の推計

English

2021年4月30日
川本卓司*1
中澤崇*2
喜舎場唯*3
松村浩平*4
中島上智*5

要旨

本稿では、日本銀行の「量的・質的金融緩和」導入以降の一連の金融緩和がわが国の経済・物価動向に与えた政策効果について、日本銀行の大型マクロ経済モデルQ-JEM(Quarterly Japanese Economic Model)を用いて推計した。具体的には、実質金利をはじめとする主要な金融変数について、日本銀行による金融緩和が実施されなかった場合の「仮想的なパス」を想定し、金融変数がその「仮想的なパス」を辿った場合の実質GDPや消費者物価等の推移を、Q-JEMのカウンターファクチュアル・シミュレーションにより試算した。そのうえで、実績値とシミュレーション結果の差を、実質GDPや消費者物価等に与えた政策効果とみなした。計測された政策効果の大きさをみると、「量的・質的金融緩和」導入から2020年7~9月までの期間において、実質GDPの水準で平均+0.9~1.3%程度、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)の前年比で平均+0.6~0.7%ポイント程度の押し上げ効果があったという結果となった。

JEL 分類番号
C53、E37、E47、E52、E58

キーワード
金融政策、政策効果、大型マクロ経済モデル、シミュレーション

本稿は、2021年3月に日本銀行より公表された「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検」の内容を補足するものである。
本稿の作成に当たり、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。また、三上朝晃氏、山縣広晃氏、朽木めぐみ氏には、データベースの作成や分析等でご協力頂いた。ここに記して感謝したい。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : takuji.kawamoto@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : takashi.nakazawa@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail : yui.kishaba@boj.or.jp
  4. *4日本銀行調査統計局 E-mail : kouhei.matsumura@boj.or.jp
  5. *5日本銀行調査統計局 E-mail : jouchi.nakajima@boj.or.jp

日本銀行から

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