このページの本文へ移動

パネル分位点回帰による予測インフレ分布の計測

2022年3月31日
眞壁祥史*1
乗政喜彦*2

要旨

本稿では、パネル分位点回帰を用いて、予測インフレ分布のテール部分(インフレリスク)の変動要因について分析した。Great Inflation期(1960年代後半)に遡ってパネルデータを構築し、近年の先行研究が焦点を当ててきたインフレの下方リスクのほか、インフレの上方リスクを捉える指標を加えることで、米国および一部の欧州諸国における、上下双方向のインフレリスクの動向について考察している。本稿の分析からは、ユニット・レーバー・コストや実質政府支出が、インフレの上方リスクに有意な影響を与えることが示された。また、輸入物価がインフレリスクに与える影響は短期にとどまる一方、実質政府支出やユニット・レーバー・コストの影響は中期的に持続することが明らかとなった。こうした結果から、インフレリスクを決定づける要因に応じてタームストラクチャーが異なる点も明らかとなった。

JEL 分類番号
C21、E27、E31

キーワード
インフレリスク、パネル分位点回帰、タームストラクチャー

本稿の執筆に当たっては、青木浩介氏、開発壮平氏、一瀬善孝氏の各氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。記して感謝したい。ただし、本稿に示される内容や意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。また、ありうべき誤りは全て筆者らに帰する。

  1. *1日本銀行国際局 E-mail : yoshibumi.makabe@boj.or.jp
  2. *2日本銀行国際局 E-mail : yoshihiko.norimasa@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行情報サービス局(post.prd8@boj.or.jp)までご相談下さい。転載・複製を行う場合は、出所を明記して下さい。