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わが国のエネルギー効率
―企業・家計部門の動向とカーボンニュートラルに向けた含意―

2022年11月11日
青木浩介*1
高橋優豊*2
中島上智*3
八木智之*4
山田琴音*5

要旨

本稿では、国内外で脱炭素化に向けた取り組みが広がっていることを踏まえて、わが国のエネルギー消費原単位(エネルギー効率)の推移とその変動要因について、経済主体別に考察する。主な分析結果は次のとおり。わが国のエネルギー効率は、(1)まず、1970年代~1980年代には、企業部門でエネルギー節約的な技術進歩が進んだことを主因に、大幅に改善した。(2)その後、1990年代~2000年代前半には、総じてエネルギー効率の改善ペースが鈍化したが、(3)近年では、家計部門を中心に、緩やかな効率改善がみられている。近年の動きについて、家計部門に関する簡単なモデルを使って考察・試算したところ、企業部門が開発した省エネ製品を家計が購入・利用していることが、エネルギー効率改善につながっていることが窺える。カーボンニュートラルの実現に向けて、各部門において、エネルギー効率改善に向けた取り組みが進捗することが期待される。

JEL 分類番号
E21、E22、H23、Q54

キーワード
気候変動、カーボンニュートラル、エネルギー効率、技術進歩

本稿の作成にあたっては、亀田制作氏、陣内了氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。記して感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1東京大学 E-mail :kaoki@e.u-tokyo.ac.jp
  2. *2日本銀行調査統計局(現・総務人事局) E-mail : masato.takahashi@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局(現・一橋大学) E-mail : nakajima-j@ier.hit-u.ac.jp
  4. *4日本銀行調査統計局 E-mail : tomoyuki.yagi@boj.or.jp
  5. *5日本銀行調査統計局(現・政策委員会室) E-mail : kotone.yamada@boj.or.jp

日本銀行から

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